㉑「ニンギヌスの使い③」
やっと、文字数30万文字突破しましたね。いやぁ〜、長かったようで短いですねぇ〜。
これからも続くので、楽しみにしててくださいね。
では楽しんで!!
「ここにきて、隠し種を隠しているとは…、さてはまだ僕の相棒のこと認めて無かったね?」
「当たり前よ!!たかがデカい黒蛇に押し負けて、魂の半分も溶かされたヤツなんて私の主人として認めるわけないじゃない。」
―ズキッ!?―
「そ、それは…君もだろう?」
頼りなく食い下がるバード。あいも変わらず、頼りない相棒だ。
対して、セレーヌは完全に煽る気満々だ。
「貴方だって、神剣(笑)の癖に全然活躍してないじゃない。精々、雑魚相手の露払いでしょう?私の元ご主人様の介錯をしてくれたのは感謝するけどねぇ〜?それくらいしか仕事が無いのはどうかしら?」
「ッ!?それを言うなら、君だって最近は全然活躍してないじゃないか!!この泣き虫娘!!」
「はァ〜!!そっちだって、防御してばっかで活躍してないじゃない!よく言うわ〜。こんな弱っちい男に何でアンタが惚れたなのか今でもわからないわよ!弱虫!!」
―グサッ!!―
「そ、それは…仕方ないじゃないか!?今の彼はかなり弱いんだよ。」
―ガラガラガッシャァ〜ン ― パラパラ ―
「こっちだって、『ただでさえ2回も死にかけてたのに、まだ死にかけるかこの野郎!!』とか、言いたいよ!!この死にたがり屋のサポートだけでも大変なんだから…」
「どうしタ?」
レシアンがチラリとこちらを心配そうに見てきた。
「い、いやっ…なんでもない。なんか用か?」
「今隙が出来タ。俺ハ、この隙に黒き刃に助太刀に行ク。後は頼んダ。」
「分かった。」
チラリと黒き刃を見ると、黒き刃の消耗具合が激しいことに気が付いた。今は相手の戦力が削れているので余裕が出来たこっちは手を回したほうが良いだろう。
というか、いつまで喧嘩してんだこの二人は。
「私の元ご主人様は、あんな蛇モドキになんて、負けません〜!!」
「そ、それは当時の君達はパーティーメンバーで挑んでたじゃないか!?こっちは、デバフモリモリの状態でさらにロアを護衛しながら……。」
そろそろ止めたほうが良いだろう。この調子だと、後千年はずっと口喧嘩を続けそうだ。
「おい!!俺の愚痴は言いからその変わり種って奴を教えてくれ。いい加減空気を読んでくれている敵側が可愛そうだ。」
俺と二本が振り向くと、いつの間にかボスはチラチラとこちらを見ながら、向こう側で墜落した仲間二人を気にかけていた。
墜落していた部下二人は傷だらけのようだが、致命傷ではない様子。
なんというか、あの鷲モドキ人間臭いんだが?
一方レシアンはというと、ダン達の所へと助太刀しに行っているようだった。
よし、これで後ろの憂いは減ったな。集中して戦えそうだ。
「うゔん。気を取り直して、隠し種という奴をその教えてくれ。」
「知っ方ないわねぇ〜!!!この私が私がお・し・え・て・あ・げ・る!!」
そう言って、勝手に魔法の鞄から飛び出てきた聖剣ちゃんが空中でクルクルと回る。
「う、嬉しそうですね…。」
ロアの感想を頂いた所で…って!!
