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英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第一章〜深淵なる洞窟〜
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⑥「逃走劇」

オークの集団との逃走劇を繰り広げるアンセムたち。

アンセムたちはオークたちから逃げ延びる事が出来るのだろうか…。

是非楽しんでいってください!!!


クソッ!!なんで俺はあんなことを。


俺は後悔していた。いや、酷く後悔していた。

俺が初めて後悔したのは、100体程のオークの群れに追いかけられながらだった。


今も後ろからピギィーやブヒーなどがたくさん聞こえてくる。


アオは俺の全力疾走のスピードに追いつけないため、今は俺の腰につけている鞄からグラングランと揺らされながら頭を覗かせている。


そんなアオはこの揺れに負けないくらいプルプル震えていた。


今すごい速度で第二層を駆け巡っている。

周りには濃い森が広がっている。


ここはダンジョンだ。

大事なことだからもう一度言うが、ここはダンジョンだ。


なのにここには広大な森が広がっており、それに気づいて初めて太陽を見たときは思わず目を疑った。


それくらいこのダンジョンは広大なのだ。

森どころか太陽?がまるで地上と同じように登って沈んでいる。


ここは地下だよな?


何度も確認してみたが、もうすでに地上なのか、洞窟ダンジョンのなかなのか分からないほどここは深淵の森の環境と似ていた。


唯一ここが地上ではないとわかるのはあたりに漂う大量の魔力の濃度が明らかに違って濃いからだ。


何なんだこの空間は!?


 そんな空間が広がっているこの第二層はこのダンジョンに来る侵入者を広大な森という迷路で迷わせてしまう。


俺も昨日の半日の間、彷徨っていた。

それほどここはどこなのかわからないのだ。


そのくせここには多くの魔物や準亜人が多く生息していて、奴らとのトラブルは日常茶飯事なのである。


今がちょうどそのときだった。

面倒くせぇ!!


後ろから俺の近くをヒュッといくつかの矢が飛んできて、森の木に刺さる。


そのうちの1本が俺の顔に掠って前にあった木に刺さった。矢が掠り、ヒリヒリと痛むすり傷から血が流れ出てくる。


やばい、どうする?


考えてる暇もあまりないようだ。


幸いあいつ等も俺と同じで四本脚じゃなく、二本足で走る。


深淵の森のときとは違い、そうそう追いつかれることはないぁろう。


 だがここはダンジョンだ、いくらここが広いといっても、ここらに住んでいる原住民みたいなもんだ。


どうせここは奴らの庭みたいなものだろう。

とにかく、縄張りを早く突破してあいつ等を振り切ろう。


オークたちの口ぶりから他の種族の縄張りがあるだろうから、今の縄張りから出て、違う縄張りに入ればそうやすやすと追いかけることはできなくなるだろう。


 しばらく走り続けただろうか、少し息が上がってきたがまだまだあいつ等は追いかけてくる。


どうせ俺に復讐を済ませるまで諦める様子はないだろう?


最悪、迎え撃とうか?


いや、ダメだ。


物資が限られている今、無駄な戦闘は控えるべきだ。


それにあれほどの数と戦ったらこちらはただでは済まなさそうだ。


もしポーションが切れてしまえば万が一重症な傷を負ったときに回復できない。


軽症ならアオが治療できたため、軽い戦いはできたが本格的な戦いはできるだけ避けるべきだったのだ。


なんでこうなった?


