⑪「月光」
クソッ、何人くらいだ?
予想より速く襲撃されてしまった。
会議で、こちらから探しても尻尾がでないのならこちらから罠を敷いてみるほうが良いと決まったので、身軽で足が付きにくくて、かついつ死んでもおおごとにならない冒険者の俺とリリアが囮になることになったのだ。
しかし、こんなにも素早く食いついてくるとは誰も思わず、今は本来騎士団の護衛であるリーナの隊がいない状態だ。
だからこそ、ここで仕掛けたと言えるのか。
真っ暗闇の中俺は必死に目を凝らして情報を集める。
俺を囲っている者だけで6人。
暗闇から弓を射ているものは数人。見事な連携だ。
決して一人で攻撃せず、弓矢と連携し合ってこちらの行動を抑制させてきている。
これだけの精鋭、何処で集めたんだ?
明らかにこれは小悪党が集めたゴロツキとは違う。
あの副騎士団長の言う通り、やはり何か大きな組織が関わっているに違いない。
リリアがいきなり大声を出しはじめた。
「アンセム〜。頑張って〜!!」
「お前も手伝え!!」
「嫌だー。アヒヒヒヒッ。」
このアマ!!
いい加減酔うフリを辞めろ。
たった一杯でそこまで酔う筈はない。さっさとその演技を辞めて援護してくれ。
あたふたしているうちにキラッと光る光沢と共に暗闇から複数の飛来物がリリア目掛けて飛んできた。
すかさずバードで防いだ。跳ね返っては地面に突き刺さったのは猛毒が塗られた矢だった。
突き刺さった矢の周りの地面からジューと溶ける音が聞こえてくる。
今度は俺を囲んでいた暗殺者が一斉に襲ってきた。
俺は何とか捌ききれているが、バードは大振りの剣だ。素早い動きの敵とはすこぶる相性が悪い。
動きに翻弄され、致命傷は避けられても次第に切り傷が増えてきた。血が。たれてくるのが分かる。
それにリーダーらしき人物のタガー捌きが脅威的な、強さを誇っており、そちらに多くの注意を向けなければいけないのがキツイ…。
このままでは致命傷を突かれてしまうだろう。
バードに頼るしかない。
「おい、バード!!かなり危ない状況だ。魔法で援護してくれ!!」
「えぇ~!?町中で魔法は使うなって、言ってたのに?」
「今はそれどころじゃない!」
俺は皮肉なことに今守っている酔っぱらい女に追いかけられた時に仕方なくバードの魔法に頼ってしまったのだ。
正しくはバードが勝手に使用したんだけどな。
俺の持っている武器が神剣だと広く知られたら、バードを奪いに来る奴らがぎょうさん出てくるはずだ。
だから俺はバードに町中や人前で、出来るだけ使わないようにいったのだ。
「わかったよ〜!!え~と…、こういうときは…[風陣]」「かかれ!!」
バードが魔法を使おうとした直前にブルーメルの合図の声と共に騎士団が飛び出してきた。
何故ここに騎士団がいる?
「ギャッッ。」「グオッ。」
いきなり飛び出てきた騎士団に不意を突かれた暗殺者集団は、半数以上が地面に倒れてしまい、リーダーらしき者が撤退の合図を送る。
「引けっ!!」
そうして暗殺者達は撤退していった。見事な奇襲で暗殺者達を追い払った十数人の騎士団員はさらなる追撃をするために、撤退している暗殺者集団の討ち漏らしを追いかけて行った。
「おい、逃げるぞ!」
「逃がすな追え!!」
そう言ってバタバタと走り去った騎士たちの後にゆっくりとした足取りでブルーメルが現れた。
「一応お前たちをつけさせておいて正解だったよ。見事に獲物が引っかかってくれた……。何か言いたそうだね?」
「ああ、俺達を信頼してないのがよくわかったよ。」
「そうさ、お前ら冒険者は信頼が全く無い。冒険者共は自分が危ない目にあったらすぐ裏切りに走る。
例え貴族の御用達でもな!?
だが感謝している。こうして奴らの尻尾を捕まえることができたからな。わかったらさっさとその酔っ払い女を連れて宿に怯えて籠もってろ。他の隊の騎士団員がお前を護衛する手筈だ。」
そう言ってブルーメルは暗い裏路地を再びゆっくりと去っていった。
最近色々あったせいか身体がだるい。それに頭がボーとする…。
「もうっなんなのあの生真面目頭でっかち男。ムカつくったらありゃしないわ。」
済まない、リリア何を言っているのか分からない。
「あんな男、子供にキンタマ蹴り抜かれて、悶絶すればいいのよ。そして…」
視界がぼやけて…。
バタン
「ねぇアンセム……、アンセム?」
真っ暗だった暗闇が雲が晴れたことで月光が差して、ちょうど倒れたアンセムを照らす。
リリアはその姿に目を見開いた。
アンセムの身体が緑に変色してしていた。
スミマセン。急ピッチで描いていたので文字数少ないと思います。
本当にスミマセン。
次回は土曜日の0:00です。
視界もお楽しみに!!




