⑱「侵入者①」
「うおーー!!」
オーガを思わせる戦士がバスターソードを振り回して、向かってくる強敵達を切り崩していく。
大剣を振り回す男の背後には死体が転がっている。
アンセムに取って死闘は、懐かしく、楽しかった。
飛んでくる矢を避けて弓兵に迫り、弓矢ごと真っ二つに切る。
かすり傷など気にせずただこの瞬間、瞬間をひたすらを楽しんだ。
彼らの実力一人一人がが高く、それが逃げもせずに向かってきてくるのだから。
今の彼は記憶がほとんど無いのにも関わらず、昔を思い出したかのように生き生きしていた。
彼にとって戦場は人生の大半だった。
そして自らの手で平和を手にする筈の、英雄になる筈の男だった。
彼は興奮していた。
「かかってこい!近衛兵ども!!」
かつて的の本陣に一人で斬り込んだときのことを思い出して。
「そうだ。俺をもっと楽しませてくれ。」
今は僅かにしか思い出せない仲間との共闘を垣間見て。
「アハハハハッ」
グレーギルドの団員の返り血に染まったその姿はま
るで鬼神の如くの佇まいで合った。
「ヒッ…。」
血に染まったアンセムを見たグレーギルドの精鋭達は余りの恐怖に顔が蒼白になってしまう。
「さぁ、かかってこい!!」
アンセムは彼らに構わず斬り掛かって行った。
「おいっ表で侵入者が暴れてるって話だぜ。」
「かなりの手練れらしいぞ。援軍を要求しているらしい。」
「だらけてねぇで、さっさと行くぞ。」
ドタドタドタ
複数人の足音が通り過ぎて、だんだんと遠くなっていき、やがて聞こえなくなるとある青髪の少女が真っ暗な物陰からひょっこりと顔をだした。
(ふぅ、潜入成功っと。)
リリアはアンセムが表の方で騒ぎを起こして囮となっている間に、裏口からコッソリと潜入していた。
勿論、裏口に立っていた見張りは気絶させてね。
えっ?それじゃあ、こっそりと言わない?
まあそうかもね。
そんなこと気にしない、気にしないの。
いちいち細かいことは考えなくていいの。
もっと大胆にならないと大きくならないわよ。
おっと、おしゃべりしている暇はなかったわね。
今のうちにご令嬢を救出しないと。
リリアは静かな道を小まめに探しながら進んでいく。
時々通りかかる複数の足跡から身を潜めながら探す。
一階を全て探して見ても令嬢のいる様子はなかった。
仕方なく2階に上がろうと中央の階段を登ろうとすると、階段のほうで戦闘音が響いていた。
そこに向かって進んでみると、ダブルアックスを持った番人らしき者と兄のサンソンが戦っていた。
「えっ、お兄さん!?牢獄でぐうたらしてたんじゃないの?」
「やぁ。久しぶりだね。リリア。我慢できなくて脱獄して来ちゃった。」
大男の絶え間ない攻撃をいなしながら、こちらを向いている。
「来ちゃったじゃないでしょ!!バレたらどうするのよ!?」
「まあ、なるようにはなるさ。」
大男はわざと手を抜かれていることに気がついているらしく、イライラしている様子たった。
「テメェ、俺を馬鹿にするは大概にしろ。」
ブンッ。
サンソンの頭部スレスレをバトル・アックスが襲う。
「おっと、フー。危ないところだった。」
間一髪で大男を振り上げたダブルアックスを避けて、後頭部に双剣の平の部分を思いっきり当てた。
番人らしき風貌の男はダブルアックスを地面に落としてバタンと、倒れた。
「ちょっと兄さん。もう少し自重しなさいよ!」
「まあまあ。アンを救ったら僕は解放されるんだから、結果は同じでしょ?そういえばどうしてリリアがここにいるんだい?」フシギダネ。
「あんたが捕まったからでしょ、馬鹿お兄さん!!この女たらし!!」
「なにを〜!?」
二人がギャーギャーと騒いでいたのが原因なのか、敵に見つかってしまった。
「居たぞ。侵入者だ!」
まだ多くのギルドメンバーがいたようだ。
多くの人数の足跡が2階から迫ってきていた。
「どうやら騒いでいる隙は無いようね。」
「同感だ。」
サンソンは飛んできた矢を双剣を回転させるようにして弾いた後そのままの勢いで一番先頭にいた奴の武器を落として、そのまま流れるように切った。
リリアは素早い槍様きで一人を仕留めると、先程サンソンを狙っていた弓兵に向かってもの凄い速さで投げつける。弓兵は腹を貫かれて絶命した。
リリアはアンセムから貰った短剣を腰の後ろから右手で引き抜いて、後ろから襲ってきた男のショートソードを受け流し、男の勢いを減らした瞬間に右回転の回し蹴りで相手の顔面に足を食い込ませた。
「リリア!!」
サンソンが弓兵を貫いて壁に刺さっていた青い槍を引き抜いて、リリアの方向に投げつける。
リリアは飛んでくる槍を掴んで、近づいてきた敵を二人に対して槍を横に薙ぎ払って牽制した。
「このガキ共手強いぞ。」
「連携して挟撃しろ。」
敵は距離を取りながら二人を取り囲んだ。
取り囲まれた二人は息を切らしながら、背中を合わせる。
残り10とそこら…。
「ありがとうお兄さん!」
「そちらこそ。」
敵の中に魔術師がいたらしく、魔法が飛んできた。
直径30センチ位の炎の玉がリリア向かってに襲いかかるがサンソンが前に進み出て剣をで弾く。
弾かれた炎の玉は飛んできた方向に跳ね返って、敵一人を黒焦げにした。
「アンチマジックだと?」
「当たり。」
得意げにサンソンが答えた。
サンソンが持っている双剣はアンチマジックのエンチャントが施された魔剣とは真逆の性質を持つものだ。
それはある一定量までの魔力を無条件で反射するという魔法使いには天敵のような武器だ。
しかし、それを作るにはかなりの腕が必要らしく、作り出せるものはほとんどいない。
場合によっては魔剣よりも貴重な武器であるのだ。
ちなみにリリアの槍は杖の媒体代わりにもなる。
魔剣のような性能はないが、杖と槍を自由に使い分ける事が出来る優れモノだ。
ただ本人の魔力量が少ないので、1日に初期魔法4,5発打てる程度だが、破格の性能だ。
祖母や母に普段から使うな、と言われているので切り札として活用している。
「怯むな!攻撃魔法が封じられただけだ。精神魔法は通用する筈だ。」
「させるか!風よ敵を切り裂け。風刃」
リリアが詠唱をしている魔法使いを真っ二つにする。
真っ二つにされた魔法使いの男は腹の下から血が噴き出して、倒れた。
「まだまだ行けるか?妹よ。」
「えぇ行けるわよ。」
二人は破竹の勢いで敵兵を倒していった。
フー…。
対人戦って中々描写するのが難しいですね。
特にどうやって、わかりやすく伝えるのかがね。
体力使いますが、気合を入れて書き込むので楽しみにしててくださいね。
次回は月曜日の0:00です。
さいなら〜!!




