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大麻のデマを考える 大麻の本当の真実(第一弾)  作者: ストップ大麻デマ!ボランティア
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アントラージュ効果?何それ?臨床的においしいの?

アントラージュ効果と大麻推進派はよく口にするが、大麻反対派や厚生労働省のサイトでは見たことがない。アントラージュ効果というものは何かを調べてみた。


アントラージュ効果というものがはじめて主張されたのは下記の論文のようだ。中身を読んでみるとin vitroの研究で、CBDやTHCのような物質以外に大麻に含まれる物質が、それそのものはカンナビノイド活性を持たないのに、カンナビノイド活性を上昇させるというものだ。ざっくり言えば、大麻中にCBDやTHC以外の雑多な物質も、一緒に存在するすることでCBDやTHCの薬理作用に影響している可能性を示している。


An entourage effect: inactive endogenous fatty acid glycerol esters enhance 2-arachidonoyl-glycerol cannabinoid activity.

Ben-Shabat S, et al. Eur J Pharmacol. 1998.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/9721036/


このような現象は大麻に限らずよくあり、大麻独特の現象ではない。一般的に、沢山の種類の物質が含まれることで、効果や副作用がよりマイルドになったりすることがある。漢方などを想像したらわかるだろう。一般的な現象だが、大麻でも同じことがありそうだと独自のアントラージュ効果という名前をつけたということだろう。上手い宣伝だ。テルペン類など影響を与えそうな物質は沢山大麻中に存在し、確かにあり得そうな話ではある。実際、THCとCBDは相反する働きがあり、CBDがTHCによる有害な影響を少なくすることが知られている。


では、大麻推進派が言うように、このアントラージュ効果で副作用がよりマイルドになったり、すごい効果が現れたりするのだろうか?







では早速、私の友達PubMedさんに訊いてみよう。最近の自分は、家族の次によく話す人はPubMedさんです。PubMedさんは世界中の医学論文を検索してくれる。


entourage effectと入力すると、、あれ?34件しかでてこないぞ。entourage effect cannabisやentourage effect marijuanaでは、8件くらいしかでてこない。なんだこりゃ!?


しかも、総説とかin vitro(試験管や培養細胞での実験結果)ばかりで、実際の臨床効果を考えるためにはお話にならないものばかりだぞ。


おかしいな。入力し間違えたのかな…えっと、先の論文からコピペして…スペルを再チェックして…同じ件数だ。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/?term=entourage+effect+cannabis


あぁ、アントラージュ効果、お前もか。お前も証明されてないのに喧伝されていたのか…残念だ。






PubMedでentourage effect cannabisのワードで検索した中ではこの研究が唯一ヒトについての研究のようだ。精製したCBDとCBDに富む大麻抽出物のてんかんへの使用を比較したメタアナリシス で、大麻抽出物の方が副作用も少なく効果も高いと示されている。


Potential Clinical Benefits of CBD-Rich Cannabis Extracts Over Purified CBD in Treatment-Resistant Epilepsy: Observational Data Meta-analysis.

Pamplona FA, et al. Front Neurol. 2018.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6143706/


ただ、この研究は利益相反があり、著者は大麻製品の開発をしているとのことだ。また、患者の特性の違いやプラセボ効果の影響を排除できていない。この論文の中でもプラセボ効果は最大40%とした研究もあり、プラセボ効果の影響を排除できていないことが、この研究の弱点であると書かれている。アントラージュ効果がある可能性を示しているものの、エビデンスとしては不十分だ。


もっと何かないかなと悩みつつ、もう一度大麻推進派のブログを調べてみた。大麻推進派のブログには、Lumir Hanus( ルミール・ハヌス )さんが、臨床試験したと書かれていたが、Pubmedで調べた限りでは前臨床(in vitro)しかなかった。私の調べ方が悪いのか、大麻推進派の人が書き間違えて"前”を削除してしまったのだろう。私の時間を返せ。




ここまでのシンプルに結果をまとめよう。


アントラージュ効果は、臨床的に証明されていない。



試験管内では、少しはアントラージュ効果を期待させるような結果がでているのであるが、ヒトで同じことが起きていて効果や安全性に寄与しているというのは証明されていないのだ。THCとCBDの相反する働きは、広い意味でアントラージュ効果と言えるかもしれないが、大麻推進派の言葉の使い方を見る限りそうではないようだ。



なぜこのようなことが起こるのか。おそらく、試験管内で、ヒトの生体内では起こらないような現象を見ているためだと思う。大麻には沢山の物質が含まれているが、吸収も代謝も薬効もそれぞれ違う。それぞれの含まれる含有量も、THCやCBD以外は微量で影響も小さい。in vitro で観察できたことが実際には起こらないことは、普通にあり得るし、むしろ自然だ。


大麻推進派は、なぜアントラージュ効果という臨床的には証明されていない仮説をありがたがるのだろう。

大麻推進派のブログを見て思ったことは、ルミール・ハヌスさんやその他の有名な人が主張したことを鵜呑みにしていることだ。レトリックについてのページで、権威による論証について書いたがまさにあれだ。

臨床のデータもない仮説なのに、大麻推進派の中で偉い人がそう理論を提唱したからと、ありがたがって書いている。





これから、アントラージュ効果という言葉を見かけたら、大麻反対・大麻賛成問わず、是非こう質問して欲しい。





臨床( ヒト )で、大麻のアントラージュ効果が認められた例はありますか?ヒトでのエビデンスがないですよね?




エビデンスが無い無いと言うと「もっと研究が必要だ」とか言われそうなのが、大麻反対派としては苦しいところですね。誰かアントラージュ効果が存在しないことを証明して、無駄な研究がされないように、世の中に貢献して欲しいものです。


ところで、ふと思ったのだが、なんでアントラージュ効果をきちんとヒトで証明した研究がこんなに少ないのか?ひょっとして出版バイアスじゃ無いのかな。都合の悪い結果がでたから発表しなかったとすると… いやいやこれは考えすぎだし、憶測も過ぎるか。



ではでは、




アントラージュ効果は臨床的には無かった!でした(雑)





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