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Ender Magia Chronicle  作者: 真夜
第一章 報復人 -BIRTH AVENGER-

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10.混迷 -Confusion- (2)

 その後は全員で一度ギルドのほうへ戻り、解散後に二人と話そうと思っていたが、そうは予定通りには進まなかった。

 ギルドの前には夕方にもかかわらず多くの狩人が集まっている。

「なにかあったのか?」

「それはわからないけど獣狩りが多いみたいだね」

 ライラックは周りを見渡して集まっている人たちの中に知っている顔が多いことに気付く。

「とりあえず中に入ってみよう。人が集まっている理由がわかるかもしれない」

 全員が中に入ると今まで見たこともないくらいの人にジャックとライラックは驚く。

「なんだこれ?」

「ここまでギルドに人がいるのは見たことないな」

「おっ、ラックも来たか」

 その声の方向に振り向くとライラックの父親であるサルビアが立っていた。

「親父、この集まりはなんなんだよ」

「新種の魔獣が現れたらしい。それで討伐隊が組まれるそうだ」

「ジョーカーさん、あんたまで来ていたのか」

 サルビアの隣にいたが、全く気配を感じさせなかったジョーカーが答え、ライラックはその声に驚く。エトワールたちも初めて見るジョーカーに驚いていた。

「新種ならかなりの報酬になる。だとすると狩人たちの取り合いになるんじゃないのか?」

 ジャックの問いにサルビアは答える。

「いいところに気が付くな。噂自体にはなっていたんだ。それで何チームかの獣狩りが挑んだみたいなんだが、討伐に出て以来誰も戻ってきていない。それでギルドが仕切ることになったって話」

「姿を見たものの話によると一回り大きな狼の姿に体の一部に刺青のようなものがあったらしい」

「それって契約獣ですか」

 話に入ってきたエトワールにサルビアは感心する。

「あんたらがピースメイカーの嬢ちゃんたちか。ラックから話は聞いてる。嬢ちゃんの言う通り恐らくターゲットは新種ではなく契約獣だと俺とジョーカーは予想している」

「契約獣ってなんだ?」

「ラックお前よお、もう少し勉強しろよ」

「うるさい、親父に似たんだよ」

「契約獣は精霊と契約した獣の事だ。場所によっては霊獣とも呼ばれ崇められることもある。知能が高く、魔法も使ってくる。それに突然変異からの特殊能力を持つ場合もあるからかなり手ごわいと言われてる」

「さすがジャック。ラックも見習え」

「わかってるよ。でも魔獣でも魔法を使う奴いたよな?体に電気をまとったり、炎を吐いたりさ」

 サルビアはライラックの言葉に少し呆れた顔を見せる。

「魔獣は魔石を食った獣のことだ。体内に取り込んだ魔石によって体に魔力を帯びているだけで魔法を使っているわけじゃない。魔法を使うときは必ず魔法陣が浮かぶが魔獣にはいないし、高度な魔法はなかっただろ」

「あー、言われてみれば確かに。……ってことは人間が魔石を食べれば魔法が使えるってことか?」

「明確には魔法ではないけど、そうだ。つうかラックも魔薬は知っているだろ」

「精霊と契約してなくても魔法が使えるようになる薬だろ。ただ使いすぎると精神に異常をきたすとか。それで取り扱いには注意が必要なものだろ。……魔薬の材料ってもしかして魔石?」

 ジャックは懐から装飾された赤い弾丸を取り出す。

「ああ、それに俺が使っている魔弾や船の燃料も魔石からだ。魔薬は人間に取り込みやすくするように加工したものらしいけどな」

 その銃弾を興味深くライラックは見つめ、ジャックはさらに言葉を続ける。

「魔石は魔法を使ったあとの残りカスの魔力が再び集まってできる。同じ属性で集まる性質があるからそれぞれの属性の魔石が取れる。ただこいつを使ってできるのは衝撃を与えてその属性の現象を起こすくらいだ」

 エトワールがジャックの説明に付け加えるために言葉を続ける。

「魔法は精霊が魔法陣を作り、魔力に命令を送っていると言われているの。だから魔法を使うときに魔法陣が現れるんだ。私たちは使いたい魔法のイメージを想像して精霊がそのための魔法陣を作るの。でもあらかじめ武器や道具に魔法陣を解読した印を記述し、そこに魔石をエネルギーのように使うことはできるよ。君たちの船の動力にはこの技術が使われているはず。それでも魔法のような複雑なことは一切できないけどね」

 サルビアが頷きながら話に入る。

「まあ、こいつには座学はあとでたっぷりさせるとして、話を戻すと契約獣は精霊と契約した獣で本格的な魔法を使ってくる相手ってことだ」

「はいはい、頑張りますよー。だったらここに人が集まっているのは討伐隊の参加志願者たち?」

「まあ、そんなところだな。と言っても俺もジョーカーももう参加は確定しているんだがな」

「じゃあ、誰が参加するか確認するためにここにいたって感じか」

「まあな、それよりちょうどお前たちがここにいるし、話したいことがある。部屋も借りてあるから着いてきてくれ。ピースメイカーのお嬢さん方にもな」

 サルビアとジョーカーは先導しこの場を離れ、全員がそのあとに続いた。


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