ラデッシュ兄弟(※ 本筋とは無関係です)
自分のモチベの維持に読者巻き込み中。
本当に僕はダメな作者だ。
ラデッシュ兄
この街のご領主様は素晴らしい人だ。確かに、酒場で面白半分でいろいろ悪口を言われているのは知ってる。貧乏貴族とか、あの戦役の時は槍を振り回してよろけてたとか、いつもなんかニヤニヤ笑っているとか。威厳は無くてなんだかヨロヨロしている印象だ。貴族の証拠の魔法なんて道路掃除に水を出しているのしか見たことが無い。
だけど、私にとってご領主様は最高のご領主様だ。
ご領主様がいつも金に困っているのは税率が他の土地よりも低く努力されているからだし、槍を振り回す体力が無いのは肉も食べずに倹約されているからだ。領民から搾り取って飾り立てる威張りちらす奴らより、ずっとご領主様の方が素晴らしい。意味も無くニヤニヤ笑っているのはきっと領民の平穏無事を喜んでいるからだ。…と館で働くメイドのミーシャが言っていた。
そんな私が尊敬するご領主様が、この前お金を恵んでくれると言ってくれた。もちろん、全力で断ったさ。ご領主様が野菜しか食べずにこんなに街の為に頑張っているのに、我が家だけの為に恵んで貰うなんてできない。そりゃ、喉から手が出るほど欲しかったさ。でも、どうしても私もご領主様に迷惑をかけたくなかったんだ。
その後、どうなったと思う?なんとご領主様への専属納入業者と指名してくださったのだ。ラデッシュしか作ることしかできないこの私に。
ほんと感謝しかないです。はい。
色をつけて毎日買い取っていただけるおかげで、高価な薬も買えて母も元気になった。しかも従士様が言うには毎日すごく美味しいと褒め称えてくれているらしい。
ただのラデッシュなのに信じられん。いや、完璧なラデッシュ目指してるから自信はあるけれど、そんな毎日食べたら飽きるだろう。ご領主以外にも遠くから商人が買い付けてくれるようになった。
そうそう。
昨日、家をでていった弟が帰ってきた。なんでも、抜刀術なる武術を修めてきたらしい。ダメな弟がいるだと思っていたが、なかなかやるではないか。空いた時間で習ってみようかなぁ。熟練すれば、岩を砕き魔法も弾けるらしい。ヨロヨロのご領主様よりは強くなれるだろう。
よし!今日も上手いラデッシュ作るぞっ。
◆◆
ラデッシュ弟
俺の兄貴はスゲー。
俺は父が死んで12歳の時にこの家を出ていった。なんも楽しみも無いこんな街外れで、ひたすら泥に塗れて、父親みたいに徴兵されて死んでいく。そんな行き方に希望なんて見出せなかった。兄貴はそれでも逃げずにラデッシュを作り続けた。
俺は流浪という名の物乞いをしながらチャンスを探し続けた。そんな時だった。師匠に出会ったのは。
「ほう。おまえの眼には『エース』があるね」
エースが何かはわからなかったが、勝利を呼ぶ札のことらしい。師匠は60年程前に異世界から転生してきた転生者だから、時々変なことを言う。
師匠は本当かどうか知らないが何人もの女性からモテモテだったらしい。死別したり、長命種の女性からは振られたりして今はスローライフで独身らしい。
そんな生活の方はなんだかイマイチの師匠だったが、武術、特に抜刀術はピカイチだった。秘剣ミツルガ流とかいうとてもすごく流派なのだそうだ。岩や鉄は飴のように切るし、魔法や落雷も切り裂く。こんな術があるのかと驚きだった。
師匠に拾われてから、山奥で回復薬を飲みながら猛烈な修行をした。山奥でなくとも良かったのだが、師匠によると天ぷらだからだそうだ。よくわからない。
俺は師匠の課した修行を全て納めた。いや、最終奥義は師匠を倒して習得できるものだから必要になったときにまた来いと言われたんだった。
ともかく俺は強くなった。その辺の部隊なら一人で壊滅させられるだろう。…その頃の俺は若く、そして甘かった。なんで師匠がスローライフに甘んじているのか考えた方が良かった。
まず、騎士団へ入隊できないかと考えた。騎士団は騎士学校を出た平民か、貴族しか入隊できないそうだ。騎士学校は入れる年齢は過ぎている。次に、城の衛兵になろうと考えた。身分が保証できない人はダメだそうだ。やけになって傭兵団に応募した。刀は武器として認められず、槍を持たされた。
そうだよね。みんなが槍なのに自分だけ刀使うとかどんなけ自己主張強いやつなんだ。
万事休すで、ちょっと鬱になって居合斬りの大道芸をしながら実家に帰ってきたんだ。ほら、刀ってラデッシュ切ったり、野うさぎやゴブリン切るのに使えるじゃん。
帰ってきたら驚いたよ。兄貴は俺以上に筋肉隆々だし、鍬で鍛えたインナーマッスルが違うし、ラデッシュ売りまくって金もすごいことになってるし。
ほんと俺何してたのかな?美味しいラデッシュを作ってれば兄貴みたいになれたのに。
兄貴が言うには、俺の抜刀術もご領主様?のために役立つらしい。毎日教える約束をしたらすごく喜んでいた。正直話が見えなかったけれど、人の役に立つ素晴らしいことらしい。兄貴が言うならそうなんだろう。
おれの眼の中にエースはまだ残ってるだろうか?
メキメキと育つ元気なラデッシュ達を見て自問自答する。
今日も野うさぎを採ってウサギとラデッシュのスープだな。鍛えるには肉が一番だ。
え… まだ続けるの?
早く大麻について書けよと逆に焦って小説が進む。
自分はいったい仕事休んで何をしてるのだろう。




