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英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第一章〜深淵なる洞窟〜
5/73

②「スライム」

スライムって弱いですよね…。

では、どうぞ、お楽しみください!!


「ス、スライム!?」


いきなり大声を出した男に驚いたのか、その魔物はさらに男との距離をさらに離した。


魔物から身を守ろうと、とっさに自分の愛剣バスターソードを構えようとしたが、自分の武器を持って無いことに気づいた。


(あれ?俺の剣どこいった??)


武器がないことに内心焦りながらアンセムは近くに落ちている半径5メートルほどの大岩を急いで持ち上げる。


たかがスライムにこの男は過剰な戦闘態勢をとるのは端から見ると、滑稽に感じられ、笑い草に思えるが、焦りまくっている俺にそんな余裕はない。


だって、しょうがないだろ!!


俺は過去に、眠りから覚めてすぐ敵兵と戦わされたことはあっても、魔物のすぐ隣で寝たことはなかった。


何なら人類で初めてかもしれない経験を俺はスライムで行えたのは幸運と言うべきなのかどうなのか…。


男が大岩を持ち上げたときには、スライムは怯えたのだろうか消えていた。

すでに近くには魔物の気配は消えていたが、俺はなかなか落ち着けなかった。


しばらくして落ち着きを取り戻した俺は、周りの状況に気づく。


ここはどこなんだ?


俺がいるのは洞窟?だと思うが、どうしてここにいるのかは全然思え出せない。


「うむ……? 状況が全く読めないな。」


アンセムはしばらく記憶を辿っていったが、戦いに力尽きて気を失ってからは全く記憶がない。


これ以上考えても埒が明かないので男は思考を止め、自分の状況を確認した。


鎧はボロボロで防御力など皆無。盾は先の戦いで失ってしまっていた。唯一壊れていなかったバスターソードも今では行方知れず。


だが、幸運にも体は五体満足で所々すり傷と打撲の痛みがあるだけのようで応急手当が必要な様子もないのは一安心だった。


今度は腰裏につけてある、小さな鞄の中身を取り出す。

入っている中でを使えそうなのは、

低級回復ポーションが3本に中級回復ポーション1本、

20メートルくらいの縄、火打ち石、

それに濡れていない非常食5日分

そして包帯に水が入った水筒

とりあえずお腹が空いていたので非常食に手を出す。


基本的に、非常食はかなり乾燥しているので自然と喉が渇いてしまう。

アンセムはものすごい勢いで水筒の水をすべて飲み干していった。


この洞窟は水が豊富にあるので少なくとも水には困らないだろう。

「プハッ、生き返るな。」


戦いの後の傭兵団員の安否を考えながら、近くで流れている地下水で空になった水筒を満たし始めた。


そういえばあいつらちゃんと逃げられたのか?

 まあ、あいつ等はなんだかんだしぶといし、きっと大丈夫だろう。

 とりあえず、今は自分の心配だ。


水筒の中が満タンになったのを確認して、それを鞄に突っ込んだ。


これで残りの心配は武器になるな。


そう考えながら、アンセムはこの洞窟から抜け出すために行動を開始する。


そんなアンセムを影で観察する小さな影が、アンセムの後をついていくのだった………。






 スライムはこの生き物に興味津々だった。

ここらへんの生き物は自分を餌か何かと思っているのか誰も自分を恐ろしがらない。


むしろこっちが怯える側なのだ。

 けどこの生き物は自分を怖がってくれた初めての生き物だ。


だからとても興味があった。


 この生き物はどんな生き物だろうか…。

そんなことを考えながらスライムは夢中にこの生き物についていく。


 かなり夢中になっていたらしく、安全なエリアを抜けていた事に気づいたときには、すでに他の魔物と出会ったあとだった。


うわーー!!


