㉘「合流」
剣を振ってきたスケルトンをバードで吹っ飛ばすと、スケルトンは木に叩きつけられて粉々になった。
「おいバード、俺の身体に何をしたんだ?」
何故なのか分からないが、俺の身体が余りにも軽く感じてしまう。
さっき軽く木の間を交互に飛ぶようにしたとき、力を少し入れただけで大木が音をきしらせて倒れてしまったのだ。
あきらかに俺の身体に大きな異変があったとしか思えなかった。
そんなことをするのはバードくらいだ。
だからなんとなく聞いてみたが、バードから帰ってきた答えは予想とは違かった。
「僕自身は特に何もしてないよ?
君のその力は君自身が成長した結果なんだから気にしない、気にしない。」
目の前から迫ってきたゾンビを薙ぎ払いながら、歩みを止めながら森をの中で大声で突っ込んだ。
「たとえ成長だとしても短期間で急に変わりすぎだろうが!!」
「う~ん、まあ…詳しく言うと、君が君の仲間との記憶を取り戻すことで君自身の力が強まるんだ。今君の実力は57年前の実力ではないんだ……、」
バードの話によると、どうやら俺の実力は昔の方が圧倒的に強く、今はその10分の1も力が弱まっていたらしい。
俺がコール平原で命が尽きそうになった時、バードが神剣化していた時、目覚めてからすぐに女神セルビアに駄々をこねたバードは、俺の力を弱める変わりに死にゆく俺の命を留めて貰ったらしい。
その時は力を半分にする代償だけで済んだらしいが、ヒュドラとの戦いでもう一度命が尽きそうになった。
そして、バードが2度目のおねだりをしてその代償が、俺の半分の記憶と5分の1の力の縮小だったということ。
何か話がデカすぎてよく理解いんだができないんだが…。
「セルビア様をに駄々こねるの大変だったんだから、感謝してほしいね。」
そういえば、こいつ…女神の使徒でも無いのに2度もわがままを女神に通しやがった…。
「ホント、呆れちまうぜ。」
自然と笑顔が湧き出てしまいそうになったが、それを誤魔化すために肩を竦めた。
「何だとこの〜、少しは感謝しろ相棒〜!!」
バードの刀身が少し揺れた。
「もう、二度と…、相棒!前!!」
アンデッドの大きな集団が目の前に急に視界に現れて、横に避けきれなかかったので上に勢いよく大ジャンプをする。
「!」
さっきまで続いていた木が急に無くなって、小さな草しか生えていない…。
少し、開けたかのか?
森の中を突き抜けた先には小屋のある小さな草原で、アンと思われる寝ている少女を庇うようにして、
女を被った青年とリリアがアンデッドと戦いを繰り広げている光景を目撃したのだった。
「ちょっと結局何だったの、あの女の人!?」
槍の柄に噛み付いてくるゾンビと押し合っているリリアが取り乱しながら居なくなった女を探すかのように周りをキョロキョロと見回している。
「振り向いたらいつの間にかにいなくなっちゃった…、アンを残して消えちゃった。居ないのに気づいたとき思わず取り乱しちゃったよ…。」
サンソンは女暗殺者をおんぶしている状態だ。
両手が塞がっている状態なので、リリアの後ろでサルのような俊敏さで駆け回り、襲い掛かってくるアンデッドを翻弄していた。
そして、アンデッドとの戦闘から数分たったころに、チラリと後ろを振り向いたら謎の女性は眠っているアンを地面に置いた状態にしていなくなっていた。
驚くべきことだ。
どういう手品だろう?
取り乱しまくっているリリアに対してサンソンは冷静に考察を繰り返していた。
「う〜ん…魔法でやるにしても、全然魔力を感じなかったしな〜。」
よってきたスケルトンを避けながら隙をついて蹴りを入れ、怯ませたうちに両足をスケルトンの頭がい骨に回し、ねじるように突き倒す。
するとそのスケルトンは頭を失って骨がバラバラになる。
「何か仕掛けがあるのかな?」
いきなり森の方から大きな着地音が聴こえた。
着地音した所に土煙が出来て土煙が消えると、リリアと決闘していたあのオーガを思わせる男が立っていた。
僕と目が合う。
「!!」「!?!?」「?」
「「「………。」」」
「モンスターかも?と、とりあえず殺ってみる?」
「「いや、ちょっと待て!!」」
そう言って、槍を構えるリリアに慌ててふたりが静止する。
「じょ、冗談よー。モウ〜。」
本当に勘違いを隠したいなら、槍を背中で隠そうとする素振りと、苦笑いを辞めようか……。
「俺、いつかお前にモンスターと間違えて駆除されるかも…。」
「アハハハ、ソンナコトナイヨ〜。ナイナイ。」
片言と冷や汗が出てるぞ。
君の得意なポーカーフェイスはどこ言ったんだ?
アンの穏やかな寝息がアンデッドの群れに消されるほどだが、僅かに響いていた。
夜の魔女を先頭にしてウィルソン兄弟は朝日が完全に指しているのを横目に見ながら、森の上を走っていた。
「ジルの姉御、あの子本当に置いてっても良かったんすかね?」
「そうっす姉貴。流石に可愛そうっすよ。」
「良いのよ。だって彼がすぐ近くにいたんだもの。彼が入れば、大抵のことはなんとかなるもの。」
「それってあの姉御が惚れたって人ですよね?」
「…………そういえば姉貴って、あんであいつを好きになったんすか?」
単純に聞いただけなのだが、質問された当の本人は顔をポッと赤らめた。
「分からないわ…、けど身体の上から足先まで好きって言ってるの。なんでかしら?」
「さぁ?」
「でも、これだけは分けるわ。彼、多分私より強いわ。」
いきなりヒョンなことをいい始める自分達のボスにウィルソン兄弟は顔を一度見合せ、笑い合った。
うちのボスよりも強い?あり得ないだろ?
ウィルソン兄妹はうちのボスよりも強い存在を見たことがなかった。いや、想像すらもできなかった。
「またまたぁ〜。チョロってあの男を見たっスけど、せいぜい俺たちよりも少し下くらいじゃないッスか?」
「冗談キツいぜ、姉御〜。」
「本当よ?私も最初あったときはあんた達より下くらいかな〜?って、思ったんだけど、数日間過ごして行くうちに、僅かに感じたのよ。絶対的なオーラが。」
「「…………。」」
「マジですか?」
「私の勘が外れたことが合ったかしら?」
再び二人は顔を見合せて、目配せで会話する。
本当かな?兄貴?
さぁ?姉御が言うんだから本当なんじゃねぇの?
二人が首を傾げ合っているのを尻目に夜の魔女が欠伸をしながら話しかけた。
「ふぁ〜あ〜。やっぱり徹夜は肌の敵ね〜。最後の力を振り絞って、再戦と行きましょうか。もうすぐ着くわ。」
朝日が霧を蒸発させて、森一体を照らしたことで、小屋の明確に見えてきた。
「えぇ〜と、強い気配が2つに、読みにくい気配が1つと…足止めにはちょうどいい数すね。」
「姉貴ィ〜。俺帰って寝たいッス。」
「ごちゃごちゃ言わずにやるわよ。けど、殺さないで!足止めだけだからやりすぎないこと。」
「了解、姉御!」
「分かりやした。姉貴!!」
次回は来週の土曜日0:00です。
お楽しみに〜!!




