12.噂 -Gossip-(2)
雑貨屋と言っても狩人が使う、武器や道具などを多く扱っており街の中ではかなり繁盛している。
何人かの狩人も店内におり、チームなのか話しながら品物を見ていた。
ジャックはカウンターに向かうといつも受付をしている中年の男性の店主が声をかけてくる。
「おう、ジャック。いつものか?」
「ああ、それと魔獣狩りに使う道具をいくつか」
「そういや、なんか大規模の魔獣狩りが行われるらしいな。そのための準備か」
「そんなところ。道具はここにメモしてあるもので」
そう言ってジャックは店主にメモを渡す。
「オーケー、店の倉庫にあるから取ってくる。しばらく待っててくれ」
男がカウンターからそのまま奥に進み、姿を隠す。
ジャックはカウンターの前で楽な姿勢を取り、男が戻ってくるのを待つ。
店内ではほかに来ていた狩人の会話が自然と耳に入る。
「最近クロウのメンバーがギルド内によく来ていないか」
「確かに、ただ前とどことなく雰囲気が違うよな」
「そういや、今日ギルドから出た大掛かりの魔獣狩りの作戦だけどクロウが支援しているらしいぞ」
「まじかよ、あいつらが?なに企んでるんだ?」
「噂じゃリーダーが変わったらしい」
「へー、ついに引退か」
「それが内部抗争あったらしくてそれで死んだっぽい」
「内部抗争?最近、街で威張り散らしてないと思ったけどそんなことがあったのか。
ということは新しいリーダーはその抗争を起こした首謀者ってこと?」
「詳しくは知らないが状況だけ見ればそうなるんじゃないか?」
「あと首狩りの知り合いが言ってたんだけどさ、手配書にクロウのメンバーが増えたらしいんだけど、で手配された奴はどうもあくどい商売をやってた連中ばかりって話」
「やっぱり、クロウ内で何かあったぽいな。平和路線に切り替えたとか」
「まさか、そんなことある?」
「確かに想像つかねえよな」
聞き耳を立てなくても聞こえてくる声にジャックは今日出会ったクロウの連中を思い出す。
リーダーの入れ替わりは間違いないだろう。内部抗争の噂は本当にあったのかもしれない。現リーダーのクロウことキングが言った組織改革にも一致する。
しかし、彼の話や雰囲気からはとても平和路線を目指す人間には見えなかった。
「待たせたな」
店主の手には二つの箱を重ねて持った状態で姿を現す。
箱をカウンターに置くと確認のためにその中身を一つずつ並べていく。
「あと最後にいつものやつだがそろそろ変えたらどうだ。魔導機銃が出てしばらく経つ。魔弾なんてもう使っている方が少ないぞ。在庫も次来た時でおそらく最後だ」
そう言って店主は装飾された銃弾を一つ取り出す。
「魔導機銃は魔石を一度セットしたら属性の切り替えができない。それに威力もそこまで高くはないし、改造ができない。俺は今の銃が一番だ。もし在庫がなくなったら自分で作るさ」
「それじゃこっちの儲けが減るじゃないか」
「魔石は取り扱ってるはずだろ。それを買うよ。道具は全部揃ってる。ありがとう」
ジャックは確認を終え、数枚の金貨をテーブルに置く。店主は金貨を確認すると道具を箱に戻す。
箱に道具を入れ終わると箱を重ねて、ずれないように紐で固定してから、ジャックはその箱を背負う。
「毎度!」
店主は景気のいい声でジャックを見送る。
空は茜色に染まり、街の人たちも少なくなってきていた。
これだけの荷物を持っていると誰かに狙われてもおかしくない。暗く成ればよけいにターゲットにされるだろう。
そう思い、ジャックはできるだけ早歩きで街中を通り抜けた。




