番外編「一人の時あるある」
(7/15)挿絵追加しました
あの様(twitter:@Noke7013)に、浅川玲奈を描いて頂きました!
非常に可愛く描いて頂いて、本当に嬉しかったので、こちらで紹介させて頂きます。
ありがとうございました!
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「あ~~、熱気が」
昼休み、私、浅川玲奈は、茹だるような暑さの中、西校舎奥にある、漫画研究部の部室のドアを開けた。この暑い中、わざわざ昼ご飯を食べにここに来るのは、友達がいないからではなく、お茶やお菓子が常備されているからだ。特に五時間目が体育の日は、着替えのために更衣室に移動する手間が省け、一石二鳥という、ちゃんとした訳があるのだ☆ ……本当に
「はい、今日のお弁当のおかずはなんでしょね、と」
自分で作ったから、中身なんて分かってるけど、一人の寂しさを紛らわすため、とりあえず私は口を動かす。中学生あたりから発症した癖である。
部室にこっそり持ち込んでいる、ホテルにありがちな小さめの冷蔵庫からお茶を取り出し、昼ご飯の準備をする。
「はい、いただきます、と」
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「ごちそうさまでした」
無言で食べるとすぐに食べ終わる。おりべっちがいるときは、昼休みいっぱいまで食べ終わらないんだけどなぁ。
……まだ五時間目まで時間がある。着替えるには早いから、本でも読もうか、と、私は本棚から適当に本を選んだ。
「あ、これ、おりべっちがいつもニヤつきながら読んでるやつ」
タイトルは「姫娘学園恋物語」。もっくんの置き土産ということで、あまり良い印象はないけど、おりべっちがどういう性癖を持っているのか少し気になる……。読んでみようかな。
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「クッ、好きにしろ! 私はお前の姫娘眼の力なんかには負けん!」
「あらぁ……強情ねぇ♡ その生意気な態度、いつまで続くのかしらぁ?」
リトルヴィッチ・プリンスモールの姫娘眼が、リルリアリアの麗しい眼に、鋭く眼光を突きつける。リルリアリアは、ううう、とうなり声を上げ、全身が熱くなるのを感じていく。その瞬間、熱で膨張したリルリアリアの身体は、衣服を突き破り、リルリアリアを半裸の姿に変えていく。
「あら、どうしたのん? 私の力には屈しないんじゃ、なかったかしら……♡?」
「わ、わたし、は……」
私は、リトルヴィッチ・プリンスモールの力を甘く見ていた。身体が一気に紅潮し、服が溶けていく。……初めて味わう、この得体のしれない興奮で、胸が、張り裂けそうだ……。もう、私が私じゃなく、なって、しまいそうだ……。
「わたし……は、あ、あなた様♡、プリンスモール様、の♡ しもべ、と……」
目の前で私を見下すその姫娘は、私が屈服した姿を見ると、ニヤリと笑い、衣服を全て脱ぎ捨てた。二人は全裸で抱き合う。契約、完了。そして、二人は、熱い――
――――――
「……なにこれ」
男の子って、こんなエッチなやつが好きなの?……私と二人きりなのに、おりべっち、こんな本読んでたんだ……。もっくんも。
私は本を閉じて、元の場所に戻しておいた。これから先、あの本を読んでるおりべっちと、普通に話せる自信ないなぁ……。もういいや。体操服に着替えて寝よう。本を読む気分じゃなくなっちゃった。
「はあ……。見なきゃよかったな」
Yシャツのボタンを外し、脱ぎ捨てる。意識したくないのに、さっき読んだ小説が嫌でも頭に浮かぶ。……そういえば、初めておりべっちがお昼に来たとき、私、着替え中だったんだっけ。それが原因か分からないけど、おりべっち、あんまり来なくなっちゃったな。……日比谷君たちと食べるようになったみたいだから、もう来ないかも。……。
「……おりべっち、今入ってきたら、私の下着姿が見れちゃうぞ~……」
スカートを脱ぎ、下着姿になった私は、ドアに向かって話しかけた。当然だが、ラノベじゃあるまいし、そんな都合良くおりべっちが来ることなんてない。時間だけがただ過ぎていく。
「……あ、喉かわいちゃったな。……お茶はどこにあったけな~っと……」
私は、そのままの姿で、無駄に部屋をうろつき回る。
……三十秒くらい経っただろうか。冷静になった私は、あわてて体操服を着た。
「わ、私、何してんだろ……」
全部、あの変な本のせいだ。そうに違いない。別に、私の性癖なんかじゃない。
……多分。
「~~~っ!」
リルリアリアのように全身を紅潮させながら、私は校庭に向かった。




