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第十一話之二「新学期」

******



 学校に着いた。


「やあやあ浅川さん。今日も元気いっぱいバッチグーですなぁ」


「……せっかく忘れてたのに、不自然すぎて、思い出しちゃった」


 ……。



 部活の時間になった。


「昨日はすみませんでした」


「いや、気にしてないから、大丈夫だよ」


 そういいながらもいつもとは態度が違う。気まずいよ、誰か助けて。


「あ、そなんだ、よかった。お、お茶でも、飲みま――」


「おりべっちはさ」


「はい」


「前の学校でも、あんな感じで、誰かと付き合ってたの」


「え、いや、俺は――」


「付き合えるなら、誰でもいいの」


「いや、いやいや、浅川さ――」


「聞きたくない」


 ……め、めんどくせえ~~~!!

 なんだよ、自分から色々聞いておいて、聞きたくないとはどういうことだ。

 ……こんな扱いされてちゃあ、温厚な俺も怒るぞ。俺はイライラを受け止める便利な壺じゃあないんだ。

 猛犬だ。狼だ。百獣の王だ! 気安く言葉の槍を投げつけてきた報いだ、受けてみろ。


「あ、浅川さん? か、勘違いしてるかもしれないんだけど、今までかかか彼女とかできたことないし、告白なんかもしたことないんだよね、ナハハ」


「……え」


「それに、誰だっていいなんて思ってないよ。昨日のは、浅川さん相手だから言ってみただけで」


「! ……そ、それって、つまり」


「ま、それくらいの冗談も言い合える仲かなって!」


「…………冗談」


「そう、冗談、あは、あはは」


「……はあ。なんかアホらしくなっちゃった」


 今回の選択肢選びはうまくいったようだ。さっきよりは、浅川さんの硬さも溶けてきたように見える。

 やっぱり、百戦錬磨の織部だぜ。伊達にアニメやゲームをしてないってことね。


「文化祭まであと一月だよ。そろそろ本格的に行かなきゃだめだね」


「おう、任せてくれ」


 何も進んでないがな。ただ、構想はまとまってる。あとは文字に起こすだけ。


「今度は、ちゃんと聞かせてね」


「ん? 何を?」


「ん、なんでもない♪」


 相変わらずよく分からないが、浅川さんが元気になったので、結果オーライとしよう。

 文化祭まで一月。気合い入れていくぜ。

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