大麻の健康への影響(精子形成、その他)
続きを書いていきます。ちょくちょく引用しているサティベックス(難治性のてんかん治療のために使われる大麻成分の製剤)のSmPC(添付文書みたいなもの)をみていきます。精子形成についてです。
https://www.medicines.org.uk/emc/product/602/smpc
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人でのサティベックスの生殖への影響は十分な経験がありません。しかし、受精能への影響は見られていないものの、動物を使った別の研究ではカンナビノイドが精子形成に影響することがわかっています。
妊娠を予定している男女は、サティベックスの投与期間および投与後3ヶ月間は確実な避妊方法を講ずるべきである。
経口避妊薬を使用している方は、追加の確実な避妊措置を講じるべきである
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精子形成能への影響は、動物試験のみでしか報告されていないので、エビデンス不足です。アメリカのCDCもカナダの保健省も、そのため注意喚起に入れていないのでしょう。ただ、逆に精子への影響を否定できる論拠もないので、エビデンス不足でもリスクとしてしっかり意識する必要があります。
さてさて、この「健康への影響」の項目の最後として、所謂ゲートウェイドラックについてさらっと書きます。この話も別項立てで詳細を書く予定です。
今度は、アメリカ CDCのページをみていきます。
https://www.cdc.gov/marijuana/health-effects.html
◆◆◆ CDC
大麻のいわゆるゲートウェイドラック(大麻使用は他の薬物の使用の呼び水になる)の考え方は、数多くの議論があります。研究者達は、定まった答えをまだ持っていません。しかしながら、ほとんどの大麻使用者はハートドラックなど他の薬物の使用に移行しません。
年齢、経済的なステータスなどが大麻および他の薬物の使用につながることを認識していくことが重要です。下記のようなことが薬物使用に影響します。
家族歴
他の精神疾患の有無(鬱や不安)
個人的な圧力
孤独、社会的孤立
家族環境の欠如
薬物が使用可能な環境か
経済的なステータス
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ゲートウェイ仮説は、「大麻使用者は一般の人よりハードドラックに移行する人が多い」という多くの研究結果があり、その説明として考えられました。簡単に説明すると、大麻で味をしめてより強い刺激を求めてハードドラックに移行する(大麻→より強い薬物)という仮説です。
ただ、ハードドラックへの移行は、大麻の効果だけでなく、大麻使用者の社会的・経済的状況や売人との繋がり、規制や文化の影響、遺伝的素因など様々な要素があり、ゲートウェイ仮説以外の理由でも「大麻使用者は一般の人よりハードドラックに移行する人が多い」ことの説明がつくことが最近ではわかっています。
簡単に言えば、「大麻を使用する人とハードドラックを使用する人はおんなじような要素を持っているから、大麻がハードドラックの呼び水になっているからではないのだろう」というわけです。
自分もゲートウェイ仮説に懐疑的です。ですが、このゲートウェイ仮説は完全に否定されたわけではありません。
大麻使用がアルコールやタバコの消費を高める効果はわかっています。また、大麻からハードドラックに移行しないという結果もいろいろな要素の影響があり統計処理には難しい面があります。エントリードラックとにて使われることも事実ですし、大麻使用が他の薬物のゲートウェイ的に働く可能性自体はまだ残っていると考えられます。
ですので、“ゲートウェイ仮説は否定された”というのは大麻推進派のデマです。否定はされていません。”ゲートウェイ仮説の論拠が崩れた”が正確な表現です。
日本の厚労省の一部資料には、このゲートウェイ仮説が残っています。アップデートし忘れてるのか引っ込みがつかないのか、論拠が崩れた以上、一度引っ込めて研究し直すか、あくまでも証明されていない仮説であることを記載する方がいいのではないかと個人的には思うところです。
ゲートウェイ仮説は問題を単純化しすぎているのでは?と個人的には思います。違法薬物使用にはいろいろな要素が絡むでしょう。政策上も、大麻使用もしくはハードドラック使用に影響する要素をしっかり研究し、どんな人が依存や乱用に繋がりやすいかを見極め、対策を立てることが大事ではないでしょうか。




