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Ender Magia Chronicle  作者: 真夜
第一章 報復人 -BIRTH AVENGER-

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37.追跡 -Chase-

 ギルドから出たジャックとライラックはエトワールたちが待っている場所へ向かった。

 二人がたどり着いたとき、その周辺には氷の破片が飛び散っていた、エトワールは氷の剣を地面に突き刺し、片膝をついており、アステルは宙に浮いた氷の盾で気を失ったシオンを守っていた。


「何があった⁉」


 ライラックが気を失ったシオンの元に一直線に向かい、ジャックは息切れをしているエトワールに肩を貸して、この状況について尋ねる。


「リアが連れ去られた。ステラが一人で追いかけたが」

「奇襲だったんです。ジャックさんが居なくなって、すぐにリアちゃんが狙われて。

 シオンちゃんはそれをかばって怪我を……。それで何人かに足止めされたんですけどなんとかスーちゃんだけ抜け出すことができました」


 エトワールの短い状況報告にアステルが補足する。

 この状況にバツの悪そうな顔をしながらライラックが恐る恐る確にする。


「その……奇襲してきた奴らってもしかして狩人か?」

「顔は隠していたけど、戦い馴れはしていたから多分そうだと思う」

「くっそ、なんでこんなこと」


 さっきのアゾべの会話をライラックは思い出し、想像以上に他の狩人を掌握し始めていると感じた。


「多分……、狩人だけじゃない気がする」

「えっ、それはどういう」

「確かにアゾべはウィズピースに対抗しようと戦力を集めてるのは間違いだろう。だか、行動が早すぎる。

 あんたたちが来てまだ四日目だぞ。ここまで用意周到なことがあるか?アゾべの事は詳しくは知らないがここまで計算高い人間じゃない

 それに魔獣についてだって本格的に調査を始めたのは昨日だ」

「確かに、そうだな」


 ライラックもジャックの言葉に同意する。エトワールは、そこから誰もが思い至っている結論を口にする。


「誰かが糸を引いていると」

「ああ、間違いなくな」

「だとしたら、なおさら早く連れ去られたロザリアを助けに行かないと」

「ああ、俺が行く。残りはラックの家に避難してくれ」


 ジャックの提案に申し訳なさそうにライラックは頷く。


「悪いな、こんなときに力になれなくて」

「ジャック、アステルも連れて行ってくれ」

「ええ、そうなるとラックさんにエト姉ちゃんだけになっちゃいますよ」


 満身創痍の二人を残しておけないのか、アステルは不安な顔をする。


「私は大丈夫だ。何より優先しないといけないのはリアを取り戻すことだ」

「ああ、俺も大丈夫だ。正直、怒りで力が湧いてきているところだ」

 エトワールはアステルの作ったと思われる氷の剣を腰に差し、ライラックは強く握りこぶしを作る。

「……でも」

「ここで悩んでいる暇はないぞ。急がなきゃ追いつけない」


 ジャックの言葉にアステルは覚悟を決めたように頷く。


「姉ちゃんたちも気を付けて」


 ジャックとアステルはステラが向かった街の裏路地に、エトワールとライラックは気を失ったシオンを背負って家の方へと向かった。


 =================================


 裏路地に入った二人だがすぐに一つの問題に当たった。


「暗すぎてどこに向かったか調べるにも時間が掛かる」


 周辺の功績を調べようにも、すでに夜になり、さらに裏路地ということも光がほとんど入らず、足跡を見ようにもしゃがんでじっくり見ないとわからないほど周りは暗かった。


「あっ、任せてください。FireFlyファイアフライ


 アステルの言葉とともに頭上に小さな魔法陣から生きているかのように動く火の球が現れる。

 その火の球は小さくはあるがジャックとアステルの周辺ははっきりと見えるくらいに明るかった。


「そうか、氷と炎の二属性持ちだったな」

「はい、氷魔法と違って炎魔法は制御が難しいので、戦闘だと周りを巻き込んじゃうのであんまり使わないけどこれくらいなら」

「ああ、十分助かる」


 砂漠に囲まれた街であるため、街の中にも砂は多く入る。

 今回連れ去ったのは狩人だが、すぐに夜になると考えて痕跡を消すようなことはしなかったため、誘拐犯がどの方向に進んだかはすぐに分かった。

