5.紹介 -Introduction- (1)
堅苦しい雰囲気になったが、エトワールは空気を変えようと明るく仕事の話をしようとする。
しかし、ジャックはこの中で唯一、この場にそぐわないロザリアに視線を向け、聞く。
「あんたたちの個人的な目的はわかった。だが、一つ大きな疑問がある。そいつは精霊契約者じゃない」
「へえ……、なかなかの推理力だね」
「精霊契約者にとって契約陣を見せることは常識みたいなものだろ。服の下に隠れていることも考えたが最初に出会ったとき、こいつは魔法を使っていなかった。いくら一般人でも魔法が使えればあの程度のごろつきは瞬殺だ。なにより、その接し方だ」
ウィズピースの任務にはロザリアが関係しているのだとジャックは気付いていること、その視線からエトワールは理解する。
「彼女の事情はウィズピースの任務に関係あることは間違いないよ。でもそれ以上は言えない。こっちもまだまだ情報不足でね。また進展があればちゃんと話すよ。それで今は納得してくれないかな?」
「……あくまで俺たちは雇われただけだからな。それで仕事は断らない。だが、もし俺たちに損失が大きいと判断した場合はすぐに打ち切らせてもらう」
「それでいいよ、じゃあこちらの依頼は受けてくれるってことで早速これからの話をしようか」
「りょーかい」
調子を取り戻したのか、ライラックが軽い口調になっていた。
「さっそくだけどこれからの予定なのだけどとりあえず今日を含めて五日間を契約期間でそれ以降は随時更新として行きたいと思ってるけど問題ないかな」
二人は素直に頷き、エトワールは話を進める。
「それで今日はお互いを知るための時間にしようと思ってる。明日はこの街の案内をして欲しい。残り三日で狩人の依頼をやりたいと思っている。依頼内容は君たちに任せるつもりだけどどうだろう?」
「それで構わない。だが三日だと魔獣狩り以外は無理だな。ライラック、依頼の選別は任せていいか?」
「ああ、任せとけ」
自信満々のライラックはその専門を魔獣狩りとしている。そのため彼女たちが慣れていない分、彼のほうが可能な依頼を見つけられる。
「そっちはライラック君にお願いするよ。じゃあ早速、親睦を広めようじゃないか」
エトワールは楽しみにしていたのかその目は輝きを増し、立ち上がる。
「名前はお互い知ってると思うけど改めて、私はエトワール・アルタイル。出身は首都のアトラシント。代々ウィズピースのピースメイカーに所属していてランクはB。
使える魔法属性は雷で、得意な魔法は広範囲の殲滅系かな。一応ほかの魔法をよく使ってるんだけど、そっちは見た目が地味だからね」
「うーん、ランクなら狩人にもあるからなんとなくは、俺は魔法にはさっぱりだからな」
エトワールの紹介を聞いて、ライラックが首をかしげる。
ジャックは狩人のランクは信用度や貢献度を表すものに近く、ピースメイカーのランクはその実力を表すもので違いがあるのを知っていたが、説明するのも面倒くさかったために、特に言葉をはさむことはしなかった。
「そっか、ならこの後に魔法について詳しく説明するね。でもジャック君はいろいろ知ってるみたいだけど」
見透かしたような視線でエトワールはジャックの方向を見る。
「大体知っている。賞金首には精霊契約者もいるからな」
「やっぱり!それも君の師匠……ジョーカーさんだっけ。その人に教わったの?」
「ああ」
ジャックはポーカーフェイスで返事をする中、何故か自慢げにライラックが話す。
「ジョーカーさんは魔術殺しと呼ばれるほど魔法について詳しいし、沢山の精霊契約者を捕まえてきたからな。
弟子のこいつも相当なもんだぜ」
その言葉にエトワールとアステルは困ったように笑い、ステラは鋭い言葉を投げかける。
「私たち相手に魔術殺しとはいい度胸だね」
「いや、その、指名手配されてる奴らだけだから。そうだよな、ジャック」
取り繕うようにライラックは言葉を並べジャックを見る。そしてエトワールは便乗する。
「へえ、じゃあ魔法に詳しいジャック君のこと教えてもらえないかな?」




