第九話
「今からエシルの服を買いに行くぞ。さすがにその格好じゃ可愛いエシルには似合わないしな。」
「そんな...可愛いなんて...。でも、奴隷なのでこれぐらいの服が普通ですよ。」
「そうかもしれないけどさ。俺は一人の女の子としてエシルにこれから過ごしてもらいたいんだよ。だから、基本的にはエシルを奴隷としては扱わないからな。」
「ありがとうございます。奴隷にそんなことを言ってくれるのはレンマ様ぐらいです。レンマ様は優しいですね。」
「俺のいた国ではそういう奴隷とかはすでにいなくて、みんな一人の人として扱われてたからな。そういうのには無縁なんだよ。」
「そうなんですか。レンマ様の住んでいた国は素晴らしい国なのですね...。」
そんなことを話ながら「エリック商会」にたどり着いた。今ではエリックさんと大分仲良くなったのでほとんどの買い物はここで済ましている。
「やー、こんにちは。エリックさん。今日はこの子の服を買いにきましてね、何かこの子に似合いそうな服はありませんか?」
「こんにちは、レンマさん。ちょっと待っててくださいね。今いくつか持ってきますから。」
しばらくしてエリックさんがいくつかの服を持ってきてくれた。どれもエシルに似合いそうで早速試着してもらった。
「どうだエシル、気に入ったか?」
「はい。服はとても可愛いです...やっぱり、わたしみたいな奴隷には着れません!!」
「よし、じゃーそれ全部ください。」
「えっ...どうしてですかレンマ様。わたし着れないって言いましたよね!?」
「これはとてもエシルに似合っている。もし、どうしても着れないって言うなら、ご主人様命令できてもらうぞ!」
「は~…分かりました。そこまでおっしゃるなら着ますよ。レンマ様は非常識です!」
そう言われながらエリック商会を後にした。
その後は冒険者ギルドにエシルの冒険者登録をしに向かった。冒険者ギルドの中に入って、いつも担当してくれる犬獣人の受付嬢セフィリアさんのところに向かった。ちなみにニーナさんとはこの一週間の間で仲良くなった。
「セフィリアさん、こんにちは。」
「こんにちは、レンマさん。今日は隣の子の冒険者登録ですか?」
「はいそうです。奴隷なんですけど、冒険者登録って出来ますか?」
「はい、大丈夫ですよ。それではこちらに名前と職業を記入してくださいね。」
そう言われたのでエシルは
名前:エシル
職業:精霊魔術師
と記入して提出した。
「はい、これで登録が完了しました。エシルさんはレンマさんのパーティーということでいいでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
「それではこちらがギルドカードとなります。ギルドの説明は必要でしょうか?」
「大丈夫です。それじゃー、エシルのランクに合う依頼をください。」
そう言ってFランクのゴブリン討伐と薬草採取の依頼を受けてギルドを出ようとすると、見るからにチンピラ風の冒険者二人がエシルに絡んできた。