「おいっ!?ロア。今までの会話聞こえてたのか?(コソコソ)」
「ええ…まあ。アンセムさんが寝込んでいるときに、魂の治療中で一生懸命協力してもらってから…。」
「ちょっ!?ちょっとぉぉ!!!!ストープ!!お願い。ねぇ?それ以上は言わないで。ねっ!?」
「分かったから、そうキィーキィー騒ぐな!!それよりも、その"隠し技"って奴を教えてくれ。」
「はいはい。分かったわよ。まずね。私から補給されている聖魔力を身体全体に通して…。」
セレーヌが説明し始めたその時、向こう側で大怪獣バトルを繰り広げていたアイスクラッシャーが部下達の存在に目が止まり、しめたと言わんばかりの顔をしながら全速力で駆け込んできた。
「ガアアアアア!!」
ボスと部下の前まで来ると一度立ち止まり、鋭い二本の牙でニヤリと不敵な笑いながら雄叫びを上げて右足を上げて勢いよく足を落とした。
部下達はさっきの攻防で羽が折れてしまっていたらしく、空を飛ぶことは出来なさそうだった。
(少なくとも、部下二匹は……)
そう思った瞬間、俺は目を見開いた。
ボスが一目散にその二人の部下を突き飛ばしたいたのだ。自分だけならばは逃げることは出来た筈なのに逃げるどころか、仲間を守るために自分が身代わりに成ろうとしている。
それを見て、俺は勝手に身体が動いていた。後になって気が付いたことだが、この時のボスの行動と自分にシンパシーを持っていたからなのかもしれない。
「バード!セレーヌ!!」
「分かったよ!!この死にたがりめ!!『我に力を』」
身体が急に軽くなった感じがする。それでも足りない間に合わない。それをみかねてか、続けてセレーヌの声がした。
「フンッ!私の切り札をこんなことに使うことになるなんて…あきれた人。いいわ。志は認めて上げる。だからこれからもっと強くなりなさいよ。聖化」
突然、俺の周りで聖魔力が湧き出して身体が軋む音がする。バードのバフ魔法とは違う感覚に驚くのと同時に身体中が激痛がピキピキと走り、一瞬だが、身体から悲鳴がでそうになる。
「ギッ……!?」
「ちなみに、これ後十五秒しか持たないから頑張ってちょうだいね。」
「分かった!!」
―ズンッ―
さっきまで、争いの激しさを増していた戦場が、静かになる。
誰も喋らない。吹雪の強い音が平等に降りかかるのみだった。
一瞬の間を置いたあと、手応えがあったのか、アイスクラッシャーは満足そうに踏んづけていた太い足を退かそうと上げる。
否、何か足裏に違和感を感じて燻しそうな顔をしながら先程踏んづけた筈の獲物を見ると、
そこには、全身が血だらけになった人間のオスがうるさかった鷲の一匹を庇うように人間種が持つには大きな武器をこちらに向けて、佇んでいた。
血がたれて、白い絨毯を赤色に染めている。
その男はまっすぐこちらに目を向けている。「生意気な人間種族だ」アイスクラシャーはそう思ったが、何か、違和感に気が付いた。
何でこいつは立っているんだ?
生まれてこの方、アイスクラシャーにって敵はいなかった。唯一かなう相手は頂上に住んでいるアイスドラゴンくらいだろう。それでも自分が勝つという自信はある。
そんな自分の一撃を止められたことに驚愕する。
そして、同時にその男に恐怖を抱いた。何故、自分はこのちっぽけな存在を…。
その目から本能から恐怖を感じた。
「失せろ」
人間種族が殺気を強める。
山の主はこの言葉に反応するように冬眠していた元の洞窟へと戻っていった。
―ズシン ズシン―
アイスクラシャーの姿が完全に消えた後、時間が止まったような沈黙を守るように、黒き刃、そして本投げられて雪に曇りかけていたロアを拾ってきたレシアンが駆けつけてきた。
「アンセム!」
「アンセムさん!!」
「何で、構えを解かないんだ?」
「まあ、その身体が…言うことをきかねえんだ。」
「アハハ…。凄い殺気だった。おかげで、足ガクブル。」
脱力しながら、シルフィがスタックをたててそれに身体を預けている。
「ホントホント、ビックリしたよ。あのアイスクラシャーをひかさせるなんて、君は一体…?」
ロイドの訝しげな顔をする。
「それよりも、まだ警戒を解くナ。周りを見てみロ。」
レシアンの戒めに周りを見ると、ニンギヌスの使いが俺たちを囲っていた。
先頭にさっき俺が庇ったボスが立っている。
全員に再び緊張が走る。
