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プロローグ

皆さんは転生モノの主人公と言ったらどんな人物を思い浮かべるだろうか。

どうしようもない悪役になる予定だったけど、前世の知識を駆使してゼロからスターになるような人？それとも、数多の才能に溢れた主人公として生まれた勝ち組の人？

大体の人はそのどちらかを想像するだろう。

だがしかーし！実際その立場になるのは生死に関わるような事件に巻き込まれることも多く、簡単に言ってしまえばめんどくさい。

何が言いたいかって？

ふっふっふ……つまりはそう、『モブこそ至高！』ということである。なんたって面倒事はヒロイン様らが請け負ってくれるし、2次元だった推しが同じ世界にいたりするのでその目におさめることができる。所謂美味しいところだけ貰うことができるのがモブの特権なのである。

そして私は、なんとも運の良い事に好きな乙女ゲームのモブに転生した。前世でしんじゃったのはもうどうしようもないことだけど、この世界に生まれることができたのならオタクとして徳を積んでいて良かったと思う。

とまあそういうわけで、オタ活満喫するぞ〜！………と思っていたのに。

「おい、ぼさっとするな鈍感バカ」

幼馴染は口の悪いツンデレに進化した悪役(仮)だし。

「ご機嫌よう、クレアさん。とても楽しそうね、何かいいことでもあったの？」

「やあ、クレアさん。今日も元気そうで何よりだよ」

いつの間にか顔面偏差値最高峰のヒロインと攻略対象さん方に認知されてるし。

何だこれ、どうなってんの！？！？

＿＿これは、モブになるはずだった転生者と、ゲームのシナリオという運命を背負うはずだった彼らの物語である。