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大麻のデマを考える 大麻の本当の真実(第一弾)  作者: ストップ大麻デマ!ボランティア
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大麻は古来からの伝統だから何?

大麻を推進している医療関係者をちょっと調べてみたのですが、非認定大学の名誉学位(お金を払えば買える)を持っていたり、経済犯罪を起こした会社数社と関わりがあったり、高額なCBDオイルを販売していたり、有名な大麻のお医者さんは水素水を監修していた。見かけはみんなクリーンなのになんだか闇が深くて、そっと検索を閉じた。陰謀論は証明できないし、例えダークサイドに堕ちていても、利益相反が無い限り科学的な根拠と無関係だからね。たまたま調べた人がアレだっただけかもしれないし、私はポエマーであって探偵でないからね。それにしても大麻合法化唱えてる医療関係者に代替医療をやってる人が多いのはなんでだろう。ビジネス的に親和性が高いのかな。


さて、レトリックとかポエムとか医学とはかけ離れた話題を最近の投稿では扱っていますが(もう順番ぐちゃぐちゃ。1テーマ1話の読み切りではあるけれど)、ついでに大麻に関わる陰謀論を検証していこう。


一番よく見かけるのは、「大麻は日本古来の伝統だったがアメリカなどの石油メジャーや化学メーカー、製薬会社の陰謀でGHQにより禁止された」というものだ。推進派のブログを読むと実にわかりやすく説明されている。上手く虚実と秘密にすることを入り交ぜて、根拠になる情報を何も提示してないのに本当に見えてくるから素晴らしい作文術だと関心してしまう。見習いたいものです。


では、「大麻は日本古来の伝統だったがアメリカなどの石油メジャーや化学メーカー、製薬会社の陰謀でGHQにより禁止された」という話を、大真面目に検証していきましょう。一般的に、「〇〇は存在するか?」(この場合は陰謀)という形式の仮説の証明は難しい。ツチノコが居ることは捕まえてくれば証明できるのだが、ツチノコはいないということの完全な証明は不可能だ。なので、証明できないことは語らないのが正しい知性的な向き合い方になる。陰謀論があるかないかは陰謀そのものを明らかにしない限り証明できないので、陰謀を語るのは信仰の類の話と言えよう。


しかし、伝統やら制度的な禁止をすれば、歴史や統計情報に影響を与える。時系列と大麻の規制が辻褄が合うかを追えばその主張の正当性を測る材料になるでしょう。また、海外との比較も良い手法かもしれません。例えば、「飲酒運転は日本の伝統でタクシー業界の陰謀により禁止された」という仮説でも、各国の規制への経緯、歴史と統計を確認すれば、陰謀を巡らせる動機の有無を考えることができるだろう。


それでは、手始めに大麻取締法の改定の遍歴を確認しよう。

国立国会図書館の日本法令索引から、大麻取締法でどんな改正があったか、どんな審議がされたかが明確に書いてある。

http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/viewEnkaku.do?i=kkSYec13L5Bb6%2FDR1k%2BFMg%3D%3D


大麻取締法の成立は昭和23年(1948年)だが、16回も改正され、最近では平成11年に改正されている。大麻推進派の常套句の一つに、「大麻取締法は古い法律で見直されていないからダメだ!」というのがあるが、実際には何度も改正されいて全然古くない。知らないだけで審議もしっかりされているのだ。大麻推進派に、「古い法律」が何回未満の改正の法律のことを指すのか是非基準を訊ねたい。今度大麻推進派ブログできいてみよう。(そして、質問してブロックされる私、まで見えた。彼らの目的は大麻取締法が古いとレッテル貼りをすることだ)


大麻取締法の最初の成立の議論を見てみると、性病など公衆衛生の議論の中の一つとして日本の民主主義の中で制定されたことが見て取れる。ただ、大麻取締法はその前に前身となる大麻取締規則があって、これは日本の敗戦とともに、GHQの占領下で制定されている。この辺りは、大麻反対派?の先生の総説、大麻文化科学考に詳しい。もっとも、法律が専門の先生ではないけれど。


大麻文化科学考 その3

https://hokuriku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=208&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1



敗戦以前の日本は、大麻(繊維用途)は奨励されていたが、高THCの品種はインド大麻として別種扱いされており、インド大麻についてはアヘンなどと一緒に麻薬取締規則で規制されていた。当時の日本薬局方に、大麻は登録されていて、今の医療用麻薬とよく似た扱いになっている。この扱いは、日本では繊維用途の大麻がよく使われていたこと、一部薬効があると考えられていたこと、嗜好用に適した高THCの品種がなく喫煙の習慣がなかったことによると考えられる。ここらで少し大麻推進派のデマを訂正しておこう。


・ 大麻喫煙は日本の伝統というのはデマ。繊維利用は普及していたが、嗜好用用途には用いられておらず戦前禁止されていた。繊維利用にしても世界中利用されていたからなぁ。小麦は日本の伝統というようなもので、日本独自の文化でもない。


