表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第三章〜追憶の君へ〜
70/77

⑯「過去の日常①」

 今回の話は、⑪「出発」のアークとの回想シーンの前の話です。お気づきの方もいらっしゃいますが、アンセムの見ている記憶の夢の時系列は必ずしも順番通りではないのでお気をつけください。


 本編がある程度まで進んだら、外伝として、アンセムの過去回想回をまとめて投稿しようかなって思っているので、本編を読みながら楽しみにしててくださいね。


(アンセムの過去編のリメイク版だと思ってくださればオッケイです。)


では、楽しんでくださいね!!


      



 俺は、「今日こそは、お前に勝ってやるからな!」と世迷い言をほざいているオリビアに連れられて、テントの中央に続く天幕をくぐった。


 その瞬間、いい匂いがロッジ中にたてこんでいるのに気が付いた。


(いい匂いだ。)


 中央の仮設調理場では、いつも通りソフィアが朝食の準備をしていて、その隣に立っているグルセナとプルセナがソフィアの手伝いをしていた。


 ロッジのテーブルでは、ギークとアークが談笑をしながら何か分からないが、手札のようなもので遊んでいる。


その傍らでは二刀流の木刀をそれぞれ持っているドゥークどドーラが稽古をしていた。


いつも通りの、見慣れた朝の風景だった。


 ソフィアが振り向いて、俺が起きてきたことを確認すると、皆に声をかけ始めた。


「皆〜、にいさ、団長が起きてきたわよ〜!!朝食にしましょう?」


「待ってました!!」

「今日の飯は〜?」

「酒はあるのか?」


「お酒は無いわよ!、今日の朝ごはんは、トマト風味のマメスープよ。後、サンドイッチと果物がいくつか。」


「ええ〜マメは嫌い。」「私もそれに賛成。」


ドゥークの抗議の声にドーラがウンウンと頷いている。


「食べず嫌いはダメよ。それに苦手な人が食べれるようにちゃんと美味しく作ったんだから。食べたら好物になるわ。きっとね。」


ソフィアは自信満々な様子で言う。


 それもそうだ。ソフィアの作る料理で、不味いと思ったものはない。

なんなら、美味しい記憶しか残っていないくらいだ。


 その説得力からか、ドゥークとドーラは渋々プルセナから配られたスープに手をつけ始める。


そして、スプーンにスープに乗せて、恐る恐るそのスープが入ったスプーンを恐る恐る近づけいった。


そのまま2人は、同時に口の前にきたそのスプーンを勢い任せに目に口元に流し込んだ。


―ジュルル―


お前ら…そこまで仲良しじゃなくていいんだぞ?


まあ、双子だからありえなくはないが…。


スープを飲んだ瞬間、2人の嫌そうな顔から、打って変わって、目をキラキラと輝かせた。


「美味しい!」「うまい!」


「でしょう?」


2人が勢いよくスープをすすい始めて、熱さに驚いているのを見たソフィアは満足そうな顔をしていた。


ソフィアのドヤ顔も見慣れたものだ。


気持ちはわからんでもない。


 周りの面々の顔も見ると、皆美味しそうに食べているようだった。


(どれ…俺も食べ始めようか。)


 俺は目の前に置かれたスープを見る。マメスープというが、実際は沢山の野菜や、厚切りのベーコン、数センチに切られたソーセージなどの具材の方が多い。


 薄い赤色のスープから湯気が立ち込めて、俺の鼻まで、いい匂いを届けてくれる。

 それが俺の食欲を増大させた。


―パクッ―


「うまい…」


(温かい。何故、俺はこれを忘れていたんだ?)


夢中になって、スープをすすり始める。途中途中サンドイッチを挟んで、腹を膨らませる。


(ああ…美味しい。)


自然とポロポロと涙が出て来た。


ソフィアの「何泣いてるのよ〜?」と笑い声が聞こえてくる。


(あれ…?、何で、俺は泣いてるんだ?)


