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英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第三章〜追憶の君へ〜
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㉔「裏切り」


 静かに道なき道を歩いている俺達の周りには今、濃い死のオーラを含む空気と霧が立ち込めていた。


遠くではグールの嗄れた鳴き声が森中を駆け巡り、不気味さを大いに助長している。


「ヒュ〜……ここはあいも変わらず恐ろしい場所だな。なあ?お前ら?」


ギークがイタズラっぽいお笑顔を振りまきながら両手の指を野獣のように曲げて俺達を怖がらせるような仕草をしてきた。


具体的には両腕をゾンビのように上げて舌を出している。


(いったいどこに需要があるんだ?おっさん顔のガオ~ポーズは)


「貴方、本当に成人?信じられない。」


ソフィアが呆れた様子で答える。それは俺も同意だ。なんなら、先頭でシーフの役割をしているグルセナも、僅かながらうんうんと頷いて同意していた。


「ハハ、いい大人ってのは何時何処でも童心を忘れないものだぜ。俺みたいにな?」


そう、どうも胡散臭さそうな笑みで返してくるギーク。酒を片手に恐怖の森へと散歩とは随分と余裕そうだ。


 ちなみにだが、俺達は今、一年中霧が漂っている霧の森の獣道を歩いている。


俺皆平気そうにスイスイと歩を進めているようだが、ぶっちゃけ俺は怖い。何だよ。アンデットがはびこる霧の森って。


 さっきだって、目線を感じてチラリと森の奥に目線を送った時に、グールが赤い目でこちらをヨダレ(?)を垂らしながら獲物を観るような目でギラリと凝視してのを目視したからな?


一瞬悲鳴を上げそうになったよ。既の所で、ギリギリ抑えられたけど。


 死者だからかソフィアの魔力探知にも引っかからないし、生き物が発する特有の気配も薄いからコーラスさんに鍛えてもらった気配を読み取る能力もあまり役に立たなかった。


本当にこんなところに盗賊団がいるのか?


ここは地元の猟兵だって絶対に寄り付かない場所だ。


正直言って、早くこの森から離れたい。


そんなことを心の中でぼやいていると、ソフィアが俺に耳打ちしてきた。


「やっぱりこの二人組何か隠してると思う。やっぱりこんなところに私達を連れ回すなんて…どう思う?」


「俺も丁度同じことを考えてた。完全に黒だろ。」


二人共、最初会ったときからから怪しい匂いがプンプンしていた。


 断ろうにも、こいつはすでに何度も盗賊を俺達に仕向けているので、ほうっておいてはこちらの命が一方的に狙われ続けることになるのだ。

 だったらこの依頼に乗るフリをしながら本当の目的を探ろうという結論にいたったのだが……。


 こっちもこっちで結構危ない橋だから余りしたくなかったけど、俺達の命がかかってるからな。シカタガナイヨナ(棒)。


正直に言うと、アンセムはとてもワクワクしていた。    


 一目見て、この二人は強者なのが分かったし、どのような径路であれ、2人のどちらかと戦えて更に自分の力を伸ばせるのと思ったらこの森の不気味さが薄らいだくらいだ。


 その後は黙ったまま緊張感に包まれながら道なき道を進む一行。


一刻が過ぎた頃だろうか。先行していたグルセナの耳がピクと跳ねて、ゆっくりとこちらを振り向かずに後ろで歩いていた俺達を手で制して、警告してきた。


獲物(盗賊団)か?」


ギークが真剣な顔で聞くと、グルセナは前を向いたまま、コクリと警戒した真剣な顔で頷く。


「さて、作戦通りに行くからな?ションベンなら今のうちだぞ?」


「うわぁ、緊張感無さすぎだろ。」


「それに汚いし下品。」


「人間泥臭いくらいが可愛げがあるだろうが。俺くらいが丁度いいんだよ。」


「達者な口ね。私は配置につくから……兄さん気を付けてね?」


そう言って、俺をジィと見つめてくるソフィア。


「大丈夫だよ。そんな心配そうな顔するな。そっちこそ、気を付けろよ?」


「そうね。女神セシィティアのご加護を。」


そう言って、ソフィアはグルセナの後をついて行った。


 男二人が残って行動に移り始める。


 さて、片方は25歳、もう片方は18歳という、なんともいえない年齢差の男が残った状況ではどんな話が繰り広げられるだろうか?


