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英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第二章「英雄の旅立ち」
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㊲「新たなる英雄の始まり」


「キャー、変態ィ゙〜!いい加減その手を離しなさいよォォ。私のご持ち主はどこぉ?早く戻ってきて〜!」


聖剣は無駄に輝きながら甲高い声で叫びだした。


こいつ…めちゃくちゃうるせぇ。


「君のご主人は死んじゃったよ。」


急にバードが念話に入ってきた。


「……え?」


感高い声で、ギャーギャーー騒いでいた聖剣はバードのその一言で静かになった。


「ウソ…。」


「死んじゃったの?」


「うん。随分前に人間として。」


「ウワ〜〜〜〜〜ンっ!!!!」


この聖剣は急に刀身を光りだして俺の頭の中で泣き出した。


「うわっ!?剣が光ってる。」


 飛ばされた双剣を拾いに戻ってきたサンソンが、ギョッとして剣を落として、足のスレスレの地面に突き刺さって、もう一回ギョッとした。


俺は思わず両耳を塞いだ。


もちろん意味はない。


「なぁんでぇ〜〜!?」


うるせぇ〜!?

頭の中がキンキンする。


「ちょっと、止めて!本当に相棒の頭が爆発しちゃうから!?アンセム、ここは僕が彼女をなだめるから、君は取り敢えず待ってて。彼女が落ち着いたら連絡する。」


「ちょっ?オイ!?」


それっきりバードとの連絡は繋がらなかった。


あの野郎…今までこの機能を俺に教えてなかったな。

後で覚えてろよ。


 元通りの雰囲気に戻っていたアンが泣きじゃくっていたので取り敢えず慣れない手つきでアンの背中を擦りながら困惑の表情を見せる。


「ど、どういうこと?アンは泣いてるし、アンセムはその自分の武器をを睨めつけたまま動かないし…。」


「そういえば、あの女暗殺者はどこ言ったんだ?」


サンソンは双剣を鞘に収めながら、リリアに話しかけた。


「あれ?確かに…どこ言ったのかしら?」


リリアが周りを見回しても女暗殺者の姿はなかった。


あたかも最初からいなかった、とでも言うように…



「お〜い…」


荒々しくも幼い声が遠くから声が聞こえてきた。


 振り向くと確か…サリーが複数の騎士団員と一緒にこちらへ来ていた。


中にはゴツい見た目のグエン副隊長もいる。


始めは何を言っているのか声が小さくて聞こえなかったがだんだんと聞こえてきた。


「お〜い!!副団長が招集だってよ〜!!」


「招集?」


リリアがキョトンとしているのを見かねてサリーは、あきれた表情を見せた。


「知らないのか?まあ無理もないか…。

 撤収する前に一度集まって状況報告をするのが軍隊の基本なんだ。

 だから、はるばるお前たちを迎えに探し回ってやったところなんだよ…って聞いてるのか?脳筋郎!?」


「ん?」


 皆がサリーの指さした方向を向くと、さっきから聖剣を見たまま動かないアンセムが「何だ?」とでも言いたそうな顔をしていた。


「この野郎ォ。お前が俺に指揮権を押し付けてどっかに行ってたこと忘れてねえからな?」


 ((うわ〜〜〜))


「俺がなんとか混乱を抑えられたから良かったけど被害が出たらどうするん…」


「こいつの行動は恐らくですが状況の解決につながりました。ここは結果オーライと言うことにしましょう?そんなに怒ってもしょうがないですよ。」


グエン副隊長がサリーの話に割って入ってきた。


 本来上官の話を遮ることは軍隊ではゆってはいけないが、この男だけは違うようだ。


「グエン?俺は上官だぜ?もっと上官を敬っても良くない!?」


 そう言って頬を膨らませているサリーはまるで駄々をこねる子供のようた。


対してグエンは完全に子供を宥める親になっていた。


「尊敬されたいなら尊敬されるような上官になってください。では、参りましょう。お嬢様。」


完全に立場が逆転している。


多分グエンは問題児のサリーの子守役なのだろう。サリーは完全に尻に敷かれていた。


 部下の団員達もさも当たり前かのようにグエンとアンを乗せた馬について行く。


 俺達と一緒に残されたサリーは少しの間、グエンが連れていた馬にアンを乗せているのをポカ〜ンと眺めていたが、すぐに我に返ってグエンとアンを乗せた馬を指差した。


「俺の役割を盗むな〜〜!!」


「それなら団員の飯をくすねるのはやめてください。」


「「アハハハハハッ」」


二人の親子漫才に吹き出した一同の笑い声が霧の晴れた草原に響き渡った。


皆が移動を始めた時、俺はくるりと身体を180度回転させた。


「どうしたんだい?」


 サンソンが聞いてきたので俺は肩を竦める素振りで返した。


「いや、ちょっとな…。」


「まあ、皆と逸れないようにね。」


「あぁ、すぐに戻るさ。」


 俺は皆の最後の列に移動して、皆が気づかないうちに振り返って道を逆走する。


今では苔が生えている墓の前でしゃがんでいる。


「俺に記憶を見せてくれたのはお前だったんだな。聖女さんよ。何が起きたのかを…お陰で、力を出し切ることが出来た。」


墓は何も答えてくれない。かわりに、穏やかに吹き出した風に乗って、優しい光が抜け出して言った。


「ああ、そうだ。」


ふとアンセムは思いついたことを実行しだした。



「ふぅ〜。これで良しっと…。」


「オ〜イ、アンセム。置いていっちゃうわよ〜?」


遠くでリリアの声が聞こえる。


「ああっ!!今、行く。」


「俺の両親も死んだ時は並べて墓立てたからな。やっぱり一人は寂しいもんな…。これが俺に出来る精一杯の恩返しだ。ありがとな。」


そう言って、アンセムは2つの小さな墓を背後にゆっくりとした足取りでその場を去った。


二人の物語はここで終わりだ。


ここからは俺達の物語の始まりだ。


これで「 第二章〜英雄の旅立ち〜」は終わりになります。次回は再来週になります。

次回の章の名前はまだ未定です。

決まり次第、掲示板に載せますのでよろしければ確認してください。

では、次回もお楽しみに〜!!

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