「ギギャ!?ギゃッギャッ!」


貧弱な存在が出くわしたのは、例の緑色の二本足のやつだった。そいつは自分の存在に気づき、獲物を得たと、言わんばかりの醜い笑顔を浮かべる。


その笑顔にスライムはブルブル震えて出した。


たまらず逃げ出した獲物に、奴は逃がすつもりはないようだ。


奴は歓喜の雄叫びを上げた。


「ギャギャギャ!!」


貧弱な存在は、そのおぞましい鳴き声から全力で逃げ続ける。


どうしよう…。

逃げた方向はあの生き物がいる方向だ!!

さっきは自分を攻撃しようとしていた生き物に自分に無害だとは言い切れない…。


そうこうしてるうちにあの生き物に近づいていく。

目の前の生き物も、自分を殺す気だ。


もう、どうにでもなれ!!

こうしてスライムは一か八かの賭けにでるのだった。



―――――――――――――――――――――――――――――――


さっきからずっと後ろから気配を感じる…。

多分、あのスライムだろう。なんて無害な気配なんだ………。


何故俺はこんなやつにビビってしまったのか…。


 彼は戦場では恐れ知らずだった。

どんな恐ろしい存在がいても構わず向かっていく。

何故なら、傭兵団の団員の誰も死なせたくないからだった。

だから自分だけを狙うように一番先頭で戦ってきた。

そんな彼は初めて無害に近い存在にビビってしまった自分に対し、落ち込んでしまう。


俺はなにを経験してきたんだ?

こんなことあいつ等に知られたら、腹を抱えて笑われただろう。


穴があったら入りたいってのは、こういうことか…。


そんなことを考えていると。後ろからもう一つ、邪悪な気配が無害な気配に近づいていく。


これは俺が人肌脱がないといけないようだな…。


手には何も持っていないので、代わりに拳に力を入れた…。


普通は緊張するような場面だがアンセムは、ワクワクしていた。そう、彼は戦闘が大好きだ。


戦闘狂のオリビアがドン引きするくらい。


だんだんと近づいていくふたつの気配に勢いよく振り向き、拳を振りかざす。


「ピギャ〜!バタンっ。」


拳を振るわれて倒されたのはゴブリンのようだ。

ゴブリンの死体から棍棒とゴブリンが出す普通より大きな魔石が落ちる。


ほう…、ここは魔力が多いようだ。


魔物には肉体の中心に魔石がある。

その魔石は大きければ大きくなるほどそれを体内にもつ魔物や準亜人種の力は強くなる。


魔物を倒すと魔石が体から抜けて体外に出される。

魔物は魔石を体外から取り込むと力を増すことができる。

だから魔物は自分より弱い魔物を襲うのだ。

しばらくしたら死体は他の生き物か何かに取り込まれるだろう。

もしここがダンジョンなら、そうなるのだろう。


ゴブリンは魔物の中で一番たちが悪い。


正確には魔物ではなく、準亜人の分類に入るのだが、多くの人々に魔物として扱われている。


それはゴブリンは亜人種の中で一番残忍で頭が悪く、そして繁殖サイクルが早いからだ。

そのくせ寿命も15〜30年と意外と長いので亜人種の中で一番多い。


それにこいつらは狩猟を基軸として生活している。


当然人里に降りてきて、多くの被害を及ぼすのはこいつらだ。


そんな人間にとって厄介な存在がここに一つ消えたことは喜ばしいことだと思いながら、後に残った棍棒と魔石を拾い、スライムを見る。


スライムは、自分を襲ってきたゴブリンを一発で殺した生き物を見てプルプル震えている。


なんだか見ているとかわいそうに感じたので、なんとなく魔石を与えてみたらプルプルが止まり、喜ばれた。その後スライムにすごく懐かれてしまい、冒険のお(ペット)となるのだった…。



―――スライムが仲間になった!!―――――――


スライムを仲間にし、ついでに武器を手に入れたアンセムを待ち受けているのはなんなのか?


ヒント「豚」


次回は月曜日の12時に投稿する予定です。

お楽しみに!!

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