オークが俺を挑発するか…。

いや、オークの挑発と肉の誘惑に負けた俺が全面的に悪い。


ちらりとアオを見るとアオが俺を責めるように見てくる。

どうするの、これ?とでも言うように。


すんません。後で魔石大量に上げるから許してくれ。

しかし、アオは許してくれる雰囲気ではないようだ。

まあ、仕方がない。

アオは一度オークに囲まれたことがある。

その時からオークのことは余り好きではないようなのだ。


分かったから、もっと魔石を増やすから。

後で特大な奴やるから。


これで、勘弁してください。

俺の言葉を聞いて、やっとアオの機嫌が治った。


良かった。


とにかくこの状況をどうにかしないとな。


色々策を練ろうと余裕のない中、考えようとしてしていたらある1本の矢が森に住んでいるある魔物に、冒険者に恐れられ、忌み嫌われている森の主を起こしてしまう。


「ピィギーー!!」

「でかい木の主だ!!」


そう言っているオークたちは間違っても踏んではいけない大きな地雷を踏んでしまったようだ。


トレントの恐ろしい鳴き声とともに大量の木の根を伸ばしてオークたちに襲いかかる。


その混乱から俺は一目散に逃げてオークとトレントから距離を取る。


オークに伸ばされたトレントの根は金属のようにかたく、火に強い。


俺も過去偶発的にトレントと遭遇してしまい、仲間達と戦った経験があるが苦戦しっぱなしで完全にトレントを倒すのに時間がかかった。


なんとかトレントの弱点である核を見つけられたので倒す事が出来たが仲間達の装備はボロボロで受けていた依頼も達成できずに、泣く泣く帰ったことは覚えている。


今でもトレントとは戦いたくない。


トレントはいわゆる森の中に必ず数体はいるでかい植物型の魔物だ。


かなりデカく、その大きさは20〜30メートル。

デカくて40~50メートルもある。


そんな大きな図体をしているのにも関わらず、あいつ等は擬態するのがうまい。


その擬態能力は凄まじく、森に詳しい狩人や探索が得意なシルフや盗賊でも見分ける事が困難だ。


そのくせトレンドの多くはいい実を宿しているいる。これが一番嫌われている理由だ。


森には多くの実を宿した木が多い。


ついこの間に聞いた話だがある冒険者パーティーのシルフが十分に探索を済ませて木に宿っている実を採ろうとしたらそれはトレントの宿していた実だったらしく、油断していた冒険者パーティーは酷い目にあったらしい。


それだけ擬態したトレントと森の気を見分けるのが難しい。


それだけでなく、トレントは「森の主」というほど強いのだが、トレントを苦労して倒しても落とすのは傷ついた木の実と枯れた木材だけである。


明らかにリターンが合わない。


トレントは眠りから覚めると凶暴だが普段は擬態したまま眠りについている。


トレントに宿っている木の実を採るか、強い衝撃を与えなければ目覚めることはなく、そのことを十分に理解している冒険者たちは森では極力木の実を取ったり、大きな衝撃を起こさないようにしている。


触らぬ神に祟りなしだからだ。


どうやら俺は怒れるトレントの眼中にないようなのでこちらに目が向けられる前にさっさとトンズラすることにした。


遠くに逃げて見えなくなったことを知らずにオークたちはいきなり襲いかかってきたトレントから逃げることで夢中だ。


俺は心の中で高笑した。

「ハッハッハッ。ザマァねえな豚面共め。このままトレントのの養分になっちまえ。」


ちょうど見つけた第三層への入り口らしき暗い洞窟へと足を向けた。


(洞窟の中ならアイツラも俺の居場所を掴むのに苦労するだろう。)

そう判断して、追ってこないだろうというくらいまで夢中で走り続けた。


もう大丈夫だろうというところで足を止める。


「はぁ、はぁ。」


ふぅ…。なんとかなった。


嫌な思い出しかなかったトレントだったが、オークを巻く手助けをしてくれたトレントに少しだけ感謝することにする。


当の本人は眠りを邪魔した奴らに怒り心頭だろうが…。


しばらくして息を整えてから洞窟の中を歩き始めたとき、いきなり地面から光が放たれる。光が消えて周りが見えるようになったのだが、


なんと…。


周りは砂しかなかったのだ。

急な出来事に驚きもしなく、またもや初めて見る景色に鞄から出てきたアオが嬉しそうに跳ねている。

夜空には星がきれいに輝いていた。






幸いなことに、トレントとの遭遇でオークから逃げ延びたアンセムたちは気付いたら夜空の下で砂漠の中にいることに気付く…。

次回は来週の土曜日の24:00になります。

今週はスケジュールが混み合っていまして少々余裕がありません。ですので今週は2話分投稿になります。

来週からは元通りの予定の週3投稿になりますのでご理解お願いしますm(_ _)m

次回も楽しみにしてお待ちください!!

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