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《現実性(リアリティー)Ⅱ》

この世界でもっとも現実性リアリティーが欠けているのは自分自身だ

「……………れ」

そうして僕は七歳の時に死んだ。実の両親に殺されたのだ。



「…………ぱれ」

両親を恨んでないかと聞かれたら、恨んでないとはいえない。だって、めちゃくちゃ痛かったし……

まぁ、今となってはどうして両親があんな行動をとったのかは分かっているのだが、それでも、許せるか?って聞かれたらすぐには許せるとはいえないのだ……




「あっぱれ!!!」


「おおぅ、何だ、びっくりした」


いきなり、鶯が僕の目の前まできて、耳もとで叫んできた。



僕のそんな言葉に呆れたのか、彼女はため息をついて、いってきた。



「はぁ、まったく君は、人の話を聞いていなかったね?私は今から国連軍を迎撃するためのシステムを起動させる準備をするから、その間君は研究所を出て、国連軍の様子を見ててくれよ」



彼女は僕にそういってきた。断る理由もないので


「了解」

と、伝えた。



さっそく、動き出そうとしたときに、彼女が思い出したようにこういった。



「ああ、そうだ。念のためにいっておくが、死ぬなよ」



その言葉に僕はニヒルにこういった。



「なんだ?お前は僕が死んだら、泣いてくれるのか?」



すると彼女はクールに笑って



「泣くどころじゃすまないさ、今度こそ世界を完全に壊す」



狂気にとりつかれたように彼女は答えた。






実際のところ彼女は世界の三割を破壊している。



いや、その気になれば彼女は間違いなく世界を完全に壊すだろう……。



彼女がそれをしていないのは、僕が彼女に何もしていない人を殺すのは止めてくれと頼んでいるからだ。



だから、彼女は世界を壊さない。僕というストッパーがいる限り



でも、それは裏を返せば、僕が世界を壊してと頼んだら、彼女は挨拶でもするような感覚で世界を壊す事を意味している。



彼女にとっての世界とは僕と彼女だけ形成されている。他のモノはそこら辺の石ころとしか思っていないのだ。





だから彼女は世界から何十億もの犠牲者を出してまで、僕を生き返らした。



僕が再び目を覚ました時には、世界はある意味ではもう終わっていた。



僕が目を覚ました時の彼女とのやりとりはこんなものだ。





僕が再び目を覚ました時には、僕は謎の培養液のカプセルの中にいた。



目の前には長い髪をした女子高生くらいの人がたっていて、その女子高生は泣きそうな表情で僕を見ていた。



僕は口を開いた。



「君は誰?ここはどこ?」



すると、彼女はいきなり泣き出した。


僕はびっくりして、彼女を慰めようとするが、その前に彼女はこういった。



「私の名前は八束 鶯(やつか うぐいす)で、ここは、とある無人島だよ」



僕はその言葉に驚愕を隠せないでいた。何故ならば僕の知ってる八束 鶯は、僕と同じ小学校三年生なのだ。それなのに目の前にいる女子高生も八束 鶯といってきたのだ、困惑しないわけがない。




彼女は僕の疑問が分かってるいるかのようにこういった。



「君が不思議がるのも無理はない。だが、今からいうことは全て真実だ、落ち着いて聞いて欲しい。今は2XXX年だ、君が死んでから、八年たっている」




は?は?は?は?は?目の前のこいつはいったい何をいっているのだろうか?今は2XXX年で、八年過ぎている。


意味不明だ

理解不可能だ

わけが分からない



「何をいってるんだ、お前。嘘つくなよ、僕の幼馴染みの名前を騙るな」


「君が疑うのも無理はない。私だっていきなりわけのわからないやつにここは八年後の世界ですよ。と言われたって信じない」



「君を生き返らすのに、八年かかってしまったことには、本当に申し訳なく思っている。本当に悪かった。だから、お願いだ、私を見捨てないでくれ」



途中から、泣きじゃくったように体を震わし始めた彼女を見て、僕は何も言えなくなった。




彼女が泣き止むまでまって、カプセルの中から出してもらった。



足元がふらつく、危うくこけかけるところだった。



僕のそんな様子を見た彼女は


「長い間、カプセルの中に入って、体を動かしてないから、筋肉が衰えているんだろな。リハビリはこれからやっていけばいいさ」


なんていってきたのだ。



何はともあれ話を聞かなければ、何も始まらないので、黙って彼女の話を聞くことにした。




だけど、僕はすぐに後悔をした。



こんな話聞かなければ良かったと思う。



知らない方が幸せだった、何も知らない方が良かった。



彼女の話を要約するとこんなものだ。





僕が両親に殺された次の日、彼女は僕が死んだことを自分の親に知らされたらしい。



彼女いわく、本物の絶望を味わったらしい。



三日三晩泣き続けて、彼女は僕がいない世界ならある意味がないと思い、核兵器を作り出したそうだ。



核兵器が完成する前日に彼女は真実を知ってしまった、僕が死んだのは自分の両親が彼らの両親に権力をふるって、助かりたければ、自分の息子を殺せっていっていたらしい。



彼女の両親にとって、僕という存在は非常に邪魔だったらしい。



何故ならば、彼女は僕のいうことしか耳を傾けなかったからだ。つまり、彼女の莫大な財産も僕がくれといったら、簡単にあげそうだったから、そんな理由で彼女の親は僕を殺したらしい。