「おいおいおい…またおっぱじめようってか?」
「盛るのは、リーダーとエルザの夜だけで十分。」
「そうそう…二人で熱い夜を……って、何を言わすんじゃコラー!!?」
「どうして、攻撃…してこないの?」
ダンの突っ込みを受け流したエルザが言うように、確かに皆戦闘態勢というより、群れ全体待機しているように見えた。
そして、ボスが前に一方進み出る。2つの首がこちらをジィ〜と興味深そうに見ていた。
「何だ?」
俺呼びかけに一言も鳴き声をあげずに、頭をゆっくりと下げたあと。
仲間のもとに振り返り、空に向かって大きな鳴き声を上げた。
「ピィーーーーーー!」
ボスの鳴き声に呼応するように群れ全体が空に向かい鳴き声を上げ帰す。
「「「ピィーーーーーー!!!!」」」
そしてボスは羽を広げ、日が傾く空へと駆け巡る。他の群れの仲間もそれに習い後ろから次々と飛び上がっていった。
その後ろ姿を見守りながら、呆然と見る俺達。
「許されたのか?」
俺の漏らした疑問にロイドが答える。
「分からない。けど、あの様子。僕たちを認めた感じだった。」
ここらのことに詳しいロイドが言うならば、そうなのだろう。
「はぁぁぁぁ〜!疲れたぁぁぁぁ!!」
「ずがれだ。ざぶい!!」
「おい!!シルフィ!?今は辞めてくれ!!今は懐に入るのは辞めてくれ。」
「あぁ魔力不足辛すぎよ。明日までは使えないわね。」
「ポーションは?エルザ?」
「もう殆ど使ったわ。ロイド。最近激戦が、多すぎたもの。」
「おい!!ロア?お前も、何でにじり寄ってくるんだ?え?『私をふるい落とした罰』だって?それは…ごめんて。ちょっ、マジで今はタンマッ!!!」
「そういえば、昼メシ食いそびれちまっタ。これから夕飯に向けて狩りでもするカ?ダン殿。」
「…………なんか一人だけ余裕ありそうだな。良いぜ、最後に一仕事しようぜ?おい、ロイド。お前もだ。コソコソする動きはやめろ。」
「何で僕が…?」
「ここらの地理に詳しいのはお前だろ?案内と探索よろしくな?」
「シルフィとエルザはぁ?」
「二人とも、魔力不足?だ。流石に疲労が答えるだろ?だから拠点の準備をしてもらう。」
「僕だって、沢山動いてただろ?もう一歩も動きたくないぞ!!」
「泣き言ハ戦士の恥ダ。それに、戦士は疲労困憊になったときからが本類だと父は言ってイタ。」
「ほらいくぞ!!」
「わ、分かったよ〜。」
そう言って、三人は森の中へ入っていく。
「おい!!誰か!!この二人を止めてくれぇ〜!!」
その後、アンセムは二、三日は二人の歩く暖炉になる羽目になったのだった。
――――― ―――――
ここはオールド山脈にある何処かの森。
そこには本来生息していない筈の1羽の魔物が目を覚ました。
その魔物は鷲の身体に二本の頭を持ったニンギヌスの使いの幼体だった。
この魔物はこの森には縄張りを持っていないが、残念ながら彼は己の弱さが原因で、群れから追い出されてしまった個体のようだ。
彼にはもう力も殆ど残っていなかった。どのくらい残っていないかと言うと、飛ぶための余力もなく地面を這いつくばるほどであり、4対になっている翼の片方はそれぞれ前後が折れてしまっていた。
彼が出来ることはただ自分の運命を悟り、迫りくる死と向き合うのみである。
ここで、幼体と言ったが、この魔物よ幼体は、諸君らが想像するような可愛らしい大きさではない。
成体の大きさが3メートル、大きくて4メートルはあるのだ。必然的に幼体は1メートルは優に超えている。
故に、弱っていてもその辺の魔物にも引けを取らない強さは残っている。
故に、彼は諦めたくなかった。自分の惨めさを痛感しながらこのままでは良いのかと疑問を持ったまま死ぬことは避けたかった。
(生きるために。獲物を探さなければ…)
(頑張ってくれ頭脳係。)
右の頭から意志が聞こえてくる。勿論、自分達の身体を操る相方だ。
この相方は、如何せん何処か抜けている。今だってそうだ。この身体は左の頭は自分の意志で身体を動かすことが出来ない。なのに、このアホな相方は自分が身体を動かすことを忘れているようだった。
これが逆ならばどれほど良かったことか。
いくら悔やんでもしょうがないが、どうしても悔やみきれないものなのだ。
(うるさい身体係!!そもそも君がトロイからこんなことになったんだからな!?というか君しか身体を動かせないんだからな?)
