勉強とは・・・
感想・指摘など、どしどし待ってます(血涙)
ディーノとなり魔法の存在を知った運命の日からおよそ一年が経った。
俺はあれからこの世界のことを知るためにいろいろなことをした。
まず一番初めに行動したことは自分が一番苦手でもあり得意でもあった`勉強´だった。
「おかーさん、おねがいしたいことがあるんだけどー いい?」
父は、朝ごはんの後、少ししてから仕事なのだろう、身なりを整えて出ていっていないため、太陽が一番高く上がっている|おそらく12時頃なのだろう|昼食の用意をしている母に話しかけた。
「なぁに? お願いって?」
母は木で出来ている台所の上で、具材を細かく切りながら目を離さず答えた。
「ことばをおしえてほしいんだー」
「ことばってどんな言葉? なんのことを教えて欲しいの?」
母はひと段落したのか包丁を置き、手を拭きながら俺の高さまで目線を落として聞いてきた。
「え~と、よみかたとかきかたをおしえてほしいんだ」
「読み方と書き方って勉強がしたいってこと?」
「うん!そうだよ!」
俺が子供っぽく言うと母は肩に手を置き言い聞かせるように行った。
「ちょっとディーノにはまだ早いかな~? もうちょっと大きくなるまで待ってくれない?」
「やだ! いまからやりたいんだ!」
我侭だな~と心の中で思いながらも引くことはできないので少し強気で言ってみると母は悩んだ素振りを見せ、ひと呼吸おいて言ってきた。
「夜になったらお父さんが帰ってくるから、その時お父さんと話してみるわ。 お父さんがダメって言ったらおとなしく諦めなさい。」
「え~ おとうさんがきめるの~」
「もう、わがまま言わないの! すこしでも勉強したいならお母さんのお手伝いしてちょうだい。」
「は~い」
俺は父に全てが委ねられることに不満を抱きながらもしぶしぶと母の手伝いをした。
―――――――――――――――
父は日が沈みかけでオレンジ色の空になった頃に帰ってきた。
「ただいま~」
「お帰りなさいあなた、晩ご飯の用意も出来てるわよ」
「お、そうか。 じゃあ、早速飯にしようか。 仕事が少し忙しくってな 腹がペコペコだよ。」
そんな会話を廊下の扉越しに聞きながら俺は、はやる気持ちを抑えて食卓に向かった。
みんなでテーブルを囲み、パンとスープを食べてちょうど半分ほどが胃の中に入ったときに母に昼間のことを促してみた。
「ねぇ~ おかーさん、おとーさんにきいてみてよ~」
「うん? どうしたんだいディーノ?」
「ああ… あのねお父さん、昼間にディーノが勉強したいって突然私に言って来たのよ。 その時にお父さんに聞いてみてからって言ったんだけど……。」
「勉強したいって? ディーノが?」
「うん!そうだよ!」
父はそこまで聞くと顎に手を当てて数秒無言になった。
「う~ん…… ディーノ…… 今すぐ勉強したいのかい? ディーノくらいの歳で勉強を始める子もいるにはいるけど、他はみんな6歳ぐらいに始めるよ?」
「いますぐやりたい! いまからじゃないといや!」
「なんでそこまで勉強したいのかな? ディーノは?」
俺は父の質問にどう答えるべきか一瞬迷ったものの自身の考えを言った。
「えっと… いろんなことがしりたいんだ! そとのせかいのこととかまほうのこととか!」
父は答えを聞くと母の方を向き、話した。
「アニェーゼの考えはどうなんだい?」
「私は、今からじゃなくてもいいと思ってるわ。 なにもこんな歳から勉強なんかさせなくてもいいのに……。」
「ははっ、アニェーゼは勉強苦手だったからね。 そう考えるのも無理もないね。」
「もうっ、ディーノの前で言わなくてもいいじゃないですか!」
母は頬を膨らませながら父を睨んだ。そんなことを気にもとめずに父は俺の方を向き言ってきた。
「さてディーノ… ここまで二人に意見を聞いて決めた私の結論だが……」
ゴクッ 俺は喉を鳴らしながら父の答えを待った。
「……いいだろう… 勉強させてあげよう。」
「ほんと!?」
「ああ、もちろんだとも。 私は嘘をつかないよ。」
「あなた!?」
「まぁいいじゃないか、ディーノが勉強したいって言ったんだ。したくないって言われるよりはいいことじゃないか?」
「それはそうですけど……」
「それに勉強っていっても何も全部教えるわけじゃないからね」
「それってどうゆうこと?」
「うん、ディーノには文字の読み方と書き方を教える。そのあとは自分で学ぶんだ。」
「どうやって?」
「私の部屋にいろんな本があっただろ? あそこには珍しい本は1冊もないが広く出回っている本なら大抵あるからね。 その本を読んでディーノが自分で勉強するんだ。」
「あなた……そんなやり方でいいの? ほかに3歳から勉強を始める人たちって家庭教師を雇って勉強をさせるって聞くけど……」
「いいんだ、 残念だけど私たちの家計では家庭教師なんて雇えるほど裕福じゃないからね。 それに自分から勉強したいって言ったんだ。それくらいできないとね、いいなディーノ?」
「うん!ぼくはそれでいいよ!」
「よーし、じゃあ次の私の休みの日からやっていくぞ。 いいな?」
「うん!」
俺は父の答えに満足して頷いた。
勉強ができることにほっとしたのか、途中で食べることをやめていた腹ペコなお腹から音が鳴った
「ディーノのお腹もなった晩御飯を続けるか!」
父は腹が鳴って恥ずかしくなり赤くなった俺の顔をみて茶化すように言った。
腹が鳴ったことに恥ずかしさを覚えたものの俺は次の父の休みがいつ来るのか楽しみにしつつ目の前の料理にかぶりついた。
ちなみにですが主人公チートなどは一切ありません。