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追跡の帝国
王国陥落の報を受けた帝国。
勝利に沸くはずの宮廷で、ひとつの“異変”が発覚する。
それは、帝国にとっても無視できぬ「姫の行方」だった――。
―王都陥落の翌朝。
まだ煙がくすぶる城下を、帝国軍の旗がゆっくりと掲げられていく。
焦げた匂いと血の臭いが、冷たい風に混じって流れた。
「……姫がいない、だと?」
報告を受けた黒衣の将軍アーレンは、眉をひそめた。
無骨な手が、机の上の地図を強く叩く。
「王と王妃は捕らえたはずだ。なぜ姫だけ……」
「地下へ続く通路がありました。おそらく、侍女か騎士が逃がしたものかと。」
「愚かな。――姫が生きていれば、王国の再興の火種になる。」
将軍の声に、部屋の空気が凍りつく。
側近たちは息を潜めた。
「全軍に伝えろ。姫を探せ。
見つけ次第、必ず生け捕りにしろ。」
アーレンは窓の外を見やる。
崩れた城壁の向こう、遠くに見える森の方角へと目を細めた。
戦は終わった。しかし、次の“狩り”が始まる。
帝国の捜索隊が、焼け落ちた王都を離れて森へと進軍を開始した。
誰も知らぬ姫の行方を追って――。




