㉙「因縁の援軍?①」
この男に出会った時から只者では無いのは感じてたが、サンソンの目に映る実際の規格外な実力は驚くべきものだった。
今、大剣を持ったこの男は2体の骨だけのワイバーン(スカル・ワイバーンと名付けよう)を相手に優位に立ち回っている。
それも、襲い掛かってくるアンデッドを隙を見て破片に変えながらだ。
ワイバーンは野生と人間のもとで育てられた物で2ランク程差があり、体格もふた周りも違う。
今回は"野生の方''だ。
僕が子どもの頃、王都で近くで見たことがあるワイバーンは3~4メートルあったが、この2体のスカルワイバーンは小さい方が5メートル程、大きいほうが、6メートル程大きく、ガタイ良かった。
野生のワイバーンは一体で、ギルド規定で一体でBランク。
2体もいれば、Aランク手前までに手が届く。
そんな高ランクの相手2体に大立ち回りをしているのを見て、思わず感心してしまっていた。
(あっ!小さい方のスカル・ワイバーンが正面から突っ込んだ瞬間、真っ二つに切られた!!)
残った大きい方のスカル・ワイバーンは、相方がやられてしまったことでこの大男に対して警戒し始めた。
突進するのをためらっている。
アンセムは真っ直ぐに空中で羽を羽ばたいているスカル・ワイバーンを目で追っている。
その間、周りの迫ってくるアンデッドを魔剣?が魔法で焼き殺して、アンセムの周りを守っていた。
警戒していたスカル・ワイバーンだったが、痺れを切らしてアンセム目掛けて突っ込んでいった。
アンセムは魔剣を上げて上段の構えで迎え撃った。
スカル・ワイバーンはフェイントを入れてきた。
さっき、相方が真正面から突っ込んで、真っ二つにされたのを学習したらしい。
ぶつかる直前に上に上昇した。
そして、男の剣の攻撃を抜けて背後を足の鋭い爪で男の背を貫こうとした。
アンセム、危ない!!
このスカル・ワイバーンの攻撃は相手の意表をついた完璧な攻撃だった。
しかし、重大な問題が一つあったのだ。
それは相手が対人間のプロである傭兵だということだった。
彼と戦った多くの者共は、武器を交わう中でフェイントを当たり前にしてくる猛者しかいなかったのだ。
故に、彼は冒険者の「相手はモンスターだ。フェイントなど考える筈がない」と言う、固定概念を持ちあわせていなかった。
アンセムはスカル・ワイバーンのフェイントを容易に察知し、迎撃の構えを取ることが出来た。
アンセムは振り下げたバスターソードを大勢を変えずに腕力だけで無理矢理すぐに戻す。
そのままの勢いでスカル・ワイバーンの胴体を足ごと切り上げた。
スカル・ワイバーンが赤い目を光らせて、叫び声もなく顔を仰け反らせて、身体がバラバラになってしまう。
アンセムはそれを見届けずに無言ですぐさま僕達の周りのアンデッド達を蹴散らしていき、再び僕達の道を切り開き始めた。
今、僕達は先ほど倒したアンセムという男の、この異常な状態の原因を取り除くために闇雲に突き進むと言う案に乗って、行動に移している所だ。
到底無謀な行動に見えたが、男の話を聞くと、原因を知る術は持っているらしかったので、渋々了承した。
「やるじゃない。あの男!流石Aランクの魔物の部位を売りに来るだけあるわね。」
グールを突き刺しながらリリアが感嘆の声を漏らす。
「フンッ。私の剣を捌ききっただけあるな。」
女暗殺者の独り言が背中から聞こえてくる。
うんうん……いや、君。起きてたんかい!
「青年、そんな顔をするな。先程起きたばかりだ。」
そう言って女暗殺者は僕の背中から降りて、近くに寄ってきたゾンビを蹴り上げて群れの後方に吹っ飛ばした。
「もう身体は大丈夫かい?」
「ああ、もう全快だ。あの男の呪いを解いてしまうなんてやはり私のアンは凄い子だ。」
横から飛びついてきたゾンビを左手のナイフで切りながら女暗殺者は自慢げに鼻を鳴らす。
うんうん。別に誰も聞いてないよ。
「で?今はどういう状況だ?」
初めの頃、彼女の纏っていたあのクールな姿は何処に言ったんだい?
女暗殺者の気の抜けた顔を見て呆れそうになったちょうど、その時完全に朝日が顔を出し始める。
朝日の優しい光が皆の目に当たる。
「ウ〜ン……。」
眠っていたアンが目を覚ました。
「アン?起きたのかい?」
「スピ〜、スピ〜……」
僕はアンが目覚めた事でアンデッド達は離れてくれるんじゃないかとてっきり期待したが、残念ながらアンは再び眠りについてしまった。
アンデッドの群れはアンが目を覚ました事で怯えるどころか、かなぎり声を発っして肉薄を強めて来た。
安堵で、一瞬油断した僕は歩みを緩めてしまった瞬間、僕はアンデッドに包囲されてしまっていた。
「お兄さん!?クッ!?」
リリアが急いで槍を振るって何体かのアンデッドを塵に変えながらこっちに戻って来たが、金属の鎧を着た大柄なスケルトンに阻まれてしまいこちらに駆けつけられない。
女暗殺者は僕の背中を守るのに精一杯だ。
ヤバい!
群れのうちの1体のスケルトンが持っている槍で突いてきたのを僕はスッとしゃがんで避ける。
その瞬間、2体目のアンデッドがしゃがんでいる状態の僕の背中目掛けて剣を振り下ろそうとしてきた。
ヤバい、躱しきれない!!
「させるものか!!」
アンが目覚める少し前に目を覚ました女暗殺者が、両手のタガーで同時に急所の魔石のある胸部を突き刺した。
2体のスケルトンはバラバラに崩れた。
女暗殺者はこちらを振り向かないで言う。
「別にお前を助けた訳では無い。アンを助けるためだ。だから気にするな。」
「これは借りということにしておくよ。」
「ハァハァ…兄さん、大丈夫だった?」
アンセムの助太刀も合って、鎧を着たスケルトンを槍で貫いたリリアがアンセムと共に駆けつけてきた。
全員が立ち止まってしまい、勢いが無くなったことて、僕達は完全に囲まれてしまっていた。
「それにしてもこれは不味いぞ。逃場が無くなっちまってる。」
「不味いわね…」
しゃがんでいた僕はアンを起こさないようにゆっくりと卸し腰を上げて、覚悟を決めて両手剣を抜く。
その時、川岸の草むら全体がヒヅメの音ともに大きく揺れだした。
出てきたは、オークの軍勢だった。
「ピギー!!オーガの男を殺せー!!」
「「「「「「ピギー!!!」」」」」」
お、オーク!?
久しぶりのオークの登場に胸が躍らされますね〜。
ジュルリ…おっと、これは失礼。
次回は日曜日の0:00に投稿予定です。
もしかしたら月曜日になるかもしれませんが、ご了承ください。
では、次回もお楽しみに〜!!