紳士の皆様なら、はだいたい察しがつくだろう。


そう、猥談である。


「なあ、お前の妹随分いい線言ってんじゃねぇの?」


ギークはニヤニヤしながら、ウイウイと肘で俺のことをつついてくる。


(子供(ガキ)か。そう言う俺も好きだけどな。猥談。)


この男の言っている通り、今のソフィアは中々いい線行っているのは事実だ。小さい頃はそうでも無かったが、今は出るところはしっかり出ているし、顔も整っている。そして、落ち着いている歳不相応の大人びた雰囲気が青の混じった黒髪にいい感じにマッチしており、街を歩けば男は何度か視線を向けてしまう程の美貌を持ち合わせている。ただしお兄ちゃんっ子なのは心配だが…。


「義妹だ。そっちだって連れにあのエルフとは随分豪華なパートナーじゃないか。」


実際、エルフは人と行動を共にしない。理由は様々だが、主な理由の一つというと、エルフは社交的ではないことだ。


エルフという種族は人里を訪れることは少ないし、だいたいナチュラルに人を見下しているのだ。


そして、見た目が人族から見ると皆美形なのである。


だから、ボサボサ髪に整えられていない髭を軽く生やした益荒男(ますらお)とは対極的ではっきり言って、不釣り合いに感じられた。。


「確かに、言われてみればオークに真珠だな…。いい得て妙だ。けどよ…あいつの性別ってどっちなんだ?」


「知らんわっ!!!」


俺のツッコミを受けながら顎をジャリジャリと鳴らすギーク。仕草が姿が妙にオッサンくさい。


「一応言っておくがお前にうちの義妹はやらないからな?」


「へいへい。お義父さん。」


「お義兄さんだ!!!ん?急にどうしたんだ?」


急に、前を歩いてるギークの足が止まった。


「シィッ…近いぞ?」


急にギークがある方向を凝視しながら俺を手で制してきた。


「盗賊か?流石山賊。手慣れているようで。」


「一つ言っとくが俺は山賊でも盗賊でもないからな?俺は傭兵だ。この服装?この服装が一番しっくり来るのさ。ほれ見ろ?奴らだ。あそこにいるぜ。」


ギークが指さす方向を目を凝らして凝視すると、木々の間から洞窟が見えた。


本当だ。洞窟の入り口に立ててある松明の火の光が僅かにここまで漏れていた。


この男、よほど目が良いらしい。


「見つけた。あそこだな?」


「ああ…あそこだ。ちゃんとついてこいよ?」


「一応言っとくけど、少しでも怪しい動きしたら、すぐに叩き切るからな?」


「お〜お〜。最近のガキは皆こうなのか?怖い怖い。」


そう言って、心にも思ってなさそうに怖がるギークはバトルアックス片手に手をヒラヒラながらずんずんと歩を進み草むらを揺らす。


(本当に大丈夫なのか?)


