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Ender Magia Chronicle  作者: 真夜
第一章 報復人 -BIRTH AVENGER-

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6.兄妹 -Brother's- (1)

 ある程度の雑談の後、また明日の昼からギルド前で集合となり、その場は解散した。

 ライラックから昨日の埋め合わせということで帰りの途中に屋台から蛇肉の串焼きを奢ってもらい、食べ歩きながらライラックの拠点となる街外れにある家に訪れた。

「ここに来るのも久しぶりだな」

「確かにね、後でシオンにでも会って行けよ。あいつ、お前が来ること楽しみにしてるし」

「そうだな、で話したいことって何?」

 わざわざライラックの家に訪れたのは解散の後、ライラックに頼まれたからだった。

 ライラックはいつものような明るい雰囲気が消え、その表情はエトワールからあの協力を話した時のような真剣な表情を作る。

「ジャックはやっぱり、エトワールたちの言ってたことに協力はできないのか?」

「ああ、そうだな」

「……そっか」

 ジャックは躊躇いもなく答える。ライラックは予想通りではあったのか特に驚いた様子はなかった。

「なあ、久しぶりに模擬戦しようぜ」

 突然の提案にジャックの表情が驚きに代わる。

「……急だな」

「いいだろ、そうしたい気分なんだ」

 そういってライラックは構えをとる。

 なぜかやる気に満ち溢れているライラックの様子から断っても無駄だと感じたジャックは模擬戦を受け、二人は家の裏手に回る。

 ある程度の広さに街外れなこともあり、周りに人はいない。

「この石が落ちたらスタートな」

 ライラックは手ごろな大きさの石を拾い、それを宙に投げる。

 すぐに後ろに何歩か下がり、構えを取る。

 ジャックは一切石を見ずにライラックに注目する。

 石が落ちると同時にライラックはジャックに向かって特攻を仕掛ける。

 ライラックの性格上、様子見などせずに来ることがわかっていたジャックは少ない動作で攻撃をかわす。ジャックは回避動作から流れるような動作でカウンターを行うがライラックは両腕でガードする。

 ジャックは掴みに来る腕をかわして距離を置く。

 何度も二人は模擬戦を行っており、勝率はジャックのほうが高い。それはジャックの専門が対人でライラックが対獣のことが大きい。だが、ライラックの体格はジャックより一回り大きく、獣を相手にしているため筋力も大人にも負けないくらい鍛えられている。

 よって力勝負に持ち込まれれば確実に負ける。

 彼らの独自のルールでは第三者がいない場合の模擬戦の勝利方法がある。

 一つ目は相手を拘束し5秒間行動不能状態にする。二つ目は相手の喉元に触れること。

 禁止事項としては武器を使わない、命を奪わなければ、基本何でもありになっている。

 何でもありとはいってもジャックは模擬戦ということで賞金首を相手によく行う目つぶしや急所狙いは控えた戦い方をしている。

 ライラックに関してはそのような手は一切行わず、正々堂々正面から攻撃を行うことが多く、普段なら攻撃後の隙が大きく、カウンターが容易だった。だが今日のライラックはいつもより冷静なのか次々繰り出される力強い攻撃後のケアも安定している。

 この街の出身のため護身術を覚えるのは常識で動きは熟練されている。それにジャックの立ち回りの対策も模擬戦を行っていない間にしていたのか、その動きに迷いがない。

 ライラックの狙いは拘束による行動不能での勝利ではなく、もう一つの勝利方法を狙っているとジャックは予想した。

 いつもなら荒々しい攻め方のライラックが丁寧に立ち回りにジャックは想像以上のやりにくさがあった。普段より洗練された動きにより体格も力も優位なライラックが有利であり、ジャックが勝っている部分は足の速さと身のこなしぐらいだった。

 それだけではなくジャックの動きをしっかりと観察し攻撃方法を使い分けており、一定の距離を置けばやり過ごすことはできるが攻め手がなかった。

 これが実戦であれば一気に大きく後ろに下がり、銃による鎮圧を図るだろうが今はそれもできない。一番安全な策は一定の距離を置き、攻撃を避け続けて、ライラックの体力切れを待つという選択肢もある。

 しかし、それでは勝負の決着には途方もない時間が掛かるのは簡単に予想ができる。

 ジャックは今まで当たらないように回避してきた拳を初めて横に受け流す。受け流されてもライラックはジャックが近づいてきたのをチャンスと考え、攻撃の手を止めない。

 その攻防はさらに激しさを増し、ライラックの攻撃はより多彩になり、ジャックも危険ではあるが掴み以外は回避せずに拳と蹴りを小さな動作で受け流し続ける。読みを間違えれば一瞬で押し切られる可能性はあるが絡め手の少ないライラックの動きはまだ読みやすかった。

 激しくなる攻防だが徐々にライラックの攻撃は大振りになっていく。それはジャックが受け流す方向をあえて相手の体に負荷をかけるようにしていた。それに体力の消費は攻撃側のほうが大きい。

 少し体勢を崩した状態での右ストレートをジャックは見逃さずに反撃を仕掛ける。

 その拳を頬に掠めながらも躱し、その右腕を掴み振り向くように体を回し、相手の力の流れを利用する。ライラックの体はジャックとの体格差を感じないほどにあっさりと宙に浮く。

 背負い投げの形となり地面に伏せると同時に拘束すればこの模擬戦は終わるとジャックは考えた。

 しかし、ジャックの想定に対してライラックは投げ飛ばされているにもかかわらず両足で着地し、ジャックの腕を掴んだまま体を捻り体勢を戻したところでジャックをそのまま押し倒す。

 勝負を決めるため倒れたジャックを抑え込もうとする。だがジャックはすぐに倒れたまま片足を突き出す形で迎撃を行う。

 ライラックがそれを受け止めるが掴まれた腕を解放されたジャックは両手を地に付け上体を起こしつつもう片足で蹴りを行う。

 それをライラックは両腕で受けるがすぐに体勢を立て直したジャックはこの状況を好機と考え動く。

 ライラックもまたすぐに体勢を整えるがジャックは相手の死角になる位置取りで移動しており、ライラックの反応が遅れる。

 勢いをつけたジャックの蹴りが防御の間に合わないライラックに直撃する。

 ライラックは蹴りを受けても少しよろけるのみで倒れはしなかった。だがジャックは追い込むため一回目の蹴りの勢いをそのままに、流れるように足を切り替え二回目の蹴りをほとんど時間差なく放つ。

 一撃目よりも強力な蹴りはライラックも受けきることはできずに体勢を崩す。ジャックはそのわずかな隙からライラックの首を掴んでいた。

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