17.休憩 -Breaktime-(2)
船室を出て女子会の盛り上がりも収まり始めたころ、街の姿が陽炎越しに見える。
ジャックはいつもとは異なる人通りの少ない停泊所に向けて船を進めていたが、その様子に気づき、船の速度を大きく落とす。
朝も同じ停泊所を利用したが出たときには船がなかったが、一隻だけそれもジャックが乗っているものと同じような小型船が泊まっていた。一目でジャックはその船が自分と同じように貸し出した船だとわかった。
今はギルドからの出航制限が出ているが、強制されているものではない。
だから、危険を無視して狩りに出るものもいるし、討伐隊を出し抜こうと考える狩人もいるだろう。
だが、そのためにわざわざ船を借りる者はいない。自前の船のほうが設備も整い、操縦馴れしている。
ジャックは船の進行方向を大きく変える。
突然の方向転換に船を大きく揺れ、それに驚いたステラ達が乱暴な音を立て操舵室に入ってくる。
「船が大きく揺れたんだけど何したの?」
「……怪しい船がある」
「確かに止まっているのが見えるがどうして怪しいんだ?」
エトワールは目を細めて停泊所のほうを見て船を確認する。ジャックは簡潔にその問いに答える。
「あの船は俺たちと同じ貸し出された船だ。しかもこのタイミングでだ。なら俺たちと同じで正体を隠したいから借りた可能性がある」
「だったら貸した人から誰が借りたか聞けば何かわかるんじゃないですか?」
「……口止めされてなきゃ聞けるかもな」
ジャックもだが船を借りたときの支払いにそれなりの色を付けて支払っている。そして貸出屋の口の堅さも知っている。そのためアステルの言った方法では相手がわからない。
「この先で船を止める。俺はバイクを使って街に戻って情報を集める、
もう目視できると思うが、少し歩けば小さなオアシスもある」
船を止めるとすぐにステラとアステルは靴を脱ぎ、オアシスの見える方向へ向かっている。ロザリアは砂漠に足を踏み入れるのが初めてのため足元がおぼつかない。だがシオンが手をつなぎフォローをしながら砂漠に足を踏み入れるが二人の表情はリラックスしているように見えた。
ピースメイカーの二人は初めての砂漠ということでどこか気を張っていたのかもしれない。それが解放されたようだった。
エトワールもジャックが出てくるのを待って甲板にはいたが、ウィズピースの制服を少しだけ着崩していた。
「まだ残ってたのか?」
「みんなが出るなら船に残る人が必要じゃないかな」
「その必要はない、こんな船誰も相手にしない」
「そう、だったら私も彼女たちの元に行くよ」
「……保護者大変だな」
「君もね」
エトワールも船を降りた後、ジャックは軽く荷物をまとめて街へ向かった。




