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第九話之七「合宿するの?」

******



「……えっ!? おりべっち!?」


 おりべっちの頭がおかしくなったと思ったら、今度は急に気絶してしまった。何……? ほんとに……。

 おりべっちのデリカシーの無い発言や、さっきまでのトイレでの出来事なんて、全部どこかに飛んで行ってしまうくらいのおりべっちの奇行に、私の脳は、思考を諦めてしまった。

 ……もう、寝ようかな、うん。そうだ、現実逃避しよう。今日の出来事は、全部夢だったんだ。こういう時は、ぐっすり寝て全部忘れるのが一番良いよね。


「……おやすみ、おりべっち。今日はよく分からなかったけど、色々ありがとう。お弁当、美味しかったよ」


 おりべっちが用意してきた寝袋に、試行錯誤しつつも、どうにかおりべっちを潜り込ませることができた。……疲れた顔。今日は、自分のことばっかり考えてたけど、おりべっちの負担も、すごい大きかったんだね。最後のは本当によく分からなかったけど、一つだけ、私のことを守ろうとしてくれたことだけは、何となく分かったよ。


「ありがとね、おりべっち」


「……玲奈、可愛いぞ」


 ……えっ? おりべっち、起きてたの? というか、えええっ……!


「玲奈……」


「はっ……はい!」


「……ムニャ」


 はい、お決まりの寝言パターンですかい。……ま、でも、可愛いって、うん。うひひ……。

 その後も、時折、おりべっちは私の名前を呼んだ。それが気になって、私は一睡もできませんでしたね(後日談)。



******



 朝。俺が起きると、浅川さんは既に起きていた。

 昨日何があったのか、いまいち思い出せない。どこからが現実で、どこからが夢なのか、酷くぼんやりしている。

 時計を見ると、既に十時を回っていて、外からは、部活動に勤しむ運動部の声が響いていた。もう、俺達が外に出ても、特に怪しまれることはない時間帯。西校舎の鍵も、既に開けられているだろう。


「……帰るか」


「うん、そだね」

 

 外は、太陽の日差しがカンカンに降り注がれ、よくもまあこんな中で運動部は、走ったりできるなと感心する。俺は外に出て十秒もしないうちに、さっさと家に帰ってアイスを食べたくなったというのに。


「……合宿、どうだった、浅川さん」


「んー……。まあ、もう十分かな」


 だよね。俺ももういいや。まさかあんな……、あれ、なんだったっけ。

 そうこう言ってる間に、いつもの分かれ道に到着した。


「じゃあまたね、浅川さん」


「はい、またね~」

『つギはニガサなイかラナ』


「ん?なんて?」


「ん?またねって」


「……あ、そう。うん、気を付けてね」


「うん。ばいばい~」


 思った以上に、色々あったような気がする校内合宿。学んだこと、浅川さんの下着が可愛くなったということだけ。ま、たまにはこんな日もいいでしょ!


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