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Ender Magia Chronicle  作者: 真夜
第一章 報復人 -BIRTH AVENGER-

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14.出発 -Depart-(1)

 街のはずれに止まっていた船の外見は本当に動くのかと不安になるくらい汚れており、それぞれの顔には心配、疑心、怒り等の表情が現れていた。唯一表情を変えずに乗り込み、操舵室に向かうジャックを恐る恐るついて行く五人はどこかぎこちなかった。

「なに、このきったない船。それに狭い!」

 最初に口火を切ったステラがいつもの口調で文句を言うがその船はジャックがいつも乗っている船より一回り以上小さい小型船であり、六人も集まれば誰が見ても窮屈だった。

「街を出ればすぐ砂漠だ。遮蔽物なんてほとんどない。大きすぎれば目立つし、探知機にも引っかかる。このサイズでしか廃墟や岩陰に隠すことができない」

「それでももっとましな船はなかったの?」

「乗りたくないなら砂漠でも走れ」

「二人とも落ち着いてください」

 険悪な二人をアステルがなだめて、お互いそれ以降は何も言わないが睨み合いは続いていた。

「まあまあ、用意してくれたのは彼なんだし我慢しよう。

 それでジャック、どうやって調査をするんだい?」

「まず、前提としてジョーカーやラックがいる船には見つからないようにしないといけない。彼らの調査範囲は事前の情報からある程度推測できる」

 ジャックはそう言って街とその周辺が描かれている地図を広げる。

 そして地図上の中央付近を指で刺す。そこには挿絵でオアシスや廃墟が描かれていた。

「話ではまずこの辺……、環境生物が多く生息しているエリアに行くそうだ。今日一日はこのエリアから離れることはないだろ」

「じゃあ、私たちはそことは別の場所を探索するのかな」

 エトワールはジャックが指さした場所を見つつ確認するがジャックは首を振る。

「いや、彼らの船の探査範囲内のぎりぎりを回る」

「それだと私たちがいることが知られませんか?」

「そうよ、私たちはばれないように行動しなくちゃいけないんでしょ」

 アステルの意見はステラも同意見なのか大げさに頷く。

「だからこの船だ。これなら遠目からなら廃船に見える。あとはこの船に使ってある動力炉は古い型だから信号を探知されることもない。

 だが設備は確認した限りしっかりしている。汚れてはいるが、カモフラージュに使えると判断し、そのままにしただけだ」

「ちゃんとこの船にも意味があったんだね。でもどうして討伐隊の近くなんだい?

 他の場所のほうが彼らにはばれないし、効率的じゃないか?」

 エトワールが船を見渡しながら納得する中、ジャックはさらに説明を続ける。

「ここでは生物が生きていける環境は限られている。聞いた契約獣の特徴を考えれば肉食だろう。そうすると必然的に生物が多いところにいる。だとしたらこのあたり以外は考えにくい。ここ以外にも生物はいるが同種の獣はここ以外生息していない」

「じゃあ、ただ討伐隊を見張るの?退屈ね」

 それを聞いたステラは不満げに呟く。

「いや、俺たちの方でも調査は行う。六人もいるんだ。まとまって行動する必要はない」

「人数的に三人ずつで別れる感じになるのかな」

「だとしたら調査へは私が行く。そっちの方が楽しそうだし」

 手の平を返したようにステラは楽しげに声を上げ、自らをアピールする。

 しかし、ジャックはその言葉を遮るように言う。

「組み分けは三人ずつにはしない。人数配分は調査が二人と監視が四人だ」

「なぜだい?」

「そもそも六人いると言っても戦えるのはピースメイカーのあんたらと俺を含めた四人だけだ。シオンとロザリアは船の外には連れていけないだろ」

「確かに二人を連れて砂漠を回るのは少し大変かもしれないね」

 エトワールはシオンとロザリアのほうを見て言う。

「それと調査のほうはあんたら三人の中から一人、俺と組んでもらう」

「はあ?」

「俺以外が砂漠に行っても土地勘もなければ調査もできないだろ」

 その言葉にステラは言葉を詰まらせる。

 しかし、エトワールは少し考えてからジャックに尋ねる。

「……でも君が調査に出ると私たちだけじゃ船を動かせなくなるんじゃ」

「動かし方だけならシオンが知っている。あとここにもこの船についてまとめてある」

「はい、前にお父さんたちからも教えてもらったから大丈夫です」

 ジャックは紙束を机に置く。その量を見てステラとアステルは顔をしかめる。

 シオンは少し得意げに胸を張り、その表情は頼られたからか嬉しそうだ。

「なるほど、それならシオンに任せようか。私も少しなら知識はある。機械にも得意だからこちらに残り手伝おう。

 調査はジャックと……ステラに任せようか」


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