「どうしたんですか?もしかして、さっきまで、悪い夢でも見ていたんですか?」


プルセナが心配そうにこちらを見ている。

プルセナの言葉に皆不安そうに俺を見返している。


「…分からない。分からないんだ。確か…さっきまで起きたら皆がいない世界を見ていたような…。」


「そりゃあ、ありえないだろ?」


 ギークがどこから取り出したか、分からない酒瓶を傾けようとするが、ソフィアの浮遊魔法によって、酒瓶を取り上げられた。


そうだな、ギークの言う通りだ。

きっと、気のせいだろう。


「それも、そうだな。気の所為だ。心配かけて済まねえな皆。」


「何か悪いことがあるなら、いつでも言ってね?、私たちはいつでも貴方の隣にいるから。」


ソフィアが酒瓶を食糧庫に戻しながら笑顔を漏らす。


「そうですぞ。」

「修行したら治るだろ?」

「酒をよこせ!!」

「私は…アンセムさんの助けになりたいんです。」

「一緒にいるって。グルセナが言ってたよ。」

「私たちは皆で一つだって。グルセナが言ったよ。」

「(コク)。」


「皆…。(一人、違うやついねえか?)」


あいも変わらず、仲間思いで良いやつらだ。


(なのに…何故、俺は…忘れて……。)


「この後、議会との謁見することになってるのよ?、ちゃんと顔洗っておいて。」


ソフィアの言葉のおかげで、ハッと思い出した。


(あっ!?そうだった!!)


今日は、サーレン議会との密会があるんだった。


 サーレン議会とは、"サーレン"というマクロス王国の東側にある、海沿いに面している地域を治める議会だ。


そして、グランオール帝国に隷属した小国の集まりでもあるのだ。


 もともと、小国が群列していたサーレンは、一つ一つの力が弱い。ゆえに、他国から食いつぶされることは必然とも言えた。


 ついに聖暦4年、大陸を統一していたアーセナル帝国最後の皇帝が生き絶えてことで、始まった戦乱の世(後に聖戦期時代または、100年の戦争と言われるようになる)が始まると同時に、独立を狙っていたグランオール帝国に侵攻を受けてサーレン全ての小国占領されてしまった。


 そして、今に至るまでの約90年間以上も属国として、グランオール帝国に支配されてきたのである。


 今まで、何度か反乱は起きたと聞くが、そのつど、軍事国家であるグランオール帝国の圧倒的な軍事力によって鎮圧されていた。


 度重なる敗北者と失敗に、議会はしたものかと、手を拱いていた。


その時、サーレン議会に朗報が届いた。


 なんと、グランオール帝国とほぼ同等の国力を持っている大国のマクロス王国が使者を通して、援軍の提案を申し出てきたのだ。


一瞬期待の空気が流れた議会だったがすぐまた暗い空気が流れる。


何故ならば、その後その使者から言われた条件にあったからだ。


『マクロス王国の影響化のもとのみ、独立を認める』


この言葉を聞いて、サーレン議会の議員たちは項垂れた。

マクロスも海に属しているサーレンを属国にしようと目論んであるのは必然と言えた。


この申し入れを断るにも、提案を申し出てきた相手は大国である。


 断ろうにも、一つの被支配勢力である議会には逆らう国力もない。


「このままでは周りの大国に食いつくされるだけではないか!!?」


マクロス王国の使者が去った後、ひとりの議員がつぶやいた心からの叫び声に、口には出さないが議会の全員が心のなかで賛成の意を示していた。


そこから、秘密裏に議会は出来るだけ周りの大国の干渉がない、かつ影響力がない戦力を必要とするようになった。


まず、サーレン議会は戦力集めに翻弄する。戦う兵士を集めなければいけないのだ。


 帝国の監視を抜けながら、なんとかサーレン領内の勢力を洗いざらい調べだしたが、それも無駄足になるのだった。


 そんな自分たちにとって都合がいい勢力が現れることはそうそうないのだ。


被支配地域または生産地として、軍資金はある程度あるが、独立に必要な戦力が領内には殆どない。


これが、サーレン議会の出した答えだった。


 そこで、金ですぐに買えることが出来る。即戦力になる。戦に手慣れている。どの地域の元にも属さない数々の傭兵団にフォーカスが当てられたのだった。


 そして、その情報は、傭兵ギルドで密かに伝わっていった。


 そこで、多くの傭兵団が指名を受けたのだ。(この時から、傭兵は戦での需要を増やすことになる。)


