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英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第二章「英雄の旅立ち」
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㉔「助っ人」

アンデッドに囲まれ、サンソンは戦闘不能。絶望的な状況に囲まれていたリリア達にある助っ人が!?


楽しんで行ってください!!


微かに日差しが遠くに見えるオーランド山脈の山の間から微かに差し込んできたころ。


私たは急に現れたアンデッドの群れに取り囲まれていた。


「こんな時にアンデッドの大群か…。流石に参るね。ハハハ……。」


心做しか、いつも陽気な仕草しか見せないサンソンの声が、弱々しく聴こえた。


近くにいたアンデッドを槍で突き刺して止めを差してから、振り向く。


どこか体調が悪そうだ…。


よく見たら腕に真っ黒な黒傷ができている。


もしくかして…、あの時のあの男の攻撃を防いだときに傷ができてしまったのかも……。


「お兄さん!そんな弱音は後にして!!さっさとコイツラを片付けて、アンとの合流地点に向かうのよ。」


そう強気に言って見ても実際この包囲網を突破出来る気がしない。今でもそこら中から死者達の低い呻き声が聞こえてくる。


女暗殺者の体調も更に悪化している。


まだサンソンは動けるようだけどもう戦うことは難しいだろう。


遂に捌ききれない程の大量のアンデッド達が迫ってきた。誰が見ても、絶望的な状況であった。


くっ、この女の人を置いて行くしかないのか?


それはだめだ。家出をしている身ではあるが、ルイジェルド家としてのプライドや信念まで無くした訳では無い。


かつて母や祖母が死に際に言っていたことを思い出す。


困っていたり、誰かの助けを必要とするものを見かけたら、手を差し伸べられる時は手を差し伸べなさい。


出来ないのなら無理矢理手を差し伸べられるような状況を作ってしまいななさい。


随分面倒な遺言を残したわね…。


フフッ、結局私もお兄さんと対して変わらなかったらしい。


「どうやら、ルイジェルド家の血は争えないらしいわ。結局、私はお兄さんと一緒だったらしいわね。」


絶望的な状況の中なのに不思議と笑顔になれた。


むしろ、良い修行に持って来いだ。


すでにボロボロになっていた革装備を脱いで、そこら辺に投げ捨てる。


身体を確認してもかすり傷や打撲が少しだけあるだけで、大した怪我は見られない。


よし、身体も万全。

武器も大丈夫。


「お兄さん!!あそこが一番アンデッドの数が少ない。あそこを一気に駆け抜けるわよ?」


「ゴホッ…分かった。護衛は任せるよ。」


「行くわよ。」


二人は一斉に駆け出した。


リリアは最後に取っておいた僅かな魔力を使い果たして、魔法を放つ。


「火の精霊よ、きたる敵を燃え尽くしたまえ。【ファイヤーアロー】」


先頭にいた数十体のアンデッドが燃え尽きる。


少しは減らすことは出来た。


「はぁ〜〜!!」


このまま走っている足を止めずに槍を振り回してすり寄ってくるアンデッド達を薙ぎ払う。


コレなら行ける!


「グルルル。」


しかし、私の予想に反して現実は優しくなかった。


人形のアンデッドばかりに気を取られていて中に、グレーウルフ型のアンデッドがいたことに。


「ヴァウッ、ヴァウッ。」


2体の狼のアンデッドが不意打ちで迫ってくる。


「なっ!?」


「そうはさせないっすよ!」

「させるか!」


いきなり木の上からフードを被った二人組がウェアウルフのアンデッド頭上にかかと落としを食らわせる。


「キャインッ!」


2体の動く死体は悲鳴を上げて、骨がバラバラと落ちる。そして、小さな魔石を落とした。


なるほど、元々住んでいた魔物がアンデッド化したものだから、魔石が出るんだ。


そんな呑気なことを考えていたが、いまはそれどころじゃないことを思い出して、すぐに我に返る。


「助けてくれてありがとう。所で、あんた達何者なの?」


リリアが近くに寄ってきた動く死体の頭蓋骨を突き刺しながらとぐろの用に包帯を巻いている兄の方に聞いた。


「……それは言えやせん。うちらのボスに口止めされてやして。」


「そうっす。言えないっす。」


3,4体程のアンデッドを蹴りで吹っ飛ばしながら顔だけを向けて同じ風貌の弟も兄の答えに加えて答えた。

この二人組、明らかに怪しいわね…。


「そう、それじゃあこの出会いは無かったことに…。」


「わぁ!?ちょっと待て待て?別にとって食おうってわけじゃない。あんたらをアンって少女までの所まで案内しないと、うちのボスにボコられちまうんよ。」


ウィルソン兄妹とは逆方向に進みだしたリリアを引き止めるように前に出た。


「き…貴様。ア、アン…を、知って…いるのか?ゴホッ。ア…ンは、無事…な…のか?」


アンという名前に反応したのか急にサンソンの背の上から掠れ声が聞こえる。


「そうっすよ。俺らのボスがアンって少女を保護していて、それを引き取って欲しいらしいんすよ。信じてほしいっす。どうかお願いしやす。」


「ゴホッ。僕も…賛成だよ。」


元気のない声だが、目には力が籠もっているサンソンが言った。


「……………。」


どうしよう…。


もし、この怪しい二人組が実はグレーギルドのメンバーだったならば…。


いや、そうならば助けずにそのまま私達を見殺しにする筈だ。


わざわざこんなアンデッドの群れに囲まれている危険な状況に突っ込んでいくメリットがない。


ここは賭けてみよう。


「…分かった。貴方たちについていく。けど、少しでも変なことをしたら迷わずこの槍で二人共仲良くアンデッドに変えてあげる。」


「お安い御用でさぁ!!」


ウィルソン兄妹とリリアは怒涛の勢いでアンデッドの群れの中を突き進んでいった。


次回は土曜日の0:00です。

次回もお楽しみに!!

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