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Ender Magia Chronicle  作者: 真夜
第一章 報復人 -BIRTH AVENGER-

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4.依頼 -Quest-(2)

 船の整備は朝から昼の時間をすべて使って終わり、駆け足でギルドへとジャックは向かった。

 狩人は時間に厳しい奴は少ない。一時間程度遅れてもお金さえ出せば大体解決する。

 しかし、今回の依頼は初めてジャックに来た指名のため、評価は少しでも良くしておきたい。

 今のジャックの評価はジョーカーの弟子でしかない。彼が強いのも周りから優遇されるのもすべてジョーカーの尾ひれがつく。

 しかし、間違いなく自分が強くなれたのはジョーカーに拾われ、その指導を受けることができたからだ。

 ただジャック自身努力を怠ったことはない。戦い方から様々な武器の扱い、そしてここでは出くわすことも珍しい精霊契約者と魔法についての知識も文句の一つも言わず学んできた。

 ゆえに何を言われてもその経験が自信となり、誹謗中傷の言葉にも気にすることなく無表情で対応していた結果ポーカーフェイスが特技になっていた。

 ギルドの前に到着したジャックの呼吸は乱れ大きく肩が上下に動いていたが、すぐに何事もないように無表情を作り乱れた呼吸を整える。

 ジャックが中に入ると受付のおっさんが待ち受けていたのかすぐに駆け寄ってくる。

「遅かったな、もうすでに集まっている。ついて来い」

 予想外の出迎えに内心驚くジャックに対して受付は焦っているのか早足でついて来いと促す。

 昨日と同じく奥にある扉に入る、今回は通路の先の一番遠い部屋へ案内される。

 受付は失礼がないようにと念を押してその場を去る。

 ジャックはこの時点で部屋の扉を開けることに倦怠感を感じ、受付の態度を見て間違いなく面倒くさそうな相手であることは確定しているためその場を去りたくなった。

 しかし、任務の放棄は信用をもっともなくす行為に当たる。

 それにこれはジャックの狩人としての実績作りには間違いなくプラスとなる。

 ジャックは表情を整え、静かに扉を開く。

 部屋の内装は昨日より圧倒的に豪華であり、机の上にはティーセットにお茶菓子まで置かれている。

 しかし、ジャックにはそんな珍しい物には目に入らず、昨日ぶりの五人の姿に視線が引き寄せられた。

「遅い、狩人は時間も守れないの?」

 ジャックを見るなり、ステラが声を上げる。ジャックは聞こえなかったよう何も言わずに部屋の中に入る。

 お互い第一印象は最悪の形であり、ステラの様子から昨日の戦闘の事はまだ根に持っているように感じた。

「落ち着いて、明確な時間も指定ないし、私たちもここに来たのはついさっきじゃない」

 宥めるエトワールに緊張から少し動きが固いアステルはジャックに向け小さく頭を下げる。ライラックはからかうように笑いながら手を振り、ロザリアは昨日の怯え方が嘘のように落ち着いた様子で小さな口でお菓子を食べている。

「お茶会に来たわけじゃないんだけど」

 想像以上の気が抜けている空間にジャックは冷静冷徹に言い放つ。

「ごめんね、でもそこまで固くなる必要はないよ」

「仕事で手を抜くつもりはない。早く依頼の内容を教えろ」

「ジョーカーから昨日聞いてないのか?」

 ジャックは首を横に振る。どうやらライラックが昨日ジョーカーに会い、大体の内容を伝えていたようだった。

「だったら私から説明するよ。そう難しい仕事じゃない。断ってもらっても構わないが報酬は弾むよ」

 ジャックは無言のまま、エトワールへ目を向ける。それを肯定と受け取り言葉を続ける。

「依頼内容は二つ。一つはここの案内人となってほしい」

「案内人?」

 思いもよらない内容にジャックは聞き返す。

「ええ、私たちはこの街に来たばかりで知っていることは教本で読んだ最低限の知識だけ。昨日もそれが原因でロザリア様を危険な目に合わせてしまった。だからこそ、実力があり、この土地に詳しい信頼できる人が必要だと考えたの」

「信頼?昨日会ったばかりの人間だぞ」

「ああ、だって君たちは彼女を救ってくれた」

 そういってエトワールはロザリアのほうを見る。

「裏があるとは?もしくは倒した奴らから奪おうとしていたとか」

「それもありえない。君たち二人が去ったあとロザリア様から聞いた。ライラック君は前から堂々と現れ止めに入ったし、君は彼女を救う際、彼女を怪我しないように抱き寄せ、自身の後ろに隠したと言った。裏があるような人間がとる行動ではない。君たちはそういった悪を許さないタイプであり好感のほうが持てるね」

「あはは、照れるぜ」

 能天気にも頭を掻き、笑っているライラックを一睨みし、ジャックは諦めたのかため息をつく。

 そこにステラが威圧的にジャックに言う。

「私に銃を向けたのは忘れないけどね」

「でも一発も当たってないよね。きっとジャック君が魔法を使ってないとはいえステラの細剣を防いでいたし、彼の実力なら銃で防ぎながら当てることもできたはずだ」

「くぅ、でも……」

「ステラ、私たちはここに敵を作りに来たわけじゃないんだよ。君の気持もわかるけどここは仲良くしてくれると助かるかな」

 そういってエトワールはステラの手を優しく握る。ステラの頬は紅潮し、表情と一緒に敵意が溶ける。

「エト姉さん、わかったわよ」

 異質感を感じたジャックは咳払いする。

「話を戻してくれ」

「ああ、ごめんね。さっきも言ったけどまず一つはここリムレイの案内と私たちは必要ないがロザリア様の護衛もお願いしたい。もちろん普段は私たちも行っているけど万が一という事態もあるかもしれないからね」

 ジャックはロザリアの様子を見る。彼女はここが安全だから昨日より隙だらけでのんびりとしている。

「もう一つは?」

「これは少し君たちに無礼かもしれないのだが、私たちに狩人としての仕事を経験させてくれないか」

「……どういうことだ?」

「これはトップからの直々の依頼でね。ウィズピース内でも意見が分かれているからあんまり口外しないほうがいいんだけど。まあ君たちなら問題ないかな」

 今まで少しおっとりとしていたエトワールの雰囲気が変わり、まっすぐとジャックを見る。

「リムレイの現状の改善、精霊契約者との格差の解消」


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