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十二章 スレディノカ&コスミオ 151 守護者

・・・三・・・


 夜風に娘の髪がなびく。スレディノカの顔にかかるが、嫌なものではなかった。むしろ心地よい感じを味わっていた。それに娘の体温と甘い香りが、更に気持ちを昂ぶらせていた。

「よく私の名を知っていたな。館では話したこともなかったのに」

 無言の道行きに堪えかねて、スレディノカが尋ねた。

「親衛隊のスレディノカ様は、私達の憧れの的ですわ。キードレル姫様も『陛下の親衛隊は誰も素敵ね。中でもサイナップを祖父に持つスレディノカは格別よ。あの無骨なサイナップの血筋とは思えないわね』とおっしゃっていました」

「そうなのか・・・いつも祖父に叱られてばかりで、さぞかし評判が悪いと思っていた。こんなに評判が良いと知っていたら、自信を持って貴女にもっと話しかけられたのになあ」

「まあ・・・」

 娘のうなじが赤くなった。娘らしさが戻っていた。

「あの・・・貴女の名前を知りたい」

 スレディノカは勇気を出して、娘の名前を尋ねた。

「私はコスミオです」

「コスミオ・・・いい名前だ。あのコンボット舘から無事に逃れられてよかった」

「いいえ、私もキードレル姫さまと御一緒したかった」

「親衛隊の私はともかく、若い貴方が死ぬことはない」

「いいえ・・・私は・・・」

 娘の言葉が途切れた。涙が頬を流れ落ちる。

「泣かなくてもいい。私も心ならずも生き残ってしまった」

 スレディノカはコンボット館を出てからの出来事を詳しく話した。彼女はスレディノカの背に王子がいるのを知って驚くと同時に、そんな大切な役目を託されている中で自分の窮地を救ってくれた彼に感謝した。またサイナップの首を斬らざるを得なかった話は涙なしでは聞けなかった。

「そうでしたの?本当に辛い思いをなされたのですね。私の話もお聞き下さい」

 コスミオもコンボット館の最後の様子を話した。キードレル姫と一緒に死のうと覚悟していたが、姫から王子の行く末と自分達の最後の様子を伝える役目を託され、心ならずも一人館から逃れて来たことを打ち明けた。

「そうか・・・私達は奇しくも同じ役目を托されたのだな・・・」

・・・コスミオの窮地に出くわすこと、彼女を助けることは、サービアからあの館に来た時から決まっていたのだな・・・。俺とコスミオは運命の糸で結ばれているのだ。

 スレディノカは運命の出会いを確信し、彼女の守護者になることを決心した。


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