そんな真実を知った彼女は、世界を壊すよりも先に復讐する事を決め、その後、僕を生き返らすことを決めたらしい。



彼女の復讐の計画はこうだ。



まずは、自分の両親を睡眠薬で眠らし、研究室の地下で監禁。


その後、変声機で自分の父親の声で僕の両親に自分の家で僕の遺体を預かろうといって家に誘き寄せた。ちなみに、僕の死は隠していたらしい。




僕の遺体を持って、自分の家にきた僕の両親を睡眠薬で眠らし、密室に放り込み、毒殺した。



僕の遺体は急いであの培養液のカプセルに入れたらしい。



僕の両親を殺したあとで彼女は自分の両親を手錠と目隠し、猿轡した状態で僕の両親の死体の前まで連れていき、目隠しを外して、自分達もこうなりたくなければ私のいうことを聞けと脅迫した。



裏切られないように彼女は両親の首にペンダント型の小型爆弾と嘘発見器の役割をもつ指輪をつけさした。




彼女は両親にノーベル賞をとった時の金と研究費で無人島を買い、自分の研究所を作った。そして、自分がその島に移るための準備を終えた日に、彼女は両親にこういった


「今までありがとうございました。私が無人島に着いたらそれは外していいですよ」



そう言って彼女は指輪を外すための鍵とペンダントと外す道具を両親に渡した。




彼女が無人島に着き、両親に外していいですよってメールを送ったそうだ。



そして、関東地方ではそのメールのすぐ後に大きな爆発があったそうだ。


その爆発のせいで放射能や体のリズムを狂わす細菌が爆発した付近から発生し、人々はパニックに陥った。そのことを今では『東京パニック』というらしい。




無人島に移った彼女は、さっそく僕を生き返らす研究を始めたそうだ。



しかし、爆発が自分の家から起きたので、自分は容疑者になっていると思った彼女は、面倒くさいという理由で核兵器を東日本に十発ぶちこみ、国連への牽制を込めて日本の近くにあった韓国や北朝鮮にも十発ぶちこんだそうだ。



それだけ、聞いただけで僕の口は空いてふさがらなかった。



彼女の話はまだ続く



それから二年たって、彼女はようやく僕を生き返らすための準備が揃い、仮実験を行った。


仮実験の内容はこうだ。


人口の多い中国に狙いを定めて、更にその一部に彼女が二年間かけて作り出した。彼女の研究の成果を詰め込んだウイルスを流出さした。




結果、一時間でその一部に住んでいた人は全員死んだ。


性別も関係なく

年齢も関係なく

病気があるにしよ、ないにしよ


全員平等に死んだ。




彼女が何故そんなウイルスを流したのかは、ただたんに中国が人口が多かっただけでない、国連への忠告なのだ。



核兵器を出してからの直後は、彼女の住む無人島は週一で狙われていたらしい。



だから、彼女はそのウイルスをばらまくことによって、「これ以上邪魔するなら、このウイルスを世界中にばらまくぞ」ということを言外に述べているのだ。



そのかいあってか、国連に狙われる回数は極端に減ったらしい。



そして、その間にそのウイルスを改良していき、更に五年がたったときに、そのウイルスは完成した。


それに伴い、世界から中国は消えた。



彼女が作った史上最悪の細菌、神や運命、因果を嘲笑うウイルス



『パラドックスウイルス』


の誕生だった。




彼女のはその出来たばかりのパラドックスウイルスをカナダに流出さした。



このパラドックスウイルスというのは、簡単にいえば、生者に死を与え、死者に生を与えるのだ。


端的にいえば、彼女はカナダに住む人々を生け贄にして、僕を生き返らしたそうだ。



そこまで、聞いて僕は考えるのを止めた。


思考を自分の頭で停止させた。



意味不明

理解不可能

わけが分からない



だって、信じられるか?

僕を生き返らしたいから、彼女は神様みたいに多くの命を奪い、国を滅ぼした。




荒唐無稽であり得ない。


現実性リアリティーが無さすぎる。






でも、それでも、あまりにも現実性リアリティーに欠けていたとしても……それは事実で、疑いたくなるほどの真実だった。










僕が生き返ってから、五年たった。



国連軍は未だに彼女や僕を捕まえて殺そうとしている。

彼らのやっていることは正しいことだろう。

いくつもの国を滅ぼした彼女は許されることのない犯罪者で、僕はその理由の一番の原因だ。



死んだはずの僕が彼女と同じく指名手配犯になっているのは、そもそもとして彼らは僕が一度死んでいることを知らなかったし、無人島を攻撃してる時に彼女と一緒にいたから仲間だと思われているからだろう。






研究所を出て、少し歩くと、もう空には国連軍のヘリが近くまで来ていて、海には軍艦まである。合図が出されたら、今すぐにでも仕掛けてくるだろう。



僕は彼女に『もうすぐそこまで来てる』ってメールを送った。










ああ ああ 僕はなんて現実性リアリティーに欠けた存在なんだろう




僕のために、僕のせいで滅んだ国や死んでいった人々よ




ごめんね

ありがとう

さようなら




僕は君たちの命をかてにして生きよう






銃撃音が聞こえる、爆発音が聞こえる、悲鳴が聞こえる。






ああ ああ


正しい心を持ち

平和を望み

正義を掲げて




僕たちを捕まえよりとする国連軍の皆様よ




僕があなた方に出来るのは、せめて安らかに逝ってくれと祈祷を捧げることぐらいだ





だから、安心して逝ってくれ




今から言うことは、僕のただのエゴだと分かっている、それでも言わしてもらう




僕と彼女はまだまだ今を生きていたい













だから だから










死ね


次回

「七つの大罪」

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