 勿論、俺達にも指名が来たのだ。


 最近立ち上げられた俺達が名乗っている「英雄の送人」という傭兵団は他の傭兵団と比べて、勢いのある新勢力である。

 「もしかしたら、予想以上に活躍してくれるかもしれない。もし、予想以下でも少なくない戦力になるので雇っておいて問題はない。」という、そんな腹づもりだっただろうが、お生憎俺達にはそんなつもりはない。


 俺達傭兵団が歴史に残る幕開けにするつもりだ。


 他の有名な傭兵団の名前も出ていたが、勿論他の傭兵団に負けるつもりもない。


近い内に起きる大戦で絶対に爪痕を残すつもりだ。


そのための前段階の密談だ。だからこそ絶対に失敗できないのだ。


俺は、急いでスープとサンドイッチを口に入れ込んで、身支度をするために自室に戻っていった。


 俺が身支度を終わらして、部屋を出る頃には、団員は皆すでに食べ終わって、酒瓶を巡って熾烈な戦いを繰り広げていたソフィアとギークの声を環境音にのんびりしていた。


俺が音に皆が振り向く。ソフィアとギークはお互いの頬を引っ張りながらこっちを見ていた。


(喧嘩、辞めねえのか?)


 皆、朝恒例の俺からの指示待ちだ。

『なんだか、傭兵団っぽいからやってくれ』と、皆にせがまれてからするようになってから渋々行っている俺達の日課だ。


「ギークとソフィアは準備ができ次第出発するぞ?」


「「ふぁい。」」


「それと、2人はいい加減お互いの手をほっぺたから手を話せよ?その他の居残り組は訓練でもして待っててくれ。」


「ええ〜!?暇!!私たちも連れてって!!観光したい!!」


ドゥークとドーラが抗議の声を上げている傍らで、プルセナが手を上げて発言する。


「はいはい!!私も観光したいです!」


「姫さ…プルセナ様!?ダメで……」


「いいですわよね…。ねえ?アーク?」


 プルセナに怖い笑顔を向けられたアークが護衛として安全のために黙って顔を怖がらせながら静かに首を振って抵抗するが、プルセナの無言の圧力に負けてしまい、渋々口を開いた。


「お、仰せのままに……、どこまでもついていきますぞ。」


「いつもありがとね。アークさん。」


うちの団の姫様は恐ろしく成長したようだ。


(グッ!?そんなことよりも、俺の指示を聞いてくれ!! 俺の威厳がないだろうがあ!!

 えっ?大事な日に寝坊しているお前にはないだって?…それはそうだ。)


「グルセナ。お前は俺の味方だよな?」


 俺はグルセナのいる方向を見たが、いつの間にか、外出の準備を済ませて、ドゥークとドーラに帽子を被らせていた。


(この…子煩悩野郎!!)


かくして、俺たちの茶番は終わって皆が行動し始めた。


(なぁ…、この日課意味があるのか?)


相変わらず、大事なこと意外は好きなことを勝手にするような、それぞれの我が強い集団だ。


(もう少し、団長である俺の話を聞いてくれればいいんだが…、無いよな…コイツラだもんな。)


