17.休憩 -Breaktime-(1)
ジャックとステラが戻ると、すぐに街へと船を進めた。
戻ってきてすぐ、ステラがジャックに確認する。
「どうして街へ戻るの、追いかければいいのに?」
「大規模な作戦の場合、その活動範囲を事前にギルドに伝え、ギルドもその周辺の依頼を調整している。
そして、もし新情報、移動や異常事態があった場合、ギルドか作戦メンバーから伝令を送ることになってる」
「ふーん、そういうこと」
「それに戻るのは俺だけだ。船を街の近くのオアシスに止めるから、そこで休んでいればいい」
その言葉にエトワールは少し驚いた様子を見せ尋ねる。
「意外だね、君が私たちを気にしてくれるなんて」
「全員で街に行っても目立つだけだからな。それに、もしかしたら討伐隊の船が戻ってくる可能性もある」
ステラは理解ができずに首をかしげる。
「だから?」
「お前たちはオアシスで休むついでに、討伐隊の船が戻ってこないか見張っていればいい。ギルドへの動向確認は俺一人でやる」
「でも、ジャックがいない間に討伐隊が戻ってきたらどう説明するのよ」
「場所はオアシスで街も近い。観光しに来たとでも言っておけばいい」
「それって逆に怪しまれないかしら?」
「もう十分怪しまれてるよ。むしろ気を張らずに休んでいればそれ以上追及されないさ」
ジャックの言葉にステラは少し眉をひそめながら、納得はしたようだった。
その二人のやり取りをアステルは心配そうにステラに話しかけ、シオンは動きを止めた。
「……スーちゃん、大丈夫ですか?」
「急にどうしたの。私は大丈夫だけど」
「ええ、でもジャックさんと話すとき、いつも文句言ってたじゃないですか?
それがなんですか、その自然な会話は!ジャックさんと何かあったんですか!」
「確かに……どこか距離が近くなった気がするな」
アステルとエトワールの言葉にシオンの眼から光が消え、無表情でジャックの方をじっと見る。
「はあ、そんなわけないでしょ」
「そうだ、つっかかってくるのはこいつだ」
「はあ?」
一瞬で前の二人のやり取りに戻るが様子が変わらないシオンを見て、ステラが近づき小声で伝える。
「安心してよ、あいつはシオンとお似合いだよ」
「えっ、ちょっ……」
シオンはその言葉に顔を真っ赤にして取り乱す。
その様子をジャックは横目で見つつ、船の操縦をしているところにエトワールが声をかけてくる。
「ステラは君に迷惑をかけたりしてないかい?」
「……いや、むしろ助かった。朝の模擬戦、それにステラが戦うのを見て、改めてあんたらの強さが理解できたよ」
「君に認められたならこちらとしても自信が持てるよ。それにステラとの仲も良くなったようだし」
「別に仲が良くなったわけではない。ただ、あいつはラックと良くも悪くも似て裏表がない。警戒するだけ無駄だ」
「確かにステラはわかりやすいからね。しかし、それだと私には警戒しているようにも聞こえるけど」
「ああ、その通りだよ。今回のことも隠し事だらけなのに信用されると思うか?」
「確かに……そう言われても仕方がないけど」
「最初にも言ったがこっちに害がなければそれまでは協力してやるよ」
「そうしてもらえると助かるよ」
そう言ってエトワールは話が盛り上がっているシオン達の元へ戻る。
ジャックは声をかけることなく船を進めた。




