㉑「援軍」
戦闘パート、描いてて段々と楽しくなってきました。
ぜひ楽しんでいって下さいね!!
「はーーー!」
―ガキンッ。―
リリアが薙ぎ払うように振るった槍を片手剣で受け止めながら余裕のある声で、先程から何度か繰り返している勧誘をしてきた。
「考えてみませんか?うちの組織に入りません?正直うちの下っ端を薙ぎ払えるぐらいには強いことは分かるので戦力増強にはもってこいなんですよ。仲間になるなら私の頬を傷つけたこと、大目に見て上げますよ?」
「ペッ、しつこいわね。そんな犯罪組織に入るなんてお断りよ!」
唾を吐かれた男は口を大きく歪ませてドスの効いた声で言う。
「…………仕方ない。皆殺しにするしかないか。」
急に男の周りの空気が歪みだして、黒い何かが男を覆う。
これはヤバい!
僕の双剣でもこれは弾けないのが直感で分かる。
「リリア!」
「分かってるわよ!!」
リリアが腰の鞄から何かを取り出す。
もしものためにGランク依頼の報酬を貯めてやっと市場で手に入った高級なスクロールを手に取り出した。
サンソンは女の暗殺者を急いで引きずってきてリリアの後ろに持ってきてリリアと一緒に魔力をスクロールに流し始める。
中身の魔法は何かか分からないけれど、これが最後の手札なんだ。頼む。間に合ってくれ!!
「屍の夜」
男の、まるで死を思わせるようなアンデッドの風貌の波が迫ってくる。
魔力が溜まったのか、反応が無かったスクロールが反応し始めた。
スクロールが光りだして透明な壁を生み出し、男の攻撃を塞ぐ。
透明な壁の外では男の攻撃で石で出来た床が黒く溶けてしまった。
男の攻撃が終わった瞬間に透明な壁は壊れて、間力を完全に失ったスクロールは灰になって風に飛ばされ消えていった。
さっきのは何?
リリアはこのスクロールから放たれた魔法を見たことも聞いたこともなかった。
けど、防御系の魔法で良かった。
男は自分の攻撃を防いだ謎の魔法に対して忌々しそうに怒鳴りだした。
「何故お前がそのスクロールを持っている!?」
「し、知らないわよ。そこら辺の市場で買っただけよ!!」
「嘘を付くな小娘。」
さっきまでの丁寧な口調を忘れ、男は辺りを見回して急に警戒し始める。
「忌々しいあの傭兵団め!!何処までも我々の計画を邪魔する気だ!?」
「なんのことだ?」
サンソンが質問すると男はこちらをキッと見るといきなり剣を振り払って攻撃を仕掛けてきた。
「黙れ!!」
男の乱れた声と同時に男は黒い剣を振るった。
シュバ。
サ、サンソン!!
サンソンの目の前にさっきとは比べ物にならないスピードで斬撃が飛んでくる。
男の話に夢中になっていていたサンソンは反応が遅れてしまった。
ま、不味い。サンソンが避けきれていない!
このままでは、致命傷になってしまう!!
その時、横から赤色のフレームを着た1人の騎士が横から割り込んできた。
カキンッ。
「おうおうおう。随分な怒りっぷりだな。コレじゃあ。簡単に仕留められそうだぜ。」
第三隊長のサリーが両肩にバトル・アックスと大剣を担ぎながら男顔負けの力強さのある声で男を煽る。
騎士団の援軍が来たようだ。
「いったい次から次へと何なんですか?」
男はイライラしながらぼやいているのを脇目に僅かにこの男勝りの女の騎士は少しだけこっちを見て、
「おいおい、冒険者さんよぉ〜?あんだけ騎士団の拠点で堂々としてたのに、ここでへばってちゃだめだろうが。さっさとアンお嬢様を救いにいきな!!ここはうちが抑えとくから。」
と喝を入れてきた。
「ありがとう。えーと…。」
「サリーでいいぜ。」
「ありがとう。サリー。」
「さぁ、行こう。サンソン。」
「そうだね。アンが心配だ。」
女暗殺者を背負ってサンソンとリリアは一瞬でこの場を去った。
「さて、お前は見たところグレーギルドの幹部だな?悪者の匂いがプンプンするぜ。」
「貴方も私達の邪魔をするのですか?ならば貴方もさっきの二人も皆殺しですね。」
二人がかち合おうとしたその時、騎士団達の襲撃の音と共にブルーメルの大声が聞こえた。
「我々は紅鳥の騎士団である。降参しないのならその場で叩き斬る。以上だ。奴らを殲滅せよ!!」
オーーー。
ドカ、バキッ。
騎士団の雄叫びと共に中央の砦の城門が蹴破られる音が聞こえてくる。
「騎士団ですか!?」
「ハッハッハ!!お前の悪行もここまでだぜ。大人しくお縄に突きな。」
サリーは勝ち誇った顔で、剣先を向けるが男は何故か冷静だ。
こいつ。何かまだ隠しているな?