 残念ながら、壁が目の前にあったとしても目的地のためにそのまま突き破るような、暴れる台風のような奴らを止められる力は俺にはなかった。


「てっ!?俺はまだ認めてねからな!!お前らは、お・る・す・ば・ん・だ!!!」


―――――                ―――――


「海の魚ってなんだ!?山魚とは違うのか?おお〜!!でけえな?」


ギークが漁師と楽しそうに会話をしている。


その傍らでは、ドッークとドーラは港の堤防の上を探検しているようだ。


「グルセナ、見てみて!!海だよ?」


「グルセナ、ねえ?綺麗だよ!!」


キャッキャッはしゃぐ2人を穏やかな目で、見つめるグルセナはのほほんと釣りをしていた。


「うおおお!?アイツが噂の海の主か?掛かってこい!!!俺が相手だ〜!!」


オリビアは遠くで、デカい魚が潮を吹いている姿に槍を掲げて興奮していた。


……いつも通りのオリビアだったな。


海は人を変える力があるとは聞くが、オリビアだけは例外のようだな。


はしゃぐ団員に対して、俺は石垣の上で一人、ゆっくりとはしゃぐアイツらを眺めていた。


「オイオイ。随分とふてくされてるようだな。」


ギークが、失笑の笑みを含ませながら先ほど、仲良くなったらしい漁師からお裾分けのつまみと酒を手渡してきた。


「お前、絶対にそれ目当てだったんだろ……?」


俺はあきれながら、それを受け取る。

どこで頭を使ってんだ。このおバカさんは。


「よくわかっんじゃねえか。これで共謀犯よ。悪友さん。」


そう言って、ニコッと笑いかけるギーク。


「山賊紛いのやつに言われたら世も末だ。」


そう言って、俺は黙って酒を掻っ攫う。


「オーガが言うにしては、随分難しい言葉だな、突然変異かぁ?」


「「オッ?やるか?」」


「後の稽古で、ボコしてやるから、覚えてろ。」


「あ〜あ〜聞こえな〜い。脳筋の言葉なんて分からん。」


「この野郎、のらりくらりする癖はいい加減治れ…」


「……今決着付けても良いんだぜ?」


「いい度胸だ!!やってやろうじゃねえ…」


お互いいがみ合いながら、つまみと酒を口に入れ続けている二人はどこか微笑ましく見える。


「そういえば、ソフィアとプルセナとアークはどこ言ったのか知ってるか?」


暫く罵りあっていた二人だがいつの間にか、いつも通りの酒の勢いだったようだ。


さっきのいがみ合いは何処にあったのやら。


今では、二人一緒に背を地面に付けて、空に浮かぶソリィシャン・バードを見上げていた。


「ああ、そういえば。ソフィアは買い出しを済ませにいくとかなんとか。プルセナはアークを連れ出して、市場を回るらしいぜ。」


「俺も、付き合ってもよかったな…。」


俺がぼそっと言った言葉にギークはため息を吐きながら突っ込む。


「止めとけ、止めとけ。お前がいるとだいたい喧嘩ごとになる。昨日のサーレン議会でも一悶着あっただろう?」


「そうだったな。どうにも。議員の奴らは気に食わねえぜ。自分の保身は一丁前にするクセによ〜。俺達傭兵を使い捨てとでも思っているらしい。議長はいい人だったけどよ。」


「だよな〜。まさか、あのソフィアがブチギレるとは思わなかったよ…いつも俺達を叱るけどな。

 まあ、そのおかげで話しが優位に進んだわけだし…結果オーライだったけどな。

 だがよぅ、ソフィアのキレっぷりには、正直ヒヤヒヤしたぜ。」


「同感だ。」


確かにあれはやばかった。


そう、あれは昨日の昼過ぎの頃だった…。


俺達は会議場の前で、呆然としていた。正確に言うならば、俺だけだが。


属国と聞いて、そこまで街は発展していないと思っていたが、思ったよりここサーレンの中心地である

「バファモア」は大いに発展していた。

その最たる建物の殆どが、大理石でできていた巨大な建物だったからだ。


そもそも、大理石は採掘量は少なく、あまり出回ったいない。この百年近くで、余程金をため込んでいるのが分かった。


後ろでは行き交う商品の馬車がたむろしている。


「ほら、兄さん。チャッチャと行きますよ?」


「遅れる前に出席しないとな。」


俺は口が開いたまま、ギークとソフィアに建物の中へと押されていった。


その建物のなかでは、多くの役人が忙しく書類を持って行き来し、専用の木箱の中に置いていく。


ずいぶん忙しそうだ。


俺はキョロキョロ周りをして、受付らしい場所を見つける。


そして、受付に座っている受付嬢の前まで近づいていき、ソフィアが傭兵ギルドの印を差し出した。


受付嬢はニコニコしていた顔を崩さぬまま、こういった。


「案内致します。」


俺達は、黙ってその受付嬢についていく。なんというか、この受付嬢はそこら辺の役員とは違うオーラを感じた。何故だろうか?


