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19話

サミュエルを探すために辺りをきょろきょろ見渡していると、後ろから「おい、ここで何してるんだ」と声をかけられる。


「あ、サミュエルそんなところにいたんだ」


後ろを振り向くとサミュエルと…もう1人別の人がいることに気がついた。

後ろでまとめられた茶色の髪に、緑に近い黄色の瞳。へらへらと笑う様子からそこはかとなく遊び人のような雰囲気が感じられる。

これってもしかしなくても、攻略対象のひとりのアシェル・サーペンティンじゃん!!


「どうもはじめまして!ボクはアシェル・サーペンティン」


「ミアちゃんが言ってた、今日昼食を共にしてくれるクレアって女の子は君のことだよね?一応伯爵子息だけど、気軽に話しかけてくれたら嬉しいな」


と、語尾にハートマークがつきそうなノリでアシェルがそう言う。こんなモブに対しても友好的なんだな……。流石女の子好きキャラなだけある。


「あ、はい。よろしくお願いします」


「サミュエルと仲良いんだって?君のことは彼からよく聞いてるよ〜」


「おい、アシェル。別にオレはこいつの話なんてそこまでしてないぞ」


この世界では二人はそれなりに交流があるらしく、呼び捨てできるような仲みたいだ。若干不憫属性なチャラ男キャラの攻略対象と気難しい悪役が仲良くなることってあるんだ……。今の様子ではどちらかというと、ただからかってるみたいな感じだけど。

やっぱあれかな、サミュエルの性格がゲームより丸くなったし、伯爵家同士なのもあって関係性が変わったのかな。


「またまた〜、図星だからってそんな睨まなくても……」


「別に図星でもないし、睨んでもない。目が悪くなっただけだ」


ゲームでサミュエルは目が悪いなんて設定あったかな…?もしかしたら私が知らないだけで、裏話とかで取り上げられてたのかもしれない。だからあんなに目つきが悪いのか……!(失礼)

くっ、見逃したコンテンツがあるなんて、オタクとして一生の不覚……!


「そんなに目が悪かったっけ?クレア嬢のことは、どんなに離れててもすぐに見つけてたと思うんだけど?」


「そう、さっきみたいにさ〜」


「っな、はあ!?」と唐突にサミュエルが大声を上げた。

うん?私が考え込んでいる間に一体何があったんだ。

完全に会話に置いていかれて困惑している中でも、彼らの話は進んでいく。


「あはは、もしかして余計なこと言っちゃったかな?」


「い、いい言っとくけどなあ!こいつが発光してて特徴的で見つけやすいだけでオレは普通なんだ!!」


「そうかなあ…」と含みをもったような声色でアシェルが呟いた。

なるほど、とりあえずサミュエルに貶されていることだけは分かった。

おい、本人の目の前で特徴的とは何だ。発光うんぬんも聞き捨てならない。それ何、私が遠回しにハゲって言ってる?大体そんな輝かしい頭してないし、容姿に関して言ってるのならそれは普通に絶許案件なんだが??


「ちょっと!特徴的ってどういう意味!?」


「特徴的は特徴的だバーカ!!」


私の中でプチンと、堪忍袋の緒という名の何かが切れた音がする。戦いの火蓋は切って落とされた。喧嘩は買うものだからこれはしょうがない。


「はぁ?減らず口をたたくのは、ど〜の〜く〜ち〜か〜な〜?」


じとーっと彼の顔を睨みつけながら、自分が出せる全力の範囲の圧をかけつつ詰め寄る。ガン飛ばすとも言う。ヤンキーがカツアゲとかでよくやるやつ。


「っちょ、近っ……」


彼は視線を泳がせながらちょっと俯いて、その場に固まってしまった。

そっちが視線を逸らしたから今回は私の勝ちな!!!と心の仲で捨て台詞のように言い放つ。私に勝とうなんざ百年早いのだよフハハハ!

……なんかこれ、私の方が悪役っぽいな??


「はいはい、わかりましたよっと」


彼も反省したようだし、ガン飛ばすのをやめてそろそろ離れてやるか。神経質で意外とパーソナルスペースの広い彼のことだ、幼馴染みと言えど他の人に近寄られるのはさぞ苦痛だったことだろう。


「あっ……」


きちんと距離をとって離れてやると、彼は眉を下げて何かを惜しむような声を零した。


「…?どうかした?」


彼の様子を不思議に思って問いかけるが「な、なんでもない……」とはぐらかされてしまった。何なんだ、一体。


「コホン。あーその、なんていうか……ガンバレ」


「違う!別にそんなんじゃないし余計なお世話だっ!!」


何の話か全くわからない。まあいいか、多分私には関係ないことだろう。男子の内輪ノリ的なやつに違いない。


「アッそうだ!ミアたちを待たせてるんだから早く行かなきゃ!」


こんな大事なことを忘れるとは、なんとも情けない。私の前世、もしかして人間じゃなくて鶏か??

そんな自虐をしながら、私たちは急いで食堂へと向かった。


これは余談だが、食事のメンツにレオもいるということを伝え忘れていたので、サミュエルが完全に休日に上司に出くわした平社員みたいに狼狽えていた。


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