「いいえ、まだ私にやらなければいけないことがありますので。ここはお暇させていただきます。」
そう言って、男は骨?のような物を4つ地面にばら撒いた。
骨のような物が地面に触れた瞬間に、4つの鎧を着た黒い何かが生み出された。
「へぇ~、下位の暗黒騎士ねぇ〜。随分趣味の悪いもん持ってんじゃねぇか。うちの副団長が見たらブチ切れそうだな。」
「死んだ者を有効活用しているだけです。何か問題でも?」
「良いや。これで問題なくクソ野郎を牢獄にぶち込む口実ができた。」
「見た目の割に口が達者ですね。また会うが会ったらその時に決着をつけましょう。では、さようなら。」
そう言って、男はポケットから白い粉を取り出して自分の足元に投げつけた。
「あぁ〜!?待てやコラァ!」
サリーが男を追いかけようとした瞬間、四体の下位の暗黒騎士が迫って、サリーの邪魔をする。
「邪魔だ!」
流石「怪力女」と、言われるだけ合って怪力持ちが両手で使うようなバトル・アックスと大剣を軽く振り回して、下位の暗黒騎士達を一瞬で粉々にした。
そして男がいた場所に大剣を振るが、もうすでに男の影もなく、蛻の殻だった。
「クソ〜、逃げられたぁ〜!!」
舌打ちをして、
「あの真面目頭で出来たストレスを発散できると思ったのに〜!!」
地団駄を踏んでだサリーであったのだった。
紅鳥の剣の騎士たちがフォール砦に押し入る少し前、
アンセムは血塗れの戦闘を繰り返していた。
「グアっ!!」
男の一振りで数人の敵が真っ二つになる。
「何なんだよ?あいつは!?」
「さぁ、知らねぇよ!!あんなの生まれる時代がほんの数十年遅かっただけの化け物だろ。知らねぇよ!誰だよ乱世から化け物を蘇らせた馬鹿は?」
「グハッ。」
また一人殺られて血反吐を吹いて倒れた。
バタン。
あれだけいた仲間達はもう残り半分を切っていた。
グレーギルドの兵たちが言っていることは勿論アンセムのことである。
「クソッ、引け〜!!撤退しろ!」
集団のリーダーらしき者が撤退の合図を送った瞬間。
敵は一斉に逃げ出した。
「ヒィ〜〜!!化け物だ!?」
「た、助けてくれぇ〜!!」
敵が背を向けて逃げていく様を眺めながら、バードがふと思ったことを質問する。
「……………。変なことを聞くようだけど、なんでいつもアンセムって気が付いたら、血だらけになっちゃってるの?」
「さぁ?俺にも分からん。そういえば誰かに似たようなことを…。まあ良いか。」
「それにしても今回は随分暴れたね。今回は何人やったんだい?」
「俺は傭兵を始めてから殺した奴の顔は全員覚えているが、人数は覚えないようにしてるんだ。それを考えていると気分が悪くなる。」
「鬼神って言われてたアンセム君も罪悪感はあるんだねぇ〜?」
「あぁ、俺が殺した奴の中には狂ったやつから優しい奴もいたからな。中には知り合いもいたな。」
バードが少し自分の持ち主の顔を覗いてみるが、主人の顔には何の表情もなかった。
ただ、真顔だった。
「何か辛いことを思い出させちゃってごめんね。」
「いいさ。確か残ってた記憶の中で乱世の時代の傭兵だったもんな。そこら中で起こってたことだ。別に何も珍しくなかった。別に気にするなことじゃない」
「……………。」
少し黙っていたバードだったがやがて口を開いた。
「君が乱世が治まった平和な世を見ることができて僕は嬉しいよ。」
「やってることは完全に平和とは真逆だけどな。」
「そうだね。」
「さっさとこの作戦を終わらして酒を飲みたいぜ。マスターのくれたウイスキーがまだあるからな。」
「僕も味わいたよそのウイスキー。」
「お前は剣だから飲めないだろうが?」
「フンッ。そのうち飲んでやるからな〜!!」
「またまた〜!!」
ゴトッと、音が鳴った。
アンセムはいち早く反応してバードの取っ手に力を入れて、音をした方向に向けて猛スピードで迫る。
暗闇で分からなかったが、近づくとボロボロになった店の従業員のような服装をしている女ががいた。
「ヒィ〜。オ、オーガ!?こ、殺さないでぇ〜!!」
女はいきなり迫ってきた巨体のオーガのような男に驚いて、尻もちをついて震えていた。
「女!?」
各地で激しい戦いを繰り返しているフォール砦。
そんな中、敵を退けたアンセムは神剣であるかバードと話をしていたとき、急に物音がして近づくとそこには尻をついて震えていた謎女がいたのだった…。
戦闘パートはもう少し続きます。
次回は来週の土曜日0:00です。
次回もお楽しみに!!