まるで、貴族のような…


金色に染まっている長い巻き髪が揺れている。


案内を始めてから少したって、受付嬢は後ろを振り向かずに俺達に聞いてきた。


「お伺いしますが。お客様は、サーレン外部のものでしょうか?」


「ああ、そうだ。」


「ご出身は?」


「マクロス王国さ。」


そう言うと、受付嬢は元気そうに振り向いて俺と目を合わせる。赤みがかった色が混じるその瞳は、とてもキラキラと輝いている。


「私、あまり外部の知識がありません。よろしければ会場まで時間もありますし、そのことについていくお話しながらでも良いでしょうか?」


その時の、受付嬢はどことなくあった威厳が消え去り、年頃の女の子のような表情をしていた。


そんなに他国のことなんて、知ってどうするんだろうか?


まあ、好奇心旺盛なのは良いことなので、気にしなくて良いだろう。


俺は、快く返事することにした。


「いいぜ。どこから話そうか…」


そんな感じで、俺達は待合室に案内されるまで色々話しあった。食べ物や、その土地の文化、人々の出来事など、たくさん話した。彼女は終始とても楽しそうに俺達の話を聞いていた。


「興味深いお話、ありがとうございました。もうすぐ会議は始まるので、こちらの待機室にて暫くお待ち下さい。」


そう言って、その受付嬢は居なくなった。


「なんだか、元気な人だったな。」


「そうね。いい子だったわ。」


「あの嬢ちゃんにお酌してもらったら酒が止まらなくなりそうだな。」


そんなことを話しながら暫く待っていると、先程とは違う受付嬢が待機室に現れた。


(あれ?さっきの子じゃないのか?)


疑問に思った俺だったが、広場のいた役員が忙しそうにしていた様子を思い出して、納得することにした。


また、俺達は待機室を出て、会議場に入っていく。


会議場の中は厳粛な雰囲気が漂っていた。なんというか、ピリピリとしている。


俺は、受付嬢に指定された席に腰を沈める。


会議場にいる者は全員武器を持っていない。勿論俺達もだ。


中には、顔見知りの傭兵も沢山いる。結構有名な傭兵団もいる。中には、俺たちと顔見知りの『神眼の戦乙女(ヴァルキリーズ)』の団長もいた。


神眼の戦乙女(ヴァルキリーズ)の団長は俺と目が合うと、ニコッと笑いかけながら、こちらに手を降ってきた。


クールで美しい、冷静そうな表情の内に燃えるような瞳を宿している女団長の顔を見て、状況をなんとなく察することが出来た。


(これは、思ったより、中々大事に首を突っ込む感じだな。やはり、情報通り大きな戦でもあるのだろうか?)


神眼の戦乙女(ヴァルキリーズ)が依頼を受ける時は、だいたい大きな戦が起こる時だ。彼女ら戦乙女は一人一人が一騎当千の精鋭だ。簡単に言えば、竜をロングソードで狩るアークが数十人いると思ってくれれば良い。


そんな集団なので、戦が起こるときは、必ず依頼されている。


 彼女はあの生真面目な団長は何かと真面目なので、必ず依頼を受けてしまうので確実に戦が起こることだけは確信できた。


(てっことは…今回の依頼内容は確定したということか…)


傭兵ギルドに出回る情報は時に眉唾の嘘八百の時もあり、偽情報なんてそこら辺に転がっている。


だがら、依頼内容を確認するために、傭兵は依頼を受けるために依頼者と一旦、確認し合うのだ。


(ようやくだ…これで俺達の旗印が立てられるってことだな。)


そんなことを考えていると、司会が会議場に入ってくる。そして、中央のお立ち台に立って、口を開いた。


「皆も知っていることだろうが、これから始まることは、厳密なる機密事項であり、この会議場より此度の情報を外に漏らすことを禁ずる。これはそなたらが、署名したセルビア協会の誓いの書にて、明記したものであり、守るべき掟なり。それでは、議長殿よろしく頼みます。」


 司会に呼ばれた議長らしき人物が、立ち上がり、退場していく司会と入れ替わるように集っている者たちの前に立った。


その姿に俺は驚愕の目をごまかせなかった。


なんと、さっきまで話していた受付嬢その人だった。服装は白いローブと違うが、姿かたちはそのままだ。


「どうも、私がサーレン議会の議長を務めさせていただいている。『リーレン=パーシバル』である。よろしく頼む。」



次回は7月5日の土曜日0:00です。


これから来年の2月末までは月1投稿にさせて頂きます。詳細は活動報告にて投稿しているので、よろしければ見てくださいね。


では、次回もお楽しみに!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