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短編小説

転生魔術師の目覚め

作者: 黒田明人

今はまだ、連載にする気力がありません。


うっ……ここは、何処だ。

オレは、死んだ、はずだ、よな。

どう、なって……。


「おらおら、とっとと起きろ、ノロマ」


上官か? しかし、随分強い言葉を使うな。

確かに新兵の頃にはそんな言葉も聞かされたが、最近ではそんな事も無かったのに。

やはり、戦いの途中でリタイアしちまったから降格されちまったのか。


うっ、蹴るかよ、くそぅ。


「なに寝てんだよ」


こりゃ、あちこち折れてんな。

全く、手荒いな。仕方ない。


(小回復)


ふうっ、やれやれ。


一気に治すと予後不良になるから、こういうのは少しずつ治すのがコツなのだ。

とはいえ、怪我をしないと回復魔法の訓練にならないからと、よく殴られたり蹴られたりもしたが、またぞろそんな日常になってしまうのか。


(身体硬化)


「うが、足が、足がぁぁぁ」


起きてみると見知らぬ場所。

眼前で足を押さえているガキも知らないな。

他の奴も同様な目に遭いたいのか、殴ろうとしている様子。


そもそも、身体硬化の魔法は対武器の対策だぞ。

そんなの殴ったら己のこぶしが砕けるだけだろうに、蹴った奴の状況から判断できないとか、ありえない失態だろう。


あーあ、皆さん、こぶしを真っ赤に染めて、軒並みうずくまっているけど、一体ここは何処なんだ?


少なくとも、オレが倒れた戦場じゃない事だけは確かだな。



倒れている奴らの記憶から現在の状況を把握する。


どうやらオレはこの、学校と呼ばれる場所に通っているらしい。

そして毎日のように、いじめと呼ばれる行為を受けていたらしい。

普通はそこまで詳しくは分からないものだけど、攻撃してきた相手なら遠慮は要らないとばかりに、強制的に洗いざらい記憶を抜いたので、精神に異常が出るかも知れないけど、自業自得と諦めて貰おうか。


つまり、オレはあの戦場で死んだんだな。


まさか友人の趣味の世界の状況となるとは、彼が知ればきっと羨ましがる事は間違いあるまい。


ただ、この身体が持っているはずの記憶が無いのが気に掛かるが、周囲の存在からの記憶採取で何とかなるだろう。

今回みたいな強引な手法じゃなければ、特に後遺症も出ないだろうから。


クラスと呼ばれる教室に行くと、周囲の連中の感情がマイナスに振れている。

誰も話しかける事は無いものの、記憶採取で座るべき場所は分かったので、そこに座る。


バキバキ……。


ああ、身体硬化、解いてなかったな。

椅子の上に置いてあった針のようなのが折れている。

まあ、刺さればまた回復魔法のお世話になったろうから、それで良かったとも言えるが、これもいじめとやらか。


随分と可愛いな。


いきなり剣で襲い掛かったり、背中から切り付けようとしたり、寝込みを襲おうとしたかつての同僚とは比べものにもならん。

おかげで身体硬化の魔法は常時発動になっていたものだが、どうやらそいつは衰えてないようだ。


まあ、何があるか分からない事だし、このまま身体硬化は継続しておくか。



言葉は何故か分かるものの、授業と称する時間は実に退屈だ。

教科書と呼ばれる教本を、先生と呼ばれる存在が解説していくのだが、皆はそれを書き取っているようだ。


何の為だか分からないが、同じようにしたほうが良いのかな?


ただ、筆記用具も紙も無い状況だから、頭に直接記録するしかないのが残念なところだ。

入れ物はあるのだけど中身が無い筆記用具入れとか、表紙はあるのに中身が無いノートと呼ばれる紙の束とか、元はきっと同じようだったろうはずのそれらは、恐らく誰かによって

なされた、いじめと称する損害行為のようだ。


(因果応報)


こいつは殺した犯人を見つけるとか、そういう魔法の類だけど、どちらかと言えば呪いの類になる。


まずは筆記用具入れに使うと、からっぽだったはずの中身が発生する。

次にノートにも使うと、紙の束が復元すると共に、ある男のノートがオレが持っていたノートと同じ状況になる。


「なんだこれはぁぁ」


「おい、煩いぞ。お前、それは何だ。ノートをぐちゃぐちゃにして、真面目に授業を受ける気が無いのなら廊下に立っていろっ」


ふむ、魔法の効果はあるようだな。


おや、何か、思い出すような感じが……。


ああ、記憶が少し湧いて出る。


どうやらこの身体の持ち主は絶望して闇に沈んだか何かで、かつてのオレが表に出たという感じの様子。

つまり、転生ではあるものの、オレの人格は隠れていて、こいつが当たり前なら表に出て来る事は無かったのかも知れない。


ともあれ、今はオレが表なんだし、元のこいつが復活するまではこの世界を楽しませてもらおうか。


その為にもこいつの情報を採取しなくては……。



確かにオレは転生になったが、それは狙ったものじゃない。

そして確かに楽しみたいという気持ちはあるものの、いわば過去の残滓のようなものだ。

今は眠っている人格が現在の存在なら、オレは本来起きてはならなかったとも言える。

となれば、元のこいつの生活環境を整えつつ、この世界を楽しめば良いだろう。

そうしてこいつが起きる時、また眠りに就けばいい。

未練はあるだろうけど、既に終わったオレの人生。

オレのエゴでこいつの人生を奪う訳にはいかない。


うん、それが正解だな。



かくして、苛めをやっていた連中は、気が付けば軒並み散々な目に遭っており、その将来は暗澹たるものになりつつあり、復讐を考えた者は既に塀の中の存在と化していた。


冷遇していた家族との縁も早々に切れ、悠々自適な暮らしの中で、遂に元の人格が目覚めようとしていた。


ようやく起きたか、よし交代だ。


可能な限り周囲の状況は整えたから、後は好きに生きれば良いだけだ。

金もそれなりに稼いであるし、ここの住まいも支払いも全て、普通に生きるだけなら問題無い。

その他の雑事も専門の人員との契約で問題無いし、嫁さんが欲しければ好きにするといい。


まあ、あんまり変なのに引っかかると、さしもの預金も潰えるかも知れないけど、そこまで責任は持てないぞ。


だから熟慮して選ぶんだな。


んじゃ、明日からは君の出番だ。


おやすみ~


拙い作品ですみません。

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