(お、おっと、そうだったな…。すまねぇ。忘れてた。)
左の頭がため息をつけながら右の頭はテヘヘと照れる仕草をした。
(何故、我が創造主は我々をこんな種にしたのだろうか?不思議でならない。)
(それはよ?二つの口があれば獲物を2倍食えるだろう?お得だからだろ?)
右の頭からのアホな返しに左の頭はため息を吐く。
(獲物の総量は同じだろうが!!)
そんなやり取りをしながら彼等は、全身に走る痛みに狼狽えながら、ゆっくりと身体を引きずり這いつくばりながらこの真っ暗な森を進む。
途中途中、草木が彼の傷をなぞって痛みが出るたびにフラッシュバックするように思い出す。
群れの同じ巣にいた子供達が集団で自分達を崖から落としてきたこと。
空中でもがくようにまだ発達しきれていない小さな翼を幅かせて、滑空出来るようになったがその時、余りにも早熟な彼を彼の親が気味悪がって殺そうと攻撃してきたこと。
彼等は飛ぶのが精一杯で、避けること出来ずになじられながら遠くまで追い立てられて、対には羽を折られて墜落させられたのだ。
本来、このまま落ちれば、死ぬのは必定だったが幸い彼には弱い身体の代わりに、周りよりも明確な頭脳が備わっていた。片方だけだが…。
これが主な原因で群れから忌み嫌われていた終いには殺されかけていたのにこれのおかげで、生き残ることができたとは彼等にとっては皮肉と言うには、余りにも残酷なことだった。
(あのまま、死ねればどれほど楽だったろうか?)
そんなことを願うばかりである。あの時、潔く死んでいれば、こんな苦しみを味わうこともなく簡単に死ねたのに、生き残ろうと必死に策を巡らせた過去の自分に後悔が募るばかりだった。
(………。)
相方は何も言わない。ただ、静かに慰めの感情だけが伝わってくる。
相方に心配されるとは随分と落ち込んでいたようだ。
だが、無惨にも自分達は生き残ってしまった。これを悔やんでも仕方がないという思いが片方の相方の念が身体を通して伝えわってくるので、それもそうだと無理やり納得するように両方の頭を振って周りを探索する。
周りには暗闇が広がるばかりで殆ど見えない。
月は出ておらず、周りでは血の匂いに集まってきた魔物や野獣が自分が死ぬのをジィとその赤い目をして待っていた。
だが、一向に襲いかってくることはない。幼体で、弱っていても格上の個体だと本能で分かっているのだろう。
いつ襲われるか分からない恐怖が彼等を襲うが、それでも彼等は這いつくばりながら進むのしかない。
だからこそ止めない。弱っているところを見せられないからだ。見せたら最後、自分達は彼らのエサとなるだろう。
進み続けてけら少し時間がたったころ、ふと前を見ると、森の中から不自然に明るい光が暗い森を照らしていることに相方が気が付いた。
(なあ?頭脳係?あの光は何だ?)
(さあ?)
その珍しくもどこか暖かい光の元へと彼等は痛みを忘れて近づいていった。
無我夢中に進んでいく途中で彼等を囲っていた魔物や野獣が離れていくが、今の彼にはそんなことはどえでもよかった。ただただ、珍しいものに興味津々になっていた。
(良いのか?こんなに近づいて?)
珍しく肉体係が警戒していた。いつもは好き勝手動き回らせて頭脳係を文字通り物理的に振り回している彼が警戒していたのは不思議だったが、そんなこと入っ気にしなかった。
(良いから、行こう。ほらほら)
相方に向けて促す頭脳係に肉体係は渋々近づいていく。近づいていけばいくほど、段々と光の強さが濃くなっていくのが分かる。
茂みからヒョコッと二本の顔を出すと、そこには、二人の人間の子供、少年少女が、焚火を囲って狩った獲物を焼いていた。
その少年と少女は彼が顔を出すのと同時に顔を強張らせて何か見慣れない棒状の物をこちらに向けてきたが、こちらの様子を見ると、安堵の息を出すとこちらに声をかけてきた。
彼等は一瞬向けられた殺気に驚いたが、すぐに消えたので安堵する。
なぜならば、彼等は自分の身を守ろうとしようにも、そんな体力は目覚めてから這いつくばっていたこの数時間で使い果たしてしまっていたからである。
今、本当に襲われたら、完全に殺られていただろう。
すると、人間の少年が彼らの少し目の前まで来てしゃがんで、語りかけてきた。
「お前…群れと逸れて食いっぱぐれたのか?酷い傷だなぁ。」
賢い頭のおかげか、何を言っているのか分かった。どうやら自分達のことに同情しているようだった。
(なあ、相方……この人間何を言ってるんだ?)
