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番外編 幸せに溺れて

私たちは無事学園を卒業して、本日結婚式を終えた。

そう、つまりは本日から夫婦デビューである。そして、今夜は夫婦として過ごす初めての夜だ。初夜にどういうことをするか、全く知識がないわけではない。

だがまあ、サミュエルは何だかんだ言って奥手だし甘え下手だから、そういうのを口にしたり行動に移したりなんてのは手こずりそうだなあ、なーんて高を括っていたのだが。


「な、なんか素直だし積極的だね?どうしたの?」


ベッドに入ろうとしたら後ろからがっちり抱きしめられて、現在身動きが取れません。あと、ちょこちょこ首にキスされてる。お誘いか?お誘いなのか?


「……前に言っただろ、結構ギリギリなんだって」


彼が甘えたな声で、耳元でそんなことを囁く。

なんというか、腰が砕けそうなので耳元で囁くのは控えていただきたい所存だ。


「もうなんか見栄を張ったりするのも馬鹿馬鹿しいし、オレだっていい加減夫婦らしいことがしたい」


彼はハグした状態のまま、私の指をその手で弄る。指と指の間を撫でるように触られて、なんだかくすぐったい。

視線が交わって、鼻と鼻が当たってしまいそうなくらい、顔同士の距離がぐんと近くなる。そんなこと考える前ならなんともなかったのに、心臓がドッドッと激しく脈打つ。

彼は私の反応を楽しんでいるのか、まだそれ以上のことをする様子はない。今度はこっちがからかわれているようで、どうにももどかしい。


撫でるように触っていた彼は、私の手をきゅっと握って恋人繋ぎをした。手と手がピッタリくっついて、体温が直に伝わってくる。私より骨ばった手に包まれて、彼が異性だということを再認識せざるを得なくなってしまい、こんなこと今更なのに恥ずかしくなった。


羞恥心で彼から顔を逸らそうとしたが、逸らすなんて許さないとでも言いたげに、今度は正面に回って私の腰と顎に手を添える。これは口にする流れかと思って目をぎゅっと閉じると、何故か鼻にキスをされた。彼は髪にも耳にもキスを落とす。

されるのは嬉しいけど…いちばんして欲しいのはそこじゃないんだけどな。不満げに口を尖らせると、彼はこの上なく楽しそうにくつくつと笑った。


気持ちを確かめ合うように、何度も何度もキスを交わした。それは小鳥みたいについばむようなものだったり、舌で唇をなぞるようなものだったり、溺れそうで、息をするのもやっとなほどのものだったり。

そうしてたくさんしたせいか、唇が濡れてしっとりしている。酸素が足りなくて、はあはあと肩で息をする。ちょっと休もうとしても、彼がまだ足りないと言わんばかりにねだるものだから、つい彼のわがままに応えようとしてしまう。

彼はどうやら、私が思っているよりもキスをするのが好きらしい。


「……サミュエル」


「ん」


「サミュエルって、そんなにキスが好きだったんだね。しらなかったよ」


「キスが好きって言うか……その、なんか…こうしてると、好きな気持ちが伝わる気がして…」


「……やっぱなんでもない。忘れろ」


「やだね、忘れないよ。……でも、なんか、言いたいことわかるかも」


額をこつんとあわせて、ほのかに熱を持ったその瞳を、じっと見つめながら小さく微笑む。


「私がサミュエルのことどう思ってるか、伝わってる?」


「まあ…何となく」


「ならよかった」


なんてことないことかもしれないけど、こんなふうに好きを伝え合えるような幸せを噛み締められることがうれしくて、つい頬が緩む。そんなふうにぽやぽやしていると、ベッドにとんっと押し倒された。

彼は耳元で、少しかすれた声で囁く。


「……つづき、してもいい?」


もー…そんな顔するなんて反則だ。一体こういうのどこで覚えてきたんだろう。日頃は腹立つことも多いくせに、今は可愛いやらかっこいいやらでクラっときてしまう。好きな気持ちが溢れて、心臓がきゅーっとして、胸がいっぱいになる。

こくりと頷くと、彼は満足そうに顔をほころばせた。

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