ラディシュ領主(※ 本筋とは無関係です)
仕事が休みなので、一日筆を進めることに専念します。独身貴族のスローライフ。
大麻について書こうと気合を入れてソファーで寝ているのですが、なかなかやる気が出ません。
なのでウォーミングアップとしてちょっと小説を書いてみました。徒然草をリスペクトした落書きです。
一杯のラディシュと塩だけの澄んだスープ。
ラディシュと少しの葉野菜をビネガーと塩で揉んだだけのサラダ。
そして少しのパン。
これさえあれば、俺は十分幸せに生きていける。
俺はこの小さな街の領主をしている。一応下っ端なりに貴族だから、家には召使いも従士も少しだがいる。だから、貴族なら肉くらい買えよとかケチ臭いとか、ラディッシュしか買えない貧乏貴族とか、陰でいろいろ言われているのは知っている。
ふん、そんなのは言わせておけばいい。
ただのラデッシュに見えるが、このラデッシュは街の外れの農家のゴフレード青年が作る絶品のラデッシュなのだ。もちろん、通常のラデッシュより色を付けて買っている。
ゴフレード青年とはとある夜に街の周りを巡察で廻った時に奇跡的に出会った。あの日は、近くで山賊が出たとかで警備兵を引きて夜回りを出たんだっけな。
「ご領主様!あのあたりにロウソクの火をのような光がゆらゆらと揺れております。山賊の斥候かもしれません。如何しましょう」
「斥候ならば囲んで捕らえよ。居場所を突き止めねばならんのでな。殺すなよ」
「はっ。…その…幽霊という線は?」
「馬鹿なこと言っていないで早く行かんか!」
そこで捕まえたのがあいつよ。器用に頭に巻いた鉢巻にロウソクをくっつけて、鍬を奮っていたそうだ。俺の馬鹿従士はかなりびびってた。なんかの黒魔法の儀式でないかとか叫んでいたが、自分はすぐに違うとピンときたね。なんにしろ、相手を理解するにはまずしっかり訊くことが一番大切なことだ。だいたいの問題や悩み事は99%解決する。それで俺は平身低頭しているあいつに訊いたんだ。
「こんな夜に何をしているんだ?ロウソクなんかつけて」
「畑を耕しているのでございます。母が病気で伏せっていて、薬を買いたいので少しでも開墾して収穫を上げたいのです。父親は徴兵されてから還らず、弟は他国で一旗あげてくるこんな田舎に用は無いとでて行きました。なので、自分が頑張っているのでございます」
うっ、思ったよりヘビーだった。明るい顔で言っているけれど、半分くらい領主の俺のせいだし。
「…いや、まあ、訊いてすまんかった。山賊が近くに出たようだから気をつけるように」
ちょっと悩んだが、やっぱり罪悪感がこみ上げてきた。少し援助してあげようか。
「お金に困っているようだが、病気なら早く薬を買ってやった方がいいだろう。…(ガサゴソ)…ほれ!遠慮せずにこれをとれ」
青年は困ったような顔で俯いた。
「ありがたいことでございます。だが、それはいけません。私は良いラデッシュを育て美味いラデッシュを売るラデッシュ農家でございます。困窮しているのは
私の技術と根性が不足しているからでございます」
なんか断られた。
「私のラデッシュ農家としての誇りがありますので」
俺は思ったね。こいつスゲーって。そして恵んで解決しようとした俺恥ずい。こんな凄いやつが作る野菜が美味しくないわけがない。
館に帰って、あいつがゴフレードという名前であることを調べ、メイドに言って私の食事の野菜の購入先をゴフレード青年からだけに指定させた。ラデッシュしか作ってなかったことは誤算だったけれど、貴族に二言はないのだ。
それから毎日、輝くような純白の極上のラデッシュが届くようになった。以前から食事は野菜ばかり食べていたのだが、朝昼晩ラデッシュになった。俺はこれがいいのだ。
今朝も館の二階の窓から街の通りを見下ろす。靴屋のサマルが皮をなめす姿、洗濯女のアンナが洗濯物を川に運んでいる。武器屋のご主人は防具屋のご令嬢とゴニョゴニョしている。これは見なかったことにしよう。民事不介入だ。
みんな貧しいけれどこの土地が好きだ。その上美味しいラデッシュがある。私は幸せだ。
息抜きに読者を巻き込むなと怒号が聞こえた気がした(•_•...




