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姫を探して  作者: ブレイン
第0章:始まりの物語

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2/11

逃亡の姫

帝国の急襲によって、王国は一夜にして崩壊の危機を迎える。


王女リリアは、わずかな護衛と共に密かに城を離れることになるが――


その決断は、幼い頃から守られてきた「姫」としての殻を打ち破る始まりでもあった。

――王都が、燃えていた。


 夜の空は真っ赤に染まり、城の塔が崩れ落ちていく。

 炎の粉が風に乗って舞い上がり、まるで空そのものが泣いているようだった。


 「姫様、急がねば!」


 護衛の兵が叫ぶ。

 リリアは長いドレスの裾をつかみ、転びそうになりながら走った。

 息が苦しい。けれど止まれば、すべてが終わる気がした。

 「……お父さまは?」

 問いかけに、兵士は顔を歪めた。

 「陛下は玉座をお守りです。姫様をお逃がしするよう命じられました」


 喉が詰まる。

 それが“最期の命令”だと、わかってしまったから。


 地下への扉が開く。

 湿った風が顔にかかり、背後では崩れる音が響く。

 見慣れた廊下が、光に呑まれていった。


 「神よ……この国を、どうかお守りください」


 リリアはそっと祈り、暗闇の通路に足を踏み入れた。

 涙はもう出なかった。

 恐怖よりも、冷たい決意のほうが強かったから。

 ――たとえ国が滅びても、希望だけは失わない。

 その想いを胸に、姫は長い闇の中へと歩き出した。

読んでくださってありがとうございます!


今回は姫リリアの脱出シーンを中心に描きました。


彼女はまだ「逃げる」だけの存在ですが、


やがてこの夜が、彼女自身を変えるきっかけになります。




次回からはレオン側の物語が動き始めます。


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