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Ender Magia Chronicle  作者: 真夜
第一章 報復人 -BIRTH AVENGER-

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15.調査 -Survey-(1)

 二人乗りのジャックの運転は安定感があり、運転しながら合間に通信のための棒状の中継器を設置している。

 ステラは嫌がっていたが、初めて乗るバイクに恐怖を感じたのか目を瞑り、ジャックにしっかりと捕まっていた。

 船が見えなくなるくらい走ると少しずつ砂漠から突き出た小さな山が眼に入る。

 山の麓にバイクを止めるとジャックは下りようとしたがステラは気付いていないのかジャックに捕まったままで動けなかった。

「……着いたぞ」

 その言葉にバイクが止まったことに気付かなかったステラは勢いよくバイクから飛び降りる。

「……最悪」

「だったら帰りは魔法でも使え」

「魔法は無限に使えるわけじゃない、知らないの?」

「知ってる」

 魔法は人によって使える回数が違う。その理由は未だ解明できていない。

 それと魔法を使えなくなったとき、身体には特に特徴が現れないため、事前に自分が使える魔法回数を把握する必要がある。

 平均回数は一般的な魔法で二十回程度、強力な魔法だとさらに使える回数は減る。

 また、強力な精霊ほど魔法の使える回数は多く、魔法の使える回数は契約した精霊の魔力量ではないかと言われている。

「ここら辺は砂漠だけだと思ったが山もあるのね」

「リムレイがどうして砂漠に埋まったかはウィズピースなら知ってるはずだ。ここ一帯はもともと山岳地帯だったんだろ」

「知っている。何百年前の戦争でしょ」

「精霊契約者同士の戦争でな。戦争で使われた魔法の残留魔力で土地が育たなくなった。過去に存在した大帝国は滅び、人々は枯れた土地から離れた。長い年月放置されたリムレイは街全てが砂に埋もれた」

「別に聞いてないけど、それよりここからどうするの?」

「この山の中腹に小規模だが同型種の獣の群れがいたはず。それを確認する。船でも言ったが……」

「わかってる、観察だけで殺すなでしょ」

「ああ、ここで死体を残せば今後の調査に邪魔になる可能性がある。死体を隠しても相手は魔獣に関してはプロだ、違和感を感じるやつも出るだろう」

「だから、さっき聞いた!さっさと行くよ」

「そっちから進んでも行き止まりだ」

 前へ進もうとするステラを見送りながら、ジャックは反対方向に歩き出す。

「それを先に言え!」

 恥ずかしさから顔を真っ赤にしながらステラはジャックの後を追う。

 頂上には半日足らずで到着できる小さな山だが砂漠化の影響で草木はほとんど生えておらず、斜面は砂により滑りやすくなっている。

 ジャックは慣れた様子で進むがステラは慣れない砂の感触と環境に適していないブーツを履いているせいでその距離は離れ始めていた。

 すぐにジャックはそれに気付き、ステラに近づく。それを見たステラは明らかに不機嫌な様子だ。

「遅いって文句言いに来たの?」

「いや、砂漠を歩く予定はあったがその装備を準備しきれなかったこっちのミスだ」

 ステラは文句でも言われると思ったのか想定外の返答のためか口を開いたまま動きが止まる。

 ジャックは少し考えたのちに言葉を続ける。

「今できる対応は靴を脱いで裸足だが、ここは岩肌を露出している場所もある。慣れていなきゃ怪我をする可能性がある。

 もう一つは俺の靴を使うことだ。恐らくサイズ的にも問題……ないはずだ」

 ジャックの最後の方の言葉はステラの足を見ながらどこか悔しさが漏れていた。

 その言葉にステラは言葉が聞こえてないのか数秒静止し、言葉を理解したのか今までにない大声を上げる。

「はあ?靴を貸すって……あんたは、その……嫌じゃないの?」

「いや、道具の貸し借りは普通だろ。それに今回は俺の準備不足だ。それでどうするんだ?」

「……っ」

 ジャックは不思議そうに首をかしげる。なかなか答えを出さないステラにジャックは靴を脱ぎ、それを渡す。

「まともに歩けないんじゃ足手まといだ。ささっと履け」

「……っ、わかったよ!履けばいいんでしょ!」

 変な抵抗を見せるステラに、ジャックはため息を吐く。靴を変えたステラはもともと履いていたブーツを手に取る。

「これはどうするの?」

「その辺に置いておけ、帰りもこの道は通る」

「……盗まれたりしないよね」

「今ここに来る人なんていない」

 それからはステラのペースも上がるが、それでもジャックよりは少し遅かった。

 しかしジャックも気付かれないように最初よりはゆっくり歩みを進めていた。


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