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【お嬢様】31枠目【後輩ムーブ】

「わ、ほんとに生エヴァ様だ……」


「エヴァちゃんお顔ちっちゃ〜笑」


「食べる?エヴァ様。シュークリームとか」


「お肌すべすべだ〜♡」


「ねえリリィ、どうして私こんなにお姉様方に囲まれているのかしら?」


「草生えますね」


「会話をしなさい会話を」



 もう少し姉と話があるらしいミーヤを置いてベルナデッタの部屋から戻ってきた私を待っていたのは先輩配信者包囲網、それも物理的なやつ。


 食堂の私の席を陣取って待ち構えていたその様子はさながらオタクくんの机を乗っ取って世間話に耽るクラスの陽キャ女子のようだった。



「の割にはまんざらじゃありませんよね、エヴァ様。昔から女の子にばっかモテますし」


「だって嬉しいじゃない、チヤホヤされるの」


「えかわい〜♡」


「猫可愛がりって感じですね。まあドMですし、実際ネコでしょうけど」


「いや猫可愛がりも仕方ないんだって!こういう高難易度イベってしばらくメンツ変わり映えしなくて「いつもの」感出ちゃってたし笑」


「本当にそれなんだよね〜。エヴァ様来るまで最年少が今年26の私だったし〜」


「……え26?」



 思ったよりも思ったよりな年齢差に思わず目を見張る。


 もしかしてこれ、なんて考えながら改めて私は彼女達に簡単な自己紹介をお願いした。



「あ、えっと……シオンって言います……自分割とリアルでコミュ障拗らせてるので今はVのガワ使ってやってて……あ、今年で29です……」


「ウチ28〜!外資コンサルFIREして人生謳歌中のミッシェルちゃんで〜す笑」


「コロナティオンプロジェクトのサーシャ。多分一番だよ、意外さ。今年31だし」


「んでわたしが一番下だよ〜。ネイラちゃん26〜」


「上から290、330、390、320です」


「化物じゃない」



 そして思ったよりもお姉様方だったお姉様方は、私に餌付けしながら今のダンジョン配信者界隈の構造について軽くレクチャーし始める。



「複雑怪奇なんだよ、ダンジョン配信界隈って。思ったより」


「そ〜そ〜。ほら、配信者のピラミッドって発展途上国の人工ピラミッドみたいな形してるってのは有名じゃん?」


「ええ。聞いたことあるわ。いわゆる「多産多死」ってやつでしょ?」


「それそれ〜。しかもその上でダンジョン配信ってその傾向がもっとヤバいんだよね笑」



 「なんでだと思う?」なんてミッシェルからの突然の出題に私は首を傾げる。


 「私行けます、やらせてください監督」みたいな顔をしているリリィが口を開いてしまう前にと思考を回した結果、私の頭は良い感じの答えを弾き出した。



「死ぬからじゃないの?途中で」


「お、だいせいか〜い笑」


「大袈裟だけどね、表現。でもPTSDくらいなら聞くよ、そういう話」


「ダンジョン配信さ、やっぱ怪我での離脱とか引退とか多いんだよね。そもそも危険なジャンルってのもあるし、あとバズるために背伸びするケース多すぎ笑」


「背伸び?」



 私が尋ねると、ネイラは「そ〜そ〜」と頷いた。



「やっぱりダンジョン配信って「可愛い」とかそういうビジュアルより「高難易度」「スーパープレイ」「タイムアタック」とかの方が圧倒的に伸びやすいの〜。だからリスクを取ってでも実際の実力より難しいダンジョンに挑む配信者多いんだよ〜」


「でもそれって見た目以上のリスクがあって……例えば、レベル6にギリギリ勝てるような人の実力は、本来であればレベル5の下位相当だって言われてます。……あ、ここでいう実力っていうのはギルド側が後遺症無しでの生還を保証できる程度の実力っていう意味で……」


「ま、そんな感じで欲張って消えちゃう子多いんだよね〜。可愛いだけの子なら掃いて捨てるけど、意味分かんないくらい強い子って中々いないし笑」


「リリィ、これもしかして褒められてる?私」


「ええ、残念ながら」


「わーい」


「いや、てかほんとマジでウチらエヴァちゃんにマジ感謝してるんだかんね?やぁ〜っとこのマンネリ打破してくれる超絶大型新人が来たって超大盛り上がりだったし笑」


「本当、降りてきたって感じだったね、天啓」


「かわいくてさいきょ〜とかさいこ〜!」


「あ、自分のとこのリスナーさんも結構盛り上がってたみたいで……」



 ふふっ、なんでかしら。


 上がった口角が全く戻らないわ。



「ほら、エヴァ様かなりチョロいんですよ」


「生チョロかわい〜♡」


「もはやあざと〜笑」



 この年上のお姉様方に可愛がられる感覚、学院にいた頃を思い出す。


 思えばあの頃も毎日のように生徒会室でお菓子をもらってたような……。


 というかなんで私長女なのに末っ子キャラみたいになってるのかしら。




「っていうかさ〜、エヴァちゃんなんかもったいなくない?まだ荒削り的な笑」


「あ、思った思った思った〜。素材が最強すぎて配信の基礎全部飛ばしちゃってるって感じだよね〜」


「正直サムネ弱いかな……」


「足りないよね、見やすさ。配信画面の」



 そしてミッシェルは私に向けて「この後暇?」と尋ねてきた。


 ベルナデッタ曰く目的地までは丸一日掛かるとのことで、配信解禁も目的地到着後、それまでは告知厳禁ということだし時間は腐る程ある。


 私が首を縦に振ると、彼女は「んじゃ決まりじゃん笑」とニヤリと笑った。



「ウチらがエヴァちゃんに配信の基本、1から教えたげる!」

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