9.勧誘 -Blackmail- (3)
暗い裏道の中、上機嫌なキングが軽い足取りで歩いており、そのあとに護衛が続く。
そのうちの一人が慎重にキングに聞く。
「過大評価ではないですか?ジョーカーの弟子とはいえうちの事情を話し、スカウトするなんて」
「あはは、君のほうが過大評価してない。あれはただの子供だよ」
「えっ、ですが貴方はさきほど……」
「彼はこの街にいる親を亡くしたただの子供さ。たまたまつよーい人に拾われて生き残っただけ。
だからこそスカウトしたのさ。子供は今のうち餌を与えて懐かせれば従順な駒になる。
それに心に傷を負っていればいるほどその依存度は強くなる。
そうなればもう僕の手の中にすっぽり収まる。
むしろ一番嫌なのはあの獣狩りの馬鹿やピースメイカー達に感化され正義感に目覚めちゃうこと。
そうなるとこっちとして厄介な敵になりかねないしね」
「しかし、やはりこちらの事情を話したのはよくないのでは」
「別にいいよ、次の計画で盛大なパフォーマンスと一緒にたくさんの人に伝えるつもりなんだからさ。それにあの子がさっきの話を全部伝えることはしないよ」
「それはなぜ?」
「子供は後ろめたいことを隠すものだからね」
キングは足を止め護衛のほうに振り向く。
その掴みようのない無邪気な笑顔が護衛にとってはもっとも恐ろしいものだった。




