7.観光 -Travel- (2)
準備もできたことでギルドの人に頼んで裏口から抜ける。
少しだけ、裏道を歩きギルドと距離を少し空いた場所で中央通りへと出た。
日中でもあるため時間的にも一番賑わっているがそのほとんどは狩人であり、皆が武器を携帯している。
「これは武器を持っていたほうがよかったかな」
「あんたの武器は目立ちすぎる。……ないよりはましだろ」
そう言ってジャックは予備の皮の鞘に入れたククリナイフをエトワールに渡す。
「まあ、武器がなくて問題はないが見せておくことが重要みたいだね」
魔法が使える彼女たちには必要がないがエトワールはそれを受け取り腰にぶら下げる。
「じゃあ、案内しますね。何か気になるものがあれば言ってください」
「うん、わかったよ」
シオンが先導し先に進む。
しばらく歩きながらも観光客のように何度も立ち止まり、周りを見て回っていた。
そこでより4人の趣味嗜好が少しだが垣間見えた。
アステルはどうやらこの街の食べ物に興味があり、露店でいくつか購入していた。その中にはジャックたちですら食べたことないものがあった。話を聞くと食べること専門ではなくよく料理を行うらしく、その研究も行っているらしい。この辺りの調味料も珍しいのかいくつか買っていた。
ステラはその冷徹な態度とは反対にアクセサリーや小物、あとは洋服などを目で追っていた。彼女は三人の中でもっともお洒落に気を使っているらしく、彼女の制服はほか二人と違い改造されていた。
エトワールに関しては狩人の道具や武器などを見ては何に使うかなどをよく聞いてきた。彼女の使っている機械仕掛けの剣も武器の資料を参考に自分で作ったと言っていた。その姿は軍人というより研究者に近かった。
ロザリアは見るものすべてが初めてなのか目を輝かせながらすべてを見て回ろうとしている。特に彼女には目を光らせておかないとどこかに行きそうだった。しかし、そこは同年代としてシオンも話しかけやすかったのかほぼ付きっ切りで一緒に回っていた。
ジャックとライラックが予想より楽しんでいる四人に呆気にとられた。
かなりの距離を歩いたがシオンは楽しさからか体調はとてもよさそうに見えた。
逆にジャックは彼女たちのテンションについて行けずに少し疲れていた。
「あっ、すぐそこです」
シオンが指で示した先には小さな建物があり、店だとわかるようなものはなかった。
全員でその建物に近づくとドアノブに営業中の札がかかっており、そこからここが確かに店なのだとわかる。
シオンが扉を開け挨拶とともに中に入っていく。皆が後に続いて行くがジャックだけは入ろうとしなかった。
「どうした、ジャック」
「俺は外で見張りをしている」
「わかった、何かあったら呼べよ」
そう言ってライラックは中に入り扉を閉じた。
周辺には誰もいなくなったがジャックは大げさに声を出す。
「狙っているのは俺だろ。さっきからいやでも視線を感じるんだよ」
その言葉にフード被った六人がその場に現れる。
一人がフードを脱ぐと黒髪で整った顔立ちをした二十代後半くらいの男だった。
「初めまして、狩人のジャック。君をスカウトしに来たよ」
男は狩人のような屈強な肉体でもなければ、強者の放つ雰囲気も感じなかった。一見ただの容姿のいい優男といった印象だった。
しかし、その声は人を惑わすような不気味さを感じ、その笑みは一瞬だが恐怖を感じた。