 ジャックの全速力にアステルはブーツから小さなホイールを出現させて、滑るようにその後について行く。


 すぐに二人の耳に人の声と金属がぶつかり合う音が聞こえる。

 二人が残響のもとにたどり着くと昼間に話した狩人が三人、そして後ろにフードを被った知らない人が一人とステラと相対していた。

 狩人の二人がステラと戦っているように見え、もう一人が気を失ったロザリアを担いで、もう一人のフードの男は特に構えてもおらず、まるで何もしていないように見える。

 状況はステラも細剣で応戦はしているが魔法がまだ使えずに攻め切れていない。それはステラの相手をしている狩人も同じで、魔法を使えないことがばれていないおかげで強気に出られずに拮抗しているようだった。

 アステルが出していた明かりで周りが一斉にこちらに振り向く。


「アステル、ジャック!」


 ステラに呼ばれた二人はすぐにそちらに駆け寄り、どちらの味方かをはっきりさせる。

 アステルの明かりにより、月明かりだけでは人影程度しか認識できなかったのが、全員がはっきり見えるくらいに視界が広がる。

 そして、ロザリアを攫った三人の狩人はジャックの姿を見てどこか気まずい表情を見せた。


「ステラ、悪いが少しあいつらと話させてくれないか?」

「えっ、奇襲を仕掛けてリアを攫った連中よ!」

「黒幕を探りたい」


 その言葉にステラはゆっくりと下がり、代わりにジャックが前に出る。


「どうして、そいつを攫った?確かに昼間話した時は不満を抱いていてもここまでするほどじゃなかっただろ」

「それは……魔物の討伐隊が全滅したって聞いて、それがウィズピースの仕組んだ罠って聞いたから」

「私たちがそんなことするわけじゃない!」


 三人のうちの一人が前にで説明するが、狩人が話した内容に噛みつくように反応し、前に出るステラをジャックは手を伸ばし静止させる。


「アゾべに言われたのか?」

「別の奴だ。それに討伐隊の船がずっと戻って来てない。それにアゾべ達もそれに同意してたし本当の事なんだろ?」

「確かに、討伐隊のほとんどがやられたらしいな」

「じゃあ、なんでジャックはそっち側にいるんだよ!そいつらはお前を利用してるんだぞ」


 さきほどまで説明していた狩人とは別の狩人が食って掛かるが、ジャックは静かに反論する。


「だが、間違っている部分もある。俺が確認してる限り、全滅ではなく今のところ二人戻ってきてる。

 そいつらの話を聞く限り、ウィズピースの罠があったとは思えない。

 それに船はすべて別々にルートで散会して逃げたと聞いている。まだ戻ってきてない船もあるかもしれない。

 そしてその証言をしているのはラックだ」

「……ラックが戻ってきているのか?」

「ラックが言っているのなら、まだ全滅と決まったわけじゃないのか」


 ライラックの名前が出た途端、相手の警戒心が下がる。


「俺はこいつらと関わって、そしてラックの話からウィズピースが狩人を狙った罠は仕掛けていないと思ってる。

 だから、そいつを返してくれないか?」


 ジャックの言葉に狩人の間に動揺が広がる。

 そんな彼らの動揺にうんざりしたように気だるい声とともにフードの男が動く。


「はあ……、何やってるんだか。狩人がここまで優柔不断だとは」

「だが、お前は俺たちに討伐隊が全滅したと……」

「もういい」


 その一言とともにフードの男は彼らの間を縫うようにすり抜ける。

 すり抜けたフードの男の手にはジャックが見たこともない片刃の反りがある長剣が握られており、男は静かにその剣を鞘に納める。

 鞘に納めると同時に狩人達の頭が地面に落ちる。


 狩人達が叫び声も上げずに地面に倒れ、抱えられていたロザリアも地に落ちその痛みで目覚める。

 ゆっくりと上体を起こしたロザリアにべったりとした何かが、身体に付いたことに気付く。

 それが血だと気づいた、ロザリアは目に涙を浮かべる。

 そして、目の前に大量の血だまりと狩人の生首を見て、その瞳は恐怖に染まり、声にならない悲鳴を上げる。


 それを見た、ステラとアステルは駆け寄ろうとするがフードを取った男の眼光に反射的に足を止める。

 そして、男は気だるげなままジャックたちに向き合う。


「次はお前たちだ」

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