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序章:他人から見た色

この世界では、人の価値は【色】で決まる。

色といっても生まれつきのものではない。

他人からの評価が積み重なり、やがてその人自身の色となって定着する。

 強いと噂されれば赤。

 落ち着いていると言われ続ければ青。

 調和をもたらすと見なされれば緑。

 清らかな始まりの象徴として白。

 終わり、拒絶、影の象徴として黒。


そして、何者にも染まらず、評価が曖昧なままの―灰色―


 色は単なる象徴ではない。序列がある。

 赤・青・緑は社会の上位色として扱われ、白と黒は特別枠。

 始まりと終わり。

善でも悪でもなく、根源と結末を象徴する色として、どこか別の階層に置かれている。


 じゃあ灰色は?

 そんなものは、序列にすら入らない。


 色がつかないということは、誰にも評価されていないということだ。

 優秀とか、優しいとか、頼れるとか、眩しいとか、そんな言葉が誰からも投げられなかった者の色だ。


 当然、僕も灰色だ。


 努力しても評価は変わらない。

 勉強を頑張っても、運動で結果を出しても、最終的には他人がどう見るかで決まる。

 自分がどう生きたいかなんて、この世界では取るに足らない。


 そんな世界に、僕はずっと息苦しさを感じていた。


 誰かに価値を決められ続けること。

 評価されるために振る舞いを作り続ける人たち。

 良い色を持つ者の裏に、必ず濁った影を背負う者がいること。

 この仕組みそのものが、醜く見えた。


 …いや。

 もしかしたら、醜く見えるのは、僕自身が灰色だからかもしれない。

 僕にも色があったら、何か変わっていたんだろうか。

 違う誰かみたいに、誰かから輝いて見える色を持てていたら

 この世界は少しは面白く見えただろうか。


 そんなことばかり考えていたある日。

 僕は、色を持つ者たちと出会うことになる。


 彼女たちと話すたびに、僕の世界は少しずつ変わっていく。

 誰かに色を与えられるんじゃなくて、自分で色を選ぶために。


 これは、色に縛られた世界で、自分だけの色を探す物語だ。

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