表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第二章「英雄の旅立ち」
43/77

㉖「聖女の目覚め」

 

アンデッドの大群をやっとの事で突破したリリア達はフードを被った見知らぬ女性がアンとお話をしている姿を目撃した。


女性は私達の姿をチラリと見て確認すると、アンを抱えて、近づいてきた。


「姉御、連れて来やした。」


二人の男は小走りでその女性の元に駆けつけ何かを話している。


もう私達は度重なる連戦でボロボロだ。


サンソンはあの男の傷の呪い?のせいでかなり苦しそうだ。背負われている女暗殺者も殆ど虫の息だった。


私もあの激戦で少し疲れてしまったから、ちょっと休息をほしい。


そんな私達に気を使ってか、二人の男に指示を終える。


指示を受けたらしい二人は黙って何処かに走り出していった。


女性はゆっくりとした足取りで、アンを両手で抱え込みながら私達に話しかけた。


「ごめんなさい。さっきまで立て込んでてね。」


その声はジルに似た透き通る声をしている。


アンデッドの大群を簡単に蹴散らしていた二人を従えている者にしては雰囲気が緩やかだった。


「今、終わった所なの。」


抱きかかえられているアンは静かにジッと弱りきったサンソンを見ている。


「お兄ちゃん?とそのお姉ちゃん?」


首をかしげながら、不思議そうにしているアンはこの不気味な森の雰囲気を穏やかにしてくれる。


「いや、妹だよ。」


サンソンが弱々しく答えた。


「あら、アンのお友達かしら?」

「うん…。でも、どうしてお兄ちゃんとその女の人は元気がないの?」


「それは、この人たちがが病気だからなの。」


「じゃあ、お医者さんに治してもらわないと。」


「あら?気遣いが出来る優しい子ね。」

「エヘヘへ。」


さっきまで戦闘を繰り返していて、緊張状態の私達とは裏腹にこの二人はまるで母と娘のような穏やかさで会話をし始めた。


たまらず私は焦りを感じてしまい、二人の会話に割り込んだ。


「で、何で私達を呼んだの?今私の兄が弱ってるんだから、早く用件を言って。」


「まあまあ、焦らないで。この話は直接貴方達に関係する話よ。」


「どういうこと?」


「実際に見たほうが早いわね。アン、貴方には特別な力がある事はさっき知らせたわよね?

 その力は恐ろしい力にもなりうるけど、同時に貴方の大切な人を守る力になる。

 その力をどう使うかは貴方次第。使い方は教えたとおりにすればいいのよ。」


「コク。」


女の腕から解放されたアンは、不安そうになりながらもゆっくりと私達の前に手を重ねて、たった6〜8歳の少女には見えない神格のなか、身を閉じて静かに両手を絡めて祈るように唱えた。


「創造と癒しの女神リデアよ。我にお力をお与えください。」


 【ハイヒール】


アンが呪文を唱えると見たことがない程神々しい光が私達を包みだした。


温かい黄色の光に包まれた私達の傷が一瞬で、みるみるうちに治っていく。


色が違う?


普通回復魔法は緑の光を放つが、こんな回復魔法の放つ色は初めて見た。


宮廷魔術士ですらもこんな色の回復魔法を放ってなかった。


ど、どういうこと?


お兄さんの方を見ると、苦しそうに顔を歪めて喘いでいた筈が、今はすっかり何でもないようないつもの顔色に戻っていた。


サンソンは両手を目ながら見開いて驚いていた。


「凄い。どんどん身体が楽になっていく。なんなんだだこの光は?」


「私のヒールとは比べ物にならないわ。」


回復魔法は使用すると術者の魔力を大きく使ってしまうし、効果は外的損傷を治すくらいだ。


明らかに呪いを打ち消す力はない。


それをただ…いや、ヒールの上位互換のハイヒールで、打ち消してしまった。


よく見ると、サンソンに背負われている女暗殺者も緩やかな表情をして眠っている。


神々しい光が消える頃には私達の体力も戻り、再び戦えるようになっていた。


「さっきのはなに?」


アンは不思議そうに自分の両手を見ていた。


 魔力量も成長仕切ってない小さな女の子が宮廷魔術士が使用しても魔力枯渇でへとへとになるあのハイヒールを使ってもケロッとしている姿を見て、私達は確信してしまった。


あのアンが、あの聖女だということを…。


「アンが…あの聖……女!?」


急に目眩がしたのか、アンがふらふらとしている。

ついに倒れた。


アンが倒れて、地面に伏せる前ににフードを被った女性がアンを抱きかかれる。


「アン!?」


「シー。まだ魔力の放出に慣れてなかったのよ。疲れて寝てしまっただけ。」


 さっきまで気配が無かったアンデッドの気配がし始めた。


ァ~、ァ~~。


「聖女様が眠りについて、怖いものが無くなったのね…だからあんだけ多くいたアンデッド達が近くに寄って来なかったのね?」


感心するかのように考える素振りをしながらフードを被った女性が独り言をこぼす。


「ちょっとそんな考察は、今要らないから。さっさとこんな森脱出するのよ!!」


「アンデッドは聖魔法を苦手としているのかしら?だとしたらアンデッドはその真逆の闇魔法の属性を持っている?だとしたら……。」


「モードに入っちゃった…。」


サンソンが呆れるように呟く。


「もう、この女、結局何なのよ!?」



旅行で忙しくなるので、来週は休みとしていただきます。

次回は再来週の金曜の0:00です。

お楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