・GHQが勢い余って禁止したのは繊維用大麻。インド大麻は戦前から禁止されていたから嗜好用大麻の禁止はGHQのせいじゃない。


また、日本薬局方に載っていた大麻も、使いにくく、他にもっと良い薬が沢山開発されたためか、最終的に姿を消している。


大麻文化科学考 その5 参照(大麻推進派も時々都合よくこの総説を引用しているけれど全部読んだのかな?)

https://hokuriku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=210&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1






おそらく、「GHQが大麻を禁止した」というのは、敗戦後繊維用大麻に禁止の範囲が広がったことから来たデマだ。





では、アメリカの合成繊維産業が合成繊維などを使わせるため、GHQを使って繊維用大麻も禁止したという話はどうだろう。


古過ぎてみんな生まれていなかったり、忘れてしまったあの大麻取締法が制定されたあの時代(1948年)。その当時の繊維産業の様子を見て見よう。ちなみにこの頃はテレビは普及しておらず、美空ひばりデビューや太宰治の入水自殺がおったような時代だ。


まず、化学繊維の黎明期で一気に化学繊維が使われるようになったというのは事実。日本化学繊維協会のホームページによると、ナイロン繊維は既にデュポンにより工業生産が開始されているが、ポリエステルやアクリル繊維、ポリウレタンはまだこの世に存在していなかった。だが、他の統計をみる限り、アメリカではナイロンが昭和20代前半に一気に普及したようだ。そして、その後日本でも多種多様な化学繊維が生み出され日本が1960年代、70年代と化学繊維産業の中心となっていく(あれ?アメリカが得したわけじゃなくて席巻したのは日本)


それで、他の繊維の状況はどうだったかと言うと、面倒も戦後の復興期で生産量が大きく伸びている。セルロースや毛糸なども生産量を伸ばしている。苧麻も原料が不足するくらい生産量が増えている。


では大麻はというと…

大麻取締法があるにも関わらず、答えは生産量が同じく増えた!でした。


まあ、戦争末期の人出不足と荒廃で生産が奨励されていたとはいえそもそも生産量が落ちていただろうからね。ただ、大麻取締法の制定下でも大麻は減少せず増えていたというのが事実。


その後、肌触りの良くて安い木綿や化学繊維、安い輸入物のヘンプなどの要因で大きく生産量を減らしていった。この辺は同じじん皮繊維の苧麻なんかも同じ運命を辿っている。もちろん、大麻取締法による規制は新規参入などの参入障壁や余計なコストの増大などマイナス要素にはなっただろう、しかし、大麻取締法が無くても生産量が保てたとは思えない。


大麻繊維の生産量が少なくなったのは、ライバルの繊維との競争に敗れ需要が減ったからだ。日本の化学繊維メーカーにやられたアメリカの化学繊維産業の陰謀のせいじゃない。少なくともアメリカの化学繊維産業は大きな利益を享受しているように思えない。


では、アメリカ以外の他の国はどうだったのだろうか。当時アメリカに敵対していたソ連なんかではどうだったのだろうか。大麻が本当に良い物で陰謀で禁止されたのなら、ソ連では禁止されるはずがないだろう。


答えは、「ソ連でも大麻が禁止された」だ。ちなみに、アルコールも禁止されている。禁酒法の効き目があったのは初めの2ヶ月だけで、あとは意味なかったらしい。


大麻推進派のいうの通りなら、GHQやアメリカの石油メジャーがなぜソ連の大麻栽培も禁止できたのかは本当に謎ですね(笑)


大麻推進派が言う、GHQやアメリカの繊維産業の陰謀で大麻が禁止されてされたすると、いろいろ辻褄が合わなさすぎる。


あとついでに、この当時の大麻は混ぜ物が多くて、大麻の危険性が誤認されて禁止されたという主張をたまに目にする。これも時系列的におかしい。


大麻中に、PCP(フェンサイクリジン)などのふりかけや混ぜ物があり、それがより有害な作用(統合失調症のリスク上昇や突発的暴力、幻覚や妄想)を及ぼすことは確かに知られている。しかし、PCPが合成されたのが1926年、実際にPCPがアメリカで乱用されるようになったのは1970年代からで、大麻の規制の後である。もちろん、PCPが特に乱用されていた1970年代や1980年代の研究を読む時はその影響を考慮しなければいけないが、誤認されて大麻も禁止されたというのは順番が違う。



以上のように、少し調べれば疑問符がつくような主張をなぜか大麻推進派は繰り返している。これは「バカバカしい陰謀論」「自分の専門外(大麻反対派の先生は薬系の先生が多いから)」と見逃してきた大麻反対派にも責任があるように思う。意外とこういう明らかなデマや厚生労働省の悪者化が民意を煽るには適しているのかもしれない。


昔のことを調べるのって大変ですね。

国家図書館のデジタルアーカイブでも調べたのですが、戦前と戦後の頃の大麻関連の書籍は繊維関係ばっかりで、嗜好用大麻について良い資料が見つからなかった。歴史が専門の人ならもっと上手く調べられたかもしれないですが。

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