相方から僅かに怯えの感情が伝わってくる。
(ああ…取り敢えずは殺されなさそう。)
すると、相方の不安の感情は無くなったようだが、代わりにとんでもないことを言い始める。
(じゃあ、食っちまうか?)
(このアホ!!下手したら自分達が食われるわ!!)
頭脳係は肉体係に頭突きを、食らわす。
(痛っ!?)
二本の首が向かい合って、話し合っている間に、少年と少年は何か言い争っている途中だった。
頭脳役は一旦、相方との相談を中断して、2人の話を聞くことにした。
「兄さん。いったい、どうするのこの子?、いくら幼体でも、ニンギヌスの使いなんて…、かなり危険な魔物だってコーラスさんから聞いたことあるわよ?」
対して、少女の方の人間は、こちらを警戒しているようだ。寧ろ、こっちが当たり前の反応だ。
彼の種族は人間も動物も何でも食料とするのだ。彼だって、皆の残飯だったが足や腕なら食べたことはある。人間も、このことは知っているはず。
というか、この少年がおかしいのだ。
だから、いくらケガを負っていても、この2人が片方は警戒しているようだが、自分達を恐れないないことに疑問を感じた。
「そんなこと言ってもなぁ…多分この目の傷、いじめられてつけられたもんじゃないか?ソフィア。」
「………兄さんも…いじめられてたもんね……。」
「う、うるせぇーー!、と、とりあえず回復させてから干し肉でも上げようぜ?」
「も、勿体ない。コーラスさん言ってたじゃない。『サバイバル中、食料は出来るだけ節約しろ』って!!」
「待て待て、確かにここでこいつを殺して食料の足しにするのは良いけどよ。こいつに狩りの手伝いを手伝って貰えば少しはやりやすくなるだろ?」
「…………もうっ、兄さんなんて知らない!!」
少年の言葉に対して、プンプンと怒るあどけなさを残している少女はこちらまで進み出て目を閉じる。
「かの癒し手の女神リデアよ。かの者に癒しを<ハイヒール>」
初めて見るものに目を見開いている内に段々と身体の痛みがなくなるのを感じる。そして、少し時間が経つと、痛みがなくなっていた。
「はぁ〜。ただでさえ魔力を使うのにハイヒールなんて使わせないでよ。もうっ!!」
そう言って、少女はプリプリとしながら後ろに手を伸ばすと、離れているのにも関わらず近くに干してあった干し肉を引き寄せて、彼の両方の口元に近寄せてくる。
彼等は無我夢中で食べた。お互いが肉を取り合うほど彼等は腹が減っていた。ケガが治ったおかげか栄養が足りなかったのだろう。とにかく口に何かを入れたかった。
それをチラリと見た後、少女はプイッと顔を背けながら元の位置に座った。
今度は、少年がこちらに近づいてきて、彼の前にきて、こう言ってきた。
「俺の仲間になれよ。そして、お前がより強くなったら、今度は自然に戻ればいい。また今度会ったときはお互い強者として本気で殺し合いしようぜっ!!」
そうニコって笑う人間。助けてもらった身ではあったがどうしても思ってしまった。
((な、なんだコイツ。))
そんな今は群れのボスとなった元の弱かった彼は懐かしい記憶を思い出していた。
そういえば、二度も命を救って貰った。
そして、彼とのあの約束はもう果たした。次会うときは何か恩返しをしてみるのもいいかもしれない。
ボスとその相方は夕日に向けて薄ら笑いを浮かべながら仲間達を率いて自らの巣へと戻っていったのだった。
まあ、ここ2,3話は入れるかどうか迷いましたが、おまけとして見てもらってくれたら嬉しいです。
さて、次回は12月6日の土曜日0:00です。お楽しみに!!




