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Ender Magia Chronicle  作者: 真夜
第一章 報復人 -BIRTH AVENGER-

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14.出発 -Depart-(2)

 エトワールから直接指名が来たが嫌そうな顔をしてジャックを見る。

「ええっ?こいつと一緒?」

「だってさっき行くって言ってたじゃないか?」

「確かに行ったけど……」

 ステラは自分の発言を思い出し、口ごもる。エトワールはわざとらしく笑顔を作り、ステラに詰め寄る形で言う。

「それに私たち以外ともチームを組むこともなれないと。ジャックは問題ないよね」

「ああ、問題ない。うるさい奴と組むのは慣れてる」

「はあ?」

 迷いもなく即答するジャックにステラからは怒りと驚きを混ぜた表情でジャックを見る。

 アステルとシオンはその言葉に小さく笑っていた。

「ふふ、じゃあステラの事は頼んだよ。ステラも勝手な行動したらだめだよ」

「ね、姉さん……」

 ステラは飼い主に裏切られた子犬のようにひどく落ち込んだ。

 それぞれの持ち場が決まり、ジャックの舵により船が砂漠を進む。

 しばらく時間が経過し、シオンはジャックにその操舵を見つつ、船についていろいろと確認を取っていた。

 甲板には少し船酔いしたステラをエトワールが連れて、風を浴びに外に出た。

 残りの二人は昨日夜遅くまで話していたからロザリアが眠そうにしており、それを見たアステルが休憩室に連れて行った。

「そろそろ、ラックたちがいる船を探知できるだろう。甲板にいる二人に伝えてくれ」

「わかった!」

 シオンが駆け足で操舵室を出て二人のもとへ向かう。ジャックは探知機のモニターを確認しつつ船の速度を落とす。

 少し進むとモニターに赤い点が現れる。進むとその点がさらに二つ増える。それを確認するとさらに速度を落として船をゆっくりと停止させる。

 止まると同時に休憩室にいた二人が操舵室に入ってくる。

「着いたんですか?」

「ああ、ここからだと見えづらいだろうが、北側に船の集団を見つけた。その陣形から見ても狩人だろう。船はしばらく止める。ここは狭い、ほか三人がいる甲板に出よう」

 その言葉にアステルとロザリアは甲板に出る。ジャックも船の操作盤で設定を変更してからその後を追う。

 甲板にはまだ少し顔色が悪いステラにそれを介抱しているエトワールとシオン、物珍しげに辺りを見回すロザリアと保護者のようについているアステルがいた。

 その様子はまるで観光地に来たかのように見え、ジャックは頭を抱える。

「どうしたんだい、君も船酔いしたのか?」

「船酔いのほうがまだいい。それよりステラは大丈夫なのか?無理なら俺一人でも問題ないが」

「うるさい、いけるわよ」

「そうか、ならいい。エトワール、シオン、船のほうは任せる。やることはモニターで船をとらえ続けること。それと船からの信号弾を確認すること。信号弾の確認はこれを使ってくれ」

 ジャックはそう言って双眼鏡をシオンに渡す。

「確か黄の煙が接敵で赤が撤退だよね」

「ああ、接敵時は船を陣形の後ろに寄せる形で移動してある程度近づいたら、エトワールたちが下りて確認するようにしてくれ」

「わかった」

「くれぐれも邪魔だけはするなよ」

「それもわかってる。ただし、私たちの目標なら邪魔させてもらうよ」

「ああ、じゃあ俺たちは行く。大体二時間程度で戻る予定だ。連絡手段は船に備え付けられた通信機に飛ばす。ただ距離が開くだろうから中継器を道中に挟むことになると思う。

 もしかしたら、ノイズが入ったり、通信が切れる場合もあるかもしれない。予定時間をすぎても戻らない場合は日が落ちるまではその場で待機してくれ。

 それでも戻らない場合、救難信号を飛ばして向こう側の船にこちらの事を気付かせろ」

 そう言ってジャックはトランシーバー型の通信機を取り出す。

 その言葉にエトワールは思い出したようにジャックに向けて小型の機械を渡す。

「それなら私たちが使ってる通信機を使うといいよ。中継器がなくても使えるはずだよ」

「こんな小さいものが通信機?」

「こうやって耳につけるんだよ。まあ、ここの技術は私たちから見たら百年以上前の骨董品みたいなものだからね」

「都市のアトラシントには空に高く伸びた建物や動く床とかもあるんですよね、私も一度行ってみたいな」

「ああ、必ず案内するよ」

 シオンとエトワールの会話を半信半疑で聞くジャックだがエトワールの真似をして通信機を耳に着ける。

「側面にボタンがあるだろそれがスイッチ。受信音がしたら長押しして通信状態になる。だけどバッテリーは長くはもたないから必要なときのみ使うように」

 エトワールは実演しながら話す。ポンッと音とともにジャックの耳から直接エトワールの声が聞こえ、ジャックは少し体を震わせる。

「これってステラも持ってるんだろ?だったら俺はいい」

 ジャックは耳から小型通信機を外し、トランシーバー型の通信機をポケットに入れる。

「うん、どうしてだい?」

「ははん、さては耳元で声がするのが怖いでしょ?」

「……お前の声が余計にうるさく聞こえるからな」

 エトワールは不思議そうに首をかしげるがステラは意地の悪い笑みを作りからかう。

 ジャックは否定をするがその表情は珍しく崩れ、不機嫌だった。

「それより君たちはどうやって移動するんだい?船はこのままだろ?」

「それならバイクを一台乗せてある。それで移動する」

「ちょっと待て、バイクなんて私は乗れない!それに一台って……」

「俺が運転する。お前は後ろに捕まってればいい」

「なおさら嫌だわ!」

「だったら風魔法でも使って飛べばいい」

「魔法だって無限に使えるわけないでしょ!」

「元気になったな、とっとと準備しろ」

 ジャックはそう言って甲板から離れていく。

 ステラは地団駄を踏みながら恨めしそうにジャックを見ており、さっきまでの不調は嘘のようだった。

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