エピローグ③「絶望」
いろいろ考え込んで作り上げました。よかったら感想をレビューに書いてみてください。
そのあとの団員たちの行動は素早かった。
全部俺が少しでも気兼ねなく戦えるようにするためだ。
皆…最後まで迷惑かけて済まねえ。
そう、心の中で謝りながら団員全員の顔を見送り、さっきまで走っていた足を止めて向いていた方向から逆方向に振り向く。
蹄の音が、馬がいななく音がだんたんと近づいてきているのが分かる。
やはりすぐ近くには追手が迫っていたのだろう。
俺はあいつ等のことを忘れないように頭に焼き付けて、俺は愛剣"バスターソード"を手に取った。
「俺はここだ。いつでもかかってきやがれ!!!」
その猛獣のような怒声は森の中だけでなくその外の平原までとどろいて、
敵兵だけでなくワイバーン、ドラゴンまでもが震え上がってしまうほどだった………。
多くの兵が震えてしまい身動きが取れなくなってしまったグランオール帝国軍はマクロス王国軍を追撃しきれずにいた。
「撤退せよっ!!」
そのすきを察知したマクロス王国軍の指揮官シーク=ヘパイストは速やかな撤退を開始した。
結果、マクロス王国軍はグランオール軍の追撃がほとんどなかったことで、これ以上多くの犠牲を出せずに一時撤退に成功したのだった。
その後、五万の援軍を迎え軍を再編勢力を整えたマクロス王国軍は再びグランオール軍と激突する。
第二次コーラル平原の戦いであった。
自領から遠いグランオール軍は先の戦いの被害が癒えないまま迎え討たねばならなかった。
そのままグランオール帝国軍は、必然的に敗走することとなる。
その時、敵総大将を討ち取り、敵軍を殲滅したという大きな功績を挙げた傭兵団がいた。
―その傭兵団は「英雄の送人」と名乗っていた―
――――― ―――――
俺が敵兵を足止めして何時間経ったんだろうか……。
叩き切った数はもうわからなくなった。
「ハア、ハア……。」
どんなにたくさんの兵を倒してもあざ笑うかのようにたくさんの兵が押し寄せてくる。
中にはゴーレム、ワイバーンも含まれていたがすべて叩き切った。
力でねじ伏せた。
すでにアンセムの着ていた木盾や着ていた革鎧もすべて壊れていた。
その代わりに彼が殺したであろう多くの兵のちが全身にこびりついている。
嵐のように降っている雨でもしばらくは拭いきれないくらいに…。
彼はすでに限界だった。
全身が雨に濡れているのに彼の身体は全身が熱く火山のマグマのような高い熱を持っていた。
意識を失いそうになるが、なんとかバスターソードを杖代わりに地面に刺して倒れるのを阻止する。
唯一彼にできることはただただ立つことができるだけだ。
そんな彼だが、一つだけその手に持っている者があった。
残っていたバスターソードである。
彼は一緒にいくつもの戦場を駆け抜けた彼の愛剣だけはこの手に離さず立ち続けた。
彼が持っている剣はあまりの消費の激しさに壊れてもおかしくないほどであるはずだ。
しかし、その手に握られた剣は壊れる様子もない。
主人が壊れるまで全く壊れる気の無いように見えた。
そして、何故かはわからないがその剣にはある異変が起こっていた。
―主人よりも赤く明るく光を放っていたのである―
この剣にはもともと意思など存在しなかった。
もちろんただのバスターソードとして作られたためそんなことが起こるはずもない。
意思を持つ剣など伝説に残っているくらいで誰も実物をみたことがない。
そしてそれらの剣のほとんどがそのように神によって作られているもので勝手に宿るものではない。
しかし、不思議なことに実際に起きている―
―神剣「英雄の送人」 がこの世に誕生しました―
この剣は主人の成長とともに力を発揮します。
この剣は主人の力の限界を超えやすくします。
この剣は主人の抱く思い出の強さによって成長します。
この剣は深淵の森の洞窟型ダンジョン「深淵の洞窟のボス部屋にて保管されています。
神の試練(このダンジョンは一度入ればダンジョンを制覇するまで外に出られません。)
ここから新たなる物語は動き出す…。
この話でエピローグは終了です。
次回の投稿からから第一章が始まります。
今週の土日あたりに投稿する予定なので次回からもよろしくお願いします。