【お嬢様】25枠目【寝落ち】
「エヴァ様、起きて下さい、エヴァ様」
「んむぅ……よんわまえにまったくおなじおこしかたしたばっかじゃない……」
「いえ今回ばかりは私怨抜きで起きることを強要しているのではなく」
「それ、いっていいやつなの……?」
「エヴァ様、配信切り忘れてますよ」
「……、……、…………え?」
『あ起きた』
『10000No:おはエヴァ』
『エヴァ様すやすやで草』
『3000No:朝ご飯代』
『エヴァ様猫みたいな寝方してて草 かわいいね』
『ねこエヴァ様描きます』
「……ねえ、リリィ。私、もしかして……?」
「はい。盛大にやらかしてます。良かったですね、寝てる間に登録者80万、ハイチャ計8000万以上です。時給換算すれば……そうですね、700万以上といったところでしょうか」
「待って、今……」
「8時過ぎてますよ」
「……私、何時に寝た?」
「1時は迎えてなかったかと」
「……つまり、7時間以上、これ、映ってた?」
「はい。そういうことです」
ああ、無理ね。
死にましょうか。
さっさと死にましょうか。
「リリィ」
「なんでしょうか」
「デザートイーグル。魔改造したやつ」
「かしこまりました」
私はリリィの手からそれを受け取り、左首の辺りに銃口を合わせる。
そして、よく馴染む引き金を引いた。
ぱぁんっと、頭が弾けた。
「ということでおはようございます、エヴァ様。気分は如何ですか?」
「取り敢えず殺してくれるかしら」
「え無理ですけど(笑)」
「何が(笑)よ。なるべく多くを巻き込んで死ぬわよ」
『脅しがテロリズム過ぎるだろ』
『お前死なないじゃん』
『30000No:治療費』
『死なない死なないお前何で死なない!?』
『一昔前の文豪か?』
『一昔じゃ済まねえよ』
さてと、頭ふっ飛ばして少し落ち着いたから現状について考えていきましょうか。
えっと、寝落ちしたってことは眠いタイミングも寝起きも晒されてて、しかもベッドで寝てないってことは多分猫寝してて、というか指とか手のひら濡れてるってことは多分舐めちゃってるし……っていうか何で私変異出てないのにこんなところだけ似ちゃったのかしら……いえ、今考えることじゃない……。
「……リリィ、取り敢えずダメ元でも良いから殺してくれない?」
「想像よりも切羽詰まってますね。草が生え散らかします」
『5000No:これで許されるなら俺もメイドやろうかな……』
『お前戦争終わらせられるのかよ』
『でもお前は顔良くないじゃん』
『リリィマジでウチの姉ちゃんに似てる』
『どこ住み?』
本当、死ねないって体質も考えものね、なんて5日ぶりn回目に思いつつ死ねないことを受け入れた私。
……あ、見てたやつ全員死ねば私が死ぬのと同じ結果が得られるじゃない。
「エヴァ様、随分と邪悪なことを考えているところ申し訳ないのですが、メンバーシップの特典が出来たので確認してもらっても大丈夫ですか?」
「仕事早くない?」
「そりゃ配信タイトル確認してくださいよ」
「……あら、「寝落ちエヴァ様見守りつつ作業する配信」……、……待ってリリィ、貴女まさか配信終わった後新しく始めたの?」
「いやー、理解の早い主人を持つと楽ですね」
「死ね!!」
『過去一のド直球きたな』
『10000No:ありがとうございます』
『50000No:エヴァ様のシンプル暴言たすかる』
『草』
『30000No:もう一回お願いします』
『この配信って実は変態多いよな』
『類は友を呼ぶ』
「まあそうかっかしないでくださいエヴァ様。その甲斐あってだいぶ良い特典が出来たんですから。これが飴と鞭というやつです」
「だとしたら鞭じゃなくてギロチンよそれ」
「ならばエヴァ様にはぴったりでしたね。というわけで好きな特典発表メイドが好きな特典を発表していきます」
そう言って画面を共有……ではなく何故かフリップボードを取り出すリリィ。
特典に関する案でも発表するつもりなのかしら。
まあぶん殴るのは聞いてからでも遅くないわ、と私は彼女の隣に体育座りをして話を聞き始めた。
「……待って、その前にミーヤはどこ行ったの?お出かけ?」
「あ、ミーヤなら朝ご飯代わりにフライドチキン取りに行きましたよ」
「朝から?」
「はい、朝から。バレル2つ買ってくるそうです」
「……え朝から?」
「はい、朝から。……ということで話を戻しますね」
『戻し方ヤバすぎ』
『ということで←万能薬だと思いすぎだろ』
『お゛れが”万能接続詞”に゛なる゛んだ!!!何でもつなげる単語になる゛んだ!!!』
『なんか知ってるやついる』
「ということで一律1000ヌーア「エヴァ様を偲ぶ会」、1つ目の特典がこちら。専用絵文字、スタンプ、コメントフレームです。一応このチャンネル専用ですが、他チャンネルのものの使用が許可されているチャンネルでは自由にお使いいただけます」
「あら、良いじゃない。描いたの?」
「ジャンル的にはAI生成です」
「今の時代怒られるわよそれ」
「いえ私の手描きですので」
『草』
『定義で遊ぶな』
『確かに定義上はAI生成だわ』
『でもこいつ本当にロボットか怪しいだろ最近』
「はいそこ名前覚えました」
『因縁の付け方がヤンキー過ぎる』
「まあそんなことはさておき、続きまして2つ目、ファンミの参加権です」
「……え私ファンミやるの?」
「はい。前言ってましたよ?」
「嘘、全然覚えてないわ」
「具体的には3時間ほど前」
「それ返事じゃなくて寝言って言うのよ」
「否定はしなかったのでやるということですね。一応応募者全員参加可能な会場を探すつもりですので、皆様奮ってご参加下さい」
『ハイチャ額関係ないってこと?』
『高いと名前呼んでもらえたりするんじゃね?』
「あ、そういうのはやるつもり無いわよ。流石に私のためにお金を払ってくれた人達だもの。全員名前は覚えさせてもらうつもりだし、何日かに分けてでも、やるからには全員と話すつもりだから」
『50000No:良いこすぎておじさんお小遣いあげちゃう』
『3000No:狂人と良い子のギャップが俺を狂わせる』
「あ、エヴァ様。9000万行きましたよ。大儲けですね」
「その言い方止めなさい。っていうか、全額が入るわけでもないでしょ?」
「いえ、Metubeはハイチャとメンバーシップに関しては配信者に全額入りますよ。運営方針がどうとかで」
「下手なギャンブルよりよっぽど一攫千金じゃない。ここまで市場拡大するのも納得だわ」
私が欠伸混じりのため息を吐く中、リリィは「それでは最後の特典になりますが」と前置きし、1枚のフリップボードを机に置いた。
「エヴァ様の小さい頃の写真など、毎月メンバーシップ限定で公開いたします」
「……、……、…………は?」