しかし、ここまで来たならば抜け出せない。


俺は辺りに罠や伏兵がいないか警戒しながら、ギークについて行く。


少し進むと、洞窟の前方がはっきりと目視できるくらいの距離まで近づいてきた。


さっきまでは遠く、霧も濃かったので分からなかったが、今洞窟の大きさはかなりのスケールがあった。


領主が住む館はすっぽりと収まる程の大きな空洞。


そして、そこにある大きな貨物が運び込まれており、多くの人々が荷物を運び入れたり、または逆に何かしらの鉱物を運び出していた。


だが、何か変だ。その働いている人々の着ている服装がどうも薄すぎる。


それに、複数人の武装している人間に薄着の人々は無理やり働かされているようにも見えた。


一目見て、これが何かピンときた。


これは奴隷場だ。


それも、盗賊が仕切っている国非公認の違法な奴隷場だ。


「おいっ!!こんな規模のデカい広場なんて、一言も聞いてない!!それに俺達4人だけじゃ、これは出来ない。一旦帰還しようぜ?」


「…………………。」


何故かギークは黙ったままだった。


「………ギーク?」


「済まねえな。ガキ。恨みねぇけど。」


「はぁ?」


 一瞬動きが止まった俺の隣で、ギークは素早く懐から取り出した笛を口に加えて、それに思いっきり息を吹いこんだ。


― ピーーーーー ―


その音と同時に、大勢の盗賊?らしき男が周りから現れた。


「へへへ。」


1人の眼帯をつけた男が舌なめずりをしている。周りの盗賊もこちらを品定めするような下衆な視線を送ってくる。


「おい?ギーク。これはどういうことだ?」


俺はバスターソードの剣先を向けながら、酒瓶を傾けている男にキッと睨みつける。


「まあ、見ての通り俺はお前を売ったんだよ。」


対して、いつの間にか男達の列に加わっていた。ギークは肩をすくめたのみで、『それがどうした』とでも言いたそうな、澄ました顔をしていた。


「ギャハハハ!!哀れな奴だぜ!!」


「仲間に売られるなんてな〜!!」


「可愛がってやるよ?これから奴隷としてなぁ?」


周りの盗賊達が下品な嘲笑いが広がる。


「いい仕事したな?ギーク。」


「…………。」


 盗賊の1人に話しかけられているギークは黙って俺のことを見ていた。


ああ?何だその目は?同情か?


俺は驚きの目でギークを凝視しているとき、声を掛けて来る者がいた。


「命が惜しくなかったらその大剣を地面に捨てな。」


 そう言って、1人の盗賊が曲った短剣を持ったまま俺に近づいてきた。このまま俺を拘束するつもりらしい。


それにしてもナメられているな。ムカつく。


このまま捕まるつもりもない。俺の答えはもう決まっている。


「こっちのセルフだ!!」


俺はそう叫んだ後、その盗賊を短剣ごと真っ二つに輪切りにして殺した。


胴体と下半身の間からブシューと血が噴き出すと近づいてきていた男の胴体と下半身はそれぞれガクリと崩れ落ちる。


「なぁ!?てめぇ!!!」


「やっちまえ!!!」


仲間を殺されてイキリだった男たちが一斉に襲いかかってくるのを尻目に俺はバスターソードを構えながら目の前の光景とは関係ないことを考えていた。


(そういえば、ソフィアは大丈夫だろうか?)


そんなことを気にしながら俺は次々と襲いかかってくる盗賊たちを血祭りに上げていった。


「くそっ!このガキ、中々の手練だ!!」


「き、挟撃して仕留めろ!!」


「おいおい?、何ダラダラしてやがるクズども。」


動揺して騒ぎ立てている盗賊達の奥の方から野太い声が聞こえてきて、騒ぎが止んだ。


俺はその声の主のいるであろう方向に振り向くと、盗賊たちがその声の主の邪魔をしないように、道を開けるところだった。


ノシリノシリとその声の主の姿が現れる。


気怠そうな目に、少し細めな筋肉質な体格をした男が、曲った珍しいタイプの剣を肩に置きながら大きなあくびをしながらボサボサの長い髪が生えた頭を書いているがその反面、綺麗に服装は整っており、周りの汚らしい格好をした盗賊達の中で際立って見える。


その男に1人の眼帯をつけた男が近寄っていき、目の前で止まる。


「ボス。こいつ中々やりますぜ!!イテッ!?」


「うっせぇ雑魚が。てめぇ等が弱いんだよ!!こんな奴、戦場にどこでもいるヒヨッコじゃねえか?ああぁ!?」


「すいやせん…ボス………ぐっ!?」


 そのボスと言われた男は副官と思われる眼帯をつけた部下をまるで八つ当たりをするかのように一発鋭い蹴りを放って、眼帯をつけた男を地面に転がした後、俺に視線を向けて、品を見るような目をしながら曲刀を持っていない方の手で顎を擦り始めた。


その視線を向けられた瞬間、俺の体中に戦慄が走る。


(こいつ…強ぇ、それに隙がまったく見当たらねえ。)


コーラスさん程ではないにしても中々の手練のようだった。


ちなみにコーラスとの稽古では俺は全戦全敗である。


そのコーラスさんと近い雰囲気を出しているこの男はかなりの実力者なのだろう。


「で?、お前がうちのかわいい部下達を殺した活きのいい奴か…?

 オイオイ。本当にガキじゃねえか?こんなのにやられたのかぁ?、お前ら………本当に使えねぇ奴等ばかりじゃねえか!!!」


ボス達に睨まれた周りの盗賊たちは怯えながらそれぞれが目線を軽く落とす。ただし、ギークだけは欠伸を零しながら横目でこちらを伺っていた。


「ハァ………、さっさと終わらすか。面倒だからさっさとかかってこいよ。」


「お言葉に甘えて、絶対にぶっ飛ばす。」


「出来ると良いな?ガキ?」


俺は軽口を叩きながらバスターソードを両手に握り締めながらその男に向かって、勢いよく前に踏み出していった。



―――――                ―――――



 霧の森に笛が響き渡る前少し前、アンセム達と別れて待ち伏せの位置についていたソフィアとグルセナは気まずい沈黙の中、ただひっそりと草むらの中で佇んでいた。


実の所、ソフィアは人見知りである。


故に、兄がいない状況で他人と一緒にいると、どうしても緊張してしまってうまく話せないのだ。


対して、この中性的な美しい顔のエルフは無口と来た。沈黙が続いてしまうのは仕方がないと言えた。


さっきまで騒がしかったアンデット達の鳴き声は今は音沙汰もない。


(ちょっと、今は少しくらい大きな声で叫んでほしいものね。空気の読めないアンデットだわ…。)


 空気の読めないアンデットに心の中で当たるソフィアだが、全く意味をなさないことは理解しているつもりなので彼女はただ小さくため息を零すだけに収める。


(それにしても、無口ね。このエルフ。)


 ソフィアはこのエルフについてどこか気になっていた。


ちなみに恋愛的な意味ではない。


(そもそも完璧な両性にも見える見た目ではどっちの性別かは不明だけど。)


彼女にとって、エルフとは母からプレゼントされた絵本に載っておるのを見たことがあるだけで、今目の前で静かに瞳を閉じている彼以外には出会ったこともなかった。


珍しい生き物という感覚だった。


 エルフは下手したら数万年は生きているという永久の時を過ごす種族だ。


村を飛び出す前の、一ヶ月前には村の風景しか知らなかった彼女にとって気にならないという訳が無かった。


聞きたいことは色々合ったが、しかし、彼女にはこの沈黙を破る知識について持ち合わせていなかった。


このままお互い何も喋らず、時が過ぎていく。


「ねぇ?それにしても遅いわね。何かのかしら?」


もう半刻は経った。それでも合図も何もないと言うのは、明らかな異変としかいいようがない。


私の言葉にパチリと瞳を開いたグルセナもただ首を振って困り顔になるだけだった。


けど、この後すぐに響き渡る音で私達は警戒を強めることになる。


― ピーーーーーーーーー ―


「「!!」」


「探知魔法を使うわ!!グルセナさん。警戒お願いね。」


グルセナがコクリと頷くのと同時に、私は目を閉じて手元に魔力を送り込み、練り込んでいく。


(導きの精霊よ。運命を司る神々よ。我に道を示せ…)


数秒後魔法陣が一瞬出た瞬間、無詠唱での探索魔法が発動した。


目を閉じている私の視界が急速に広がっていく。私から私の周りの草木へと。グルセナの不思議な魔力?が見える。


さらに私は範囲を広げて、兄さんがとギークがいる方向へと意識を集中させた。


(ッ!?)


私は、ギークと兄さんの周りには沢山の人数の魔力点があったのを確認した。


人間には魔力点という魔物でいうような魔石に近い存在が胸の中心部にある。人間はそこで吸収した魔力を溜め込み、同時に吐き出している。


私は魔力点に注意を注ぎ始めた。


その魔力点が沢山集まっていた。中には、1人大きな魔力を保有している魔力点がある。


(周りにいるのは、盗賊?やっぱり、あの笛の音…。)


その時、私の肩が誰かによって引っ張られた。


「キャッ!?」


引っ張られた私は尻もちをついてしまい、集中力を欠いた結果、魔法を解いてしまった。


「ちょっと!?、グルセナさん。何するの……!?」


批難の声を上げながら閉じていた目を開くと、私が座っていた地面に一本の矢が突き刺さっていた。


「!?」


急いで横にいるグルセナに目をやると、グルセナは耳を何度もピクンと跳ねさせながら辺りを警戒していた。


「敵襲?」


グルセナがコクリと頷く。


私はすぐさま魔力障壁を発動させることにした。


魔力障壁(クリエイトウォール)


この魔法は中級魔法であり、発動するには中々時間はかかる筈だが、生憎この天才児にはその常識は通じない。


詠唱破棄に加えて彼女には魔法の"ストック"という技がある。これはあらかじめ詠唱をしておいた魔法を杖を媒体にストックすることで、溜めておいた魔法を直ぐ様発動することが出来るのだ。


なんとそのストック数は10である。これはただでさえ複雑な魔法陣を覚えるというトチ狂った方法であり、一つ覚えるというだけでもかなりの労力を費やす必要がある。


それを10も覚えている彼女の異常さはわかるだろうか?


故に、彼女は護衛も無しに剣士と近接先頭することも可能である。


その彼女に放たれた魔力障壁はいくつもの飛んできた矢や魔法を全て防ぎ、フィードアウトしていった。


風の刃(ウインドスラッシュ)


彼女は見えない敵に対して、魔力感知を併用しながらいくつもの風魔法を飛ばしいく。


飛んで行った風の斬撃は木々の枝や葉を散らしながら目視出来ない敵を追跡し始め、数秒もしない内に何人かの悲鳴が聞こえてきた。


相手が思わぬ攻撃に怯んだ隙にグルセナが魔力を纏った矢を同時に3本打ち込み、森の中に悲鳴を轟かせた。


それからの行動は早かった。


グルセナは森の木々の上を走り出し、それに付随するようにソフィアはグラビティの応用で身体を軽くして

ついて行く。


しかし、速さは圧倒的にグルセナの方が上のようで直ぐ様、突き放されてしまい、森の奥へと消えていった。


ソフィアはグルセナの背中に喰らいつこうとしたが魔力感知で見失わないようにするだけで手一杯であった。


立ち止まったグルセナに追いついた頃には、戦闘は1人の悲鳴と共に終わっており、グルセナが1人の魔術師を拘束しているところだった。


このエルフも大概化け物の1人である。


「で?この男は?」


グルセナは縄で絞りながら首を振るだけである。


「お、俺は何も答えないからな!?」


まだ意識を失っていない様子の男は怯えたように騒ぎ立てる。


「うるさい。」 


「ヒッ!?」


ピシャリとソフィアが一言言うと、男は悲鳴を一つ上げてから押し黙った。


「で?あんたらの意図は?どうして私達を襲撃したの?」


「言わないって…、(グキ)ぐわぁああああ!!!」


「ハァ〜、どうせ、兄さん達を襲った集団の一味でしょう?さっさと吐いて楽になっちゃいなさいよ。それとも、全ての指をさっき折った小指みたいに変えたいの?」


この女、鬼である。それも仕方がないのだろう。早く兄の下に駆けつけたいのに、この男に時間を割く暇はないのだ。こうなるのは必然で、合理的と言えよう。


それでも、鬼である。隣で警戒をしているグルセナが遠い目線をしているくらいには鬼である。鬼女である。


(うるさいナレーター)


はい。、すみません。


「ぐぅう〜、ハァハァ…。」


「はい。もう1本。」


「(グキ)がぁあああああ〜!!」


悶絶する男に対して、ソフィアは眉一つ動かさないで、ただ冷酷に問い詰める。この男は、ついに観念したのか、冷や汗交じりに顔を上げ始めた。


「で?しゃべる気になった?」


「………人攫いだ。」


「人攫い?」


「近くに、鉱山がある。さらってきた人間を奴隷にして、そこで働かせて、時には鉱山と一緒にその奴隷たちを売り払ってる。」


「売りつけ先は?」


「それは……言えない。」


そう睨みつける体の細い、如何にも魔術師の黒い装束をきた白髪の青年の目は本気の目をしていた。下衆な行動をしているようだが、どうやらこの男にはまだ芯は残っているようだ。


これ以上は情報を聞き出せないと判断したソフィアは諦めて、この男を気絶させることにした。


睡眠魔法(スリープ)


「スースー」


「取り敢えず、近場の衛兵団に報告ね。」


そう言いながら、ソフィアはアンセム達がいた方向を魔力感知で見ると、アンセムの動きが止まっていた。


「お兄さん?」


死んではいないのは、確実だが、どこか不自然だ。


さっきは気が付かなったが、何故かギークの魔力点が争うもせずに集団の中にいる。


その時にソフィアは気が付いた、兄さんが捕まったことに。




次回から周1投稿に戻れそうです。


いや〜終わった終わった。


これからは投稿ペースも戻せるようになります。


これからも頑張っていくので応援よろしくお願いします。


では次回は3月最初の土曜日0:00です。お楽しみに〜!!

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