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「なぁなぁみむー、知ってる? 佐々木先輩の話!」
「佐々木先輩が一連の幽霊騒ぎの犯人で、学校に来づらくなったから退学したってやつ?」
「お、知ってるんだ! みむーもいい情報網持ってんね」
「出来ればその網から逃げ出したいけどな」
「お前が捕まってるのかよ」
ため息をつくオレに山田はケラケラと笑っている。この情報網というのは、言わずもがな御影部である。オレが言った佐々木先輩の話は、「そういうことにするから」と教えてもらった話だ。
「じゃあ裏の噂も知ってる?」
「裏の噂?」
「そうそう。みむーが聞いたその話はフェイクで、実は佐々木先輩も被害者だったって噂があるんだよ。なんでも先輩の友達が急に退学した先輩を心配して家に行ったらしいんだけど、先輩のおばちゃんに今家にいないって言われたんだって。その時の先輩のおばちゃんの様子が何て言うか、憔悴したっていうの? 人生に疲れたみたいな顔してたらしいよ」
「えー? それ単純に先輩が出かけてて、たまたまおばちゃんが疲れてただけじゃね?」
「それが違うんだよ。いないって言うからいつ帰ってくるのか聞いたら、いつ帰ってくるかわからないって言われたんだと。わからないって何って話じゃん? だから裏の噂として、『佐々木先輩は実は黒い幽霊に襲われて、今は病院で生死を彷徨ってる状態なんじゃないか』って言われてるんだよ」
「もしそうだったら佐々木先輩犯人説可哀そうが過ぎるだろ」
「それな」
相変わらず山田の情報網には感服である。
その裏の噂とやらがどの程度広まっているのかは知らないが、ほぼほぼ真実だ。違うところと言えば佐々木先輩は間違いなく犯人で、入院の理由は呪い返しのようなものなので黒い幽霊のせいではなく自業自得というくらいだ。いや、呪い返しならある意味黒い幽霊の仕業になるのか?
「まあ先輩が退学してから幽霊騒ぎ収まったし、あながち佐々木先輩が犯人ってのもホントなのかもな」
「いい加減な情報屋だな」
「噂なんてそんなもんだろ。オレは楽しめればそれでいい」
「クズ発言やめー」
とりあえず一連の黒い幽霊事件は無事解決した。
オレとしては今後は学校でこんな事件が二度と起こらないことを願うばかりである。
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