㉓「小さな一歩の勇気」
いきなりアンセム達を襲ったブルーメルの動機とは!?
ぜひ楽しんで行ってくださいね。
「フッ、薄汚い冒険者の割には中々手強そうだな。」
薄ら笑いを述べながらブルーメルが剣に力を入れる。
「何故この娘を狙った?」
「そいつがグレーギルドの者ではないと限らない。疑わしくは殺すべきだ。それが犯罪組織との戦闘での絶対的ルールだろう?」
「…………。」
ヒューズは、固まって動くことは出来ていない。
確かに、ブルーメルの言っていることは正しい。
一見か弱そうに見える孤児でも、いざ蓋を開けてみると俺を消したい犯罪組織の手先だったなど、油断できたものでは無かった。
俺も過去何度そんな経験したことか…。
あの時代の俺ならば、そういう判断を取っていたかも知れない…。
だが、あの時代ならばの話しだ。
「その娘をこれ以上庇うならお前も犯罪組織の一員としてその場で処刑する。」
「断る。」
「………、どうやら私と貴方は相容れないようだ。」
次の瞬間、ブルーメルの剣がアンセムを襲った。
いきなりバードがブーと、揺れ出して警告してきた。
「この人、最初から君を殺す気だよ!気を付けて!」
「知ってたさ。俺と剣を交えたときから殺気がダダ漏れだったからな。」
激しい剣幕が繰り広げられていく。
剣とはかけ離れた人生を十年とちょっとを生きた街の小娘であるヒューズからはお互いに押し合い、拮抗しているように見えた。
「何故その娘を庇った?虫けらのお前には何の関係もない娘だろう?なぁ?冒険者さん。」
「お前こそ何故こうも冒険者を憎む?」
「お前ら冒険者は腰抜けのクズの集まりだ。自分の命しか考えていない卑怯者共が!お前らがいるだけで街の治安が悪くなる一方だ!いつもいつも事件を起こして住民に被害を与える。何度荒くれ者共の冒険者に犯されてすすり泣くことしか出来ない少女を見たことか…。おまえにはこの気持ちが分かるか?冒険者等こそ、この街の平和を脅かす害虫だ!!」
心做しか、ブルーメルの太刀筋が溢れ出る悲しみや怒りで荒ぶっているように見える。
たしかに、冒険者さんの中には私達エディソンの住民に危害を加えてくる者も少なくはない。
けど、ヒューズは違和感を感じた。
街の住民の殆どが冒険者に対して悪い印象を抱いていた。私もそう思う。
でも、何でだろう?このモヤモヤした気持ちは…。
実際、何度冒険者にお父さんのお店が遊び半分で嫌がらせや、営業の妨害をされた事が数え切れない程あった。
けど…。
私は、多くの冒険者の中にも優しい冒険者もいることを知っている。
つい最近、道端で柄の悪そうな冒険者二人組に詰め寄られて困っていた事があった。
その時、偶然通りかかった青い槍を背負っている女の子の冒険者が迷惑そうにしている私を見て、その冒険者二人組を追い払って助けてくれた。
彼女本人曰く、「仕事で仕方なくやってるだけ。」と言っていたが、後でお父さんに聞いてみたら、見回りや、治安維持の仕事は冒険者の仕事じゃなくて騎士団や衛兵の仕事だと教えてくれた。
怖がっていた私に恩着せがましくならないように仕事だと偽ってくれる位優しい人だっているんだ。
そう、この人だって失礼で、酷いことを言った私に対して、怒ることもなく気遣ってくれたいい人だ。
だから、そんなことを言って欲しかくなかった。
絶望の淵のような声を出して欲しくなかった。
「辞めて!!」
ヒューズはいつもは気が弱くて中々出せない勇気を振り絞って、剣幕を張っている二人の間に手を広げるように押し入った。
ブルーメルが振り下ろした剣の刃がヒューズの鼻先のギリギリで止まった。
「何をしている!?娘!本当に死にたいのか?」
その時のブルーメルの顔は鬼気迫る顔で気が小さい娘を震え上がらせるには十分な気迫があったが、腰の力が抜けるのを無理矢理我慢する。
「おいっ、ヒュー!?早く退いてくれ!!」
震える背中の後ろの方向からからは困惑した声が聞こえてくる。
「貴様!!今すぐ退かないと叩き…」
「すべての冒険者がそんな悪い冒険者じゃない。貴方はあの人たちの悪い所を私達よりたまたま多く見てしまっただけなのよ。お願い。この人はいい人なの。この命に欠けても良い。いいえ…。女神セルビアに誓うわ。」
「…………女神セルビアに誓ってか?」
「えぇ、だから剣を納めて。お願い。」
「断る、私は無宗教者だ!!そんな宣誓信じん!」
ブルーメルは止めている剣を一度引いて、私ごと傭兵さんを切ろうとする。
この分からず屋!!
私はいつもは怖くて考えたくも無かった死を覚悟して目を瞑る。
可愛い花嫁姿を見せてあげられなくてごめんなさいお父さん。こんな親不孝者でごめんなさい。
カキンッ。
しかし、死を意識していた私にその刃が届くことはない。
代わりに金属同士がぶつかり合う音が一度薄暗い空間に響き渡っただけだった。
「あっ貴方はっ!?」
ブルーメルの動揺した声が聞こえてくる。
「随分荒ぶっているようだな。第一大隊隊長ブルーメル隊長。いつもらしくないな。クール面した生意気な部下の意外な一面を見れて私は嬉しいと思うがな。」
私が恐る恐る目を開けると、ブルーメルと剣を交えて喋っていたのは、凛々しく、美しい顔立ちの女騎士だった。
「後ろの小娘。そなたの小さな一歩の勇気感謝する。お陰で私の大切な部下が自ら手を汚す事を未然に防げた。」
次回は来週の金曜日の0:00です。
次回こそ、週3投稿に戻りますので楽しみにしててください!!(吐血)
次回もお